諭吉佳作/menという衝撃~次世代パッチワークサウンド~

先日、坂口恭平のコラムを読もうと図書館でブルータスをペラペラとめくっていると、今月の音楽というページで変な名前のアーティストを見つけた。

諭吉佳作/men
ゆきちかさくめん、と読むらしい。謎。

まあ、僕ももう32だし、最近の若者の感覚にはついていけません、となるはずだったのだが、よく見るとプロフィールには静岡県浜松市在住の女子高生とある。もろ地元だ。
なんだか気になって、家に帰ってから音源を探してみた。


正直、初めて聴いたときは、親が椎名林檎好きで、幼少期から子守唄のように聴かせていたら、こんな子が育ちましたというようなアーティストだと思った。場末のライブハウスではいまだに椎名林檎のパチモンようなアーティストが大量生産されている。

しかし、何回か聴くうちに僕はその考えは改めた。すみません。
椎名林檎のマネやパクリではなく、彼女の曲のなかで椎名林檎的な歌い方かな?が組み込まれているのだった。

彼女は気に入ったサウンドを切り貼りして作ったトラックに、気に入ったメロディを気に入った言葉で歌っているのだ。
前後関係は気にしない。Bメロで不協和音が入っても関係ない。歌詞の意味も関係ない。好きな単語を集めてメロに載せる。

彼女は雑誌のインタビューで曲作りについて「自分で作ってる感じがしない」と語っていた。
それは既存の曲をパソコンに取り込んで切り貼りして作っているという意味を越えたものだ。

彼女の作る曲は良いところの寄せ集めなのだ。まるでパッチワークのように曲を作っている。


彼女はライブも評価が高い。高校生なのにすでに独自の世界観がある。
ステージに自分の好きなものを並べてライブをする姿を見て、なんだか妙に納得してしまった。
さながら女子高生のマイ・フェイヴァリット・シングスである。

昨今、メディアの消費されるスピードが脅威的に早くなっている。
若者はもう楽しいかどうかわからない映画を2時間黙って映画館で観ていられない。
TikTokのように面白い動画を30秒だけ切り取って、たくさん観たほうが面白い。
諭吉佳作/menは音楽でそれをやっている。
新しい時代の音楽だ。


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