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人生で初めてIKEAに行ったら、中指を立てられた。

先日、IKEAに行った。
ロンドンにも、もちろんIKEAがある。

その当日の朝、3ヶ月半の長旅を終え、船便で送ったわたしの荷物が、ようやくロンドンの自宅に到着したのだ。荷物を整理するため、あれやこれやと収納グッズを揃えたかった。

久しぶりに、自分の洋服や食器たちとご対面。
春に渡英してきて以来、持ってきたスーツケース2個分の荷物のみで生活していたからか、すっかりと気分はミニマリストになっていた。だけど、わざわざロンドンに送ろうと思った荷物たちだ。見ると、やっぱりテンションは上がるもんだった。

「やっと違う服が着れる……!!!」

ここ3ヶ月半に渡って、同じ服を着まわして、なんとか着まわして、やり過ごしてきたからな。明日からは、その日の気分に合わせた服を着れると思うと、なんとも言えぬ嬉しさがあったのだ。

ロンドンの家は、とにかくデッドスペースが多い。

例えば、玄関のドアは内開き。
内開きなもんだから、玄関に靴を並べていようもんなら、開けるたびに、ワイパーがごとく、扉がごっそりと靴を片付けてしまう。そのせいもあるのか、靴箱スペースも異様に少ない。

バスルームも、ベットルームも、こんな感覚で、とにかくデットスペースが多いのだ!

だから、うまーいこと収納せんことには、ロンドンの家で快適に住むことはできないってわけです。

実は、人生初IKEAだったんです!!!

何度も行きたいと思っていたのだが、なかなか行く機会がなかった。噂には聞いていたから、ドキドキしながら店内に入る。まずは、ミートボールで腹ごしらえ。腹が減っては、戦はできん。

スウェーデン本場のミートボールは、とてもミートボールだった。うん。

そしていざ、戦場へ。
インテリアがとてもステキだった。こんなオシャレな部屋にできたら、どれだけいいだろうか。でもなぜか不思議なことに、同じものを買って帰ったとしても、こんなにオシャレにはならんのだよなあ、絶対。

何度もオシャレな部屋に憧れ、何度もオシャレなグッズを買おうと試みてきたが、何度も挫折してきたわたし。

人生初のIKEAでも、きっと結果は同じだろう。

高望みをせず、わたしは、本当に使えそうで、本当に必要なものだけに焦点を当てて買い物を続けた。

店内は、とても広かった。1時間くらいだろうか。しっかりと時間をかけて、端から端まで店内を見て回った。

「ふう、これでだいたい揃っただろう……!」

あとは倉庫に行って、ちょっと大きめの家具を取りに行くだけだ。人生初めてのIKEA体験が、いい感じに終わろうとしていた、まさにその時。

わたしたちの目の前を、10代後半? 20代前半? くらいだろうか。女の子3人組が歩いているのが見えた。たぶん、中東系の方々だと思う。その子たちが突然、わたしたちの方を振り返り、ニコニコしながら、手に持った「とあるもの」を見せてきたのだ。

「とあるもの」とは、人間の手の形をした、木製のフィギュア。500mlのペットボトルよりも少し大きいくらい? そこそこの大きさだった。

その手の形をした木製のフィギュアは、とても見事に、中指を立てていたのだった。

ニコニコしている、3人組の女の子たち。
手には、中指が立った手のフィギュア。

この状況って……?
そしてその子たちは、わたしたちの反応を伺っているようだった。

わたしだって、中指が立っていることの意味くらい知っている。しかし、まさか人生初のIKEAで、木製のフィギュアを使って、こんなにも堂々と立てられるなんて思っていないからさ!

動揺した。
その結果、「あはは〜」と笑って、やり過ごしている自分がいた。

そして、思う。
あれは、ただのジョークだったのだろうか? それとも……

日本人の感覚としては、わたしみたいに、ジョークだと思う人が多いんじゃないだろうか? でもここは、ロンドンだ。世界中の人々は、あれをされて、何を感じ、どんな反応をするんだろうか?

いまだに、あの時の正解がわかっていない。

唯一わかっていることがあるとするなら、すべてのことは、郷に入れば郷に従わなければいけないということ。知らなかった、わからなかったじゃ済まされないこともある。ルールも、ジョークも、差別もだ。その国のルールはもちろんのこと、ノリみたいなことも含めて学ばなければ、コミュニケーションを取り、共存をしていくことはできないだろう。

あなたは、どう感じましたか?
あなたなら、どうしていましたか?

英語だけじゃない。
国際化が進んでいる現代において、わたしたちが学ばなければいけないことは、見えていないところにもまだまだ、潜んでいるようだ。

ほな、また。


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