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日本人が、自分が好きなものを見つけるのが苦手な理由。
わたしは『節分』が好きだ。
「え、つい数日前に年が明けたはずなのに! もう1ヶ月も経ったなんて意味わからん!」とボヤきながら、恵方巻きを作って、黙ってそれに齧り付く。冷静に考えたら不思議なこの光景が、なんとも好きなのだ。
一人暮らしがものすごく長かったわけだけど、毎年自分のために、わざわざ恵方巻きを巻いてたもんな。
そういえばお正月には、ちょっとしたおせちも作った。12月に一時帰国があったので、お餅と、黒豆と、お赤飯を炊くための素と。買っておいたんですよね。(ロンドンでも買えるけど、高っい)
そう思うとわたしは、節分だけではなく、行事をお祝いすることが、やらなければ! という義務感にも似た思いを抱きながら、行事をきちんと執り行うことが、好きなんだと思う。
しかし、ロンドンはどうだ。
ここにはそもそも、あまり行事がない。
クリスマスはもちろん、一大イベントだ。プレゼントを用意して、ターキーを焼き、家族みんなで食卓を囲んでお祝いをする。1ヶ月半も前から、準備しちゃうんだから! 気合いも十分。
とはいえ、決まった日にお祝いをして、伝統的な料理を食べてって、クリスマスが唯一じゃないか? それ以外で、街で季節を感じることがないのだ。
日本にいた時は、スーパーに行っただけで、季節を感じていた気がする。
今ごろ日本では、イチゴがたくさん並んでいるのかな?
ふきのとうや菜の花、たけのこ、花山椒などなど。春野菜もそろそろ店頭に並び出したころかもしれない。ひな祭りのコーナーも、きっと目立っていることだろう。
しかしロンドンのスーパーは、いつ行っても変わらない。ちょーっとだけ、フルーツのラインナップは変わるけど、それくらいだ。
行事で、食材で、巡る季節を楽しむことができないのだ。
せっかく、四季があるのにね。
なんかさ、ロンドンで生きる人たちを見ていると、自分の人生を楽しむことが、みんな上手だなって思うの。
わたしは映画が見るのが好き。
ミュージカルが好き。
アートが好き。
ゲームが好き。
ジムに行って身体を動かすのが好き。
堂々と、胸を張って好きだと言えるなにかを、みんな必ず持っている。
しかし日本では、「これが好きだ!」と、堂々と胸を張って言える人が少ないじゃない? 大人になってから、好きなもの探しをする人も多いわけでさ。
ロンドンで生活をしようと思うと、日々を楽しく生きられるためのなにかを、自分で見つけるしかない。変わらない街と、変わらないスーパーとともに、生きていかなければいけないのだから。
日本にいると、季節の食材や、季節の行事など。向こうからやってくるなにかを追いかけているだけでも、十分に日々を楽しめてしまうもんね。
自分の人生の楽しみ方を知っている日本人が圧倒的に少ないのは、こういうことからも来ているのかもしれないな。
ロンドンで初めての節分を迎え、こんなことを思ったのでした。
行事がなくても、季節が巡らなくても。
自分の人生を楽しめるように。
自分の好奇心が向かう方を、しっかり見つめていきたいな。
皆さんは、行事がなくなっても、季節がなくなっても。自分の人生を楽しめそうです?
ほな、また。