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旅文通1 - リスボンの前に

やすこさん、こんにちは。
旅文通をこうしてスタートできる日が来ました。この文通の行く道がどのように愉快な放浪となるのか、とても楽しみです。

旅人が帰宅したとき、訪れた場所で見たもの、感じたこと、美味しい感激や喜びの瞬間、垣間見た人々の生活や過去と未来など、たくさんのお土産を持ち帰ってくれます。なので旅帰りの人がいたら、できるだけ時を置かず、焼きあがったパンのように熱い湯気が上がっているうちに土産話を聞きたくなります。
やすこさんから聞く旅の話は、その旅に同行したわけではないけれど、いつも映画のように記憶に残ります。写実的な場面のあちこちに強いパッションが見え隠れして、私はその世界に入り込んでじっと耳をすませながら、やすこさんのそばをちょっと遅れながら歩いていたような感覚も残ります。それは聞く旅の醍醐味で、大好きだし、見る、聞く、そしてまた読む旅もしかり。どれも冒険ですね。

ところで私たち。
ポルトガルへは、少し時を置いて、お互いに同じ国を訪ねたわけです。この文通の第一歩はそこからということで、リスボンと聞いてやすこさんが思い出す空はどんな風でしょう。晴れているでしょうか、曇っているでしょうか。私が記憶の目で眺めるリスボンはいつも快晴です。おそらく実際の滞在中は天気の悪い日もあったと思われますが、振り返っていくら目をこらしても、海を挟んだアフリカ大陸を思わせる銀色の光線が溢れる街並みしか見えません。
やすこさんが歩いたリスボンも、初夏だったのではないでしょうか。確かあのとき、日よけ帽を失くしたのではなかったですか。今頃は誰かがその帽子をかぶって、「冬でも晴れの日はやっぱり日差しが強いわねぇ」なんて言っているのではないかと。

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