岩手県高校生セミナーサポート演劇部門で創作脚本の講師をしてきました

どうも、小堀です。今回は県全体の高校演劇講習会で創作脚本の講師をしてきました。

(どうでもいいけどnote書くときになってから「また今回も写真撮ってないや……」ってなるのどうにかしたい)

講習は2日間で、受講生は学年問わず15人。初めて戯曲を書くという子が半分くらい。

ざっと内容をまとめると、まず「戯曲と上演台本の区別」とそれが必要な理由、戯曲を書く際の「手順」と「ポイント」を説明したのち、受講生15人に同じプロット(あらすじ)で短編戯曲を書いてもらいました。

今回の講座のテーマは「演劇的なことばを書こう」。高校演劇に限らない話かもしれませんが「どんな物語を上演したか」が問題にされがちなことに対して、ある程度決まったパターンの物語や展開をつかって「どんなドラマに仕立て上げるのか」ということと「どんな言葉が演劇的なのか」ということを考えてもらうことを今回の趣旨としました。高校演劇アワードのやり方の応用で、全部自由にやらせるのではなく、あえて「縛り」となるベースを設けておくことで何を問うのかを絞り込むという方法をとりました。

ひとに教えるということをやらせてもらって本当にありがたいと思ったのは、教える際に自分が何を見ていて、何を大事にしているかが自覚できたこと。もっといえば、それがどう変化しているのかを自覚させてもらえたこと。書かれたばかりのテキストを10分以内に本人の前で読んで建設的なコメントもしなきゃいけないという特殊な(というか無茶な)シチュエーションのおかげで、これまで言語化してこなかった自分なりのこだわりやセオリーが無理やり言語化されていくのはスリリングで有意義な体験でした。

時間の使い方が難しい戯曲講座

ただ「戯曲を書かせる講義」というのは、必然的に集中するタイミングが偏るというか、歪な感じならざるを得ないわけでして、どっちかといえば忙しなく動き続けている方が気持ちが落ち着く僕としては、戯曲講座のビギナー講師としては正直ちょっと落ち着かないところもありました笑。

なんたって書く側は基本的に集中してずっと書くし書きたいけど、こっちはどっかで添削するなりコメントするなりしないと仕事にならないしやることがない。さらに気遣いもするなら、多分どっかのタイミングで行き詰まるしアドバイスも欲しくなるわけだけど、そのへんのタイミングは書き手によって違うから、本当は機械的に面談をするのもちょっと違う気もする。かといって高校生が相手だし公平性も考えないとなあ……とか変なところにエネルギー使ってしまったようなところもあったりしました。

それでも生徒たちは頑張ってくれて、ほぼ全員が一編の戯曲を書き上げて終わることができたし、時間の都合もあって二編だけセレクトしてみんなで読んでみたところ、「同じプロットで書いたのに書く人によって違うものになるのが面白かった」「同じプロットだったからこそ他の人の書き方が参考になった」という感想も出たのは嬉しかったです。

「分かりやすく、誰でもできるように」

あと、何より嬉しかったのは「戯曲を書くのは難しいことだと思っていたけど、こうやって教えてもらえるとそんなに大変なことじゃないんだなと思えた」という感想でした。これもおそらく言語化していなかった自分のこだわりのひとつで、言われてみてから、そういえばそうだなと思いました(おいおい)。

先日の県南での演技・演出講座もそうでしたが、僕は何かを「教える」にあたっての一種の責任として、「ある程度誰でもできるようになれる〈やり方〉を示さなくてはならない」という思いを自分に背負わせている気がします。

自分が関わっているのが「演劇」という、いわゆる芸術活動とみなされるものの一部だからということもあるのですが、「特別な才能やセンスを持ったひとたちだからできること」とか「(普通のひとはできないことなのに)夢を見て続けているもの」とか、そういう無駄で邪魔なイメージは意地でもひっくり返したい、ただしなるべく分かりやすく易しく示すことでひっくり返したいというこだわりのせいでレジュメやプログラム作成に悩みます。

そのへんのこだわりが受講生の感想で報われたのは本当に嬉しく「こちらこそありがとうございました」という気持ちでいっぱいでした。

というわけで、受講生のみなさんにはこれからもぜひ書き続けてもらえたらと思います。少なくとも高校生のうちは書けば書くほど良い戯曲が書けるようになるはずです。どんどんチャレンジしてください(ってこれ読んでるかわからないけど)。

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てくてくの森
一般社団法人bridge理事,NPO芸術工房レギュラー会員 演劇作家|文化事業デザイナー|演劇によるひとづくりコーディネーター|岩手県文化芸術コーディネーター 岩手県西和賀町という山奥に在住