NY音楽通信 9/23(月)〜9/29(日)
Mixcloudに公開したMusic+Talk『NY音楽通信 9/23(月)〜9/29(日)』のスクリプトです。
オープニング
皆さまこんにちは、ニューヨーク音楽通信、記念すべき第一回目です。
このプログラムでは、毎週ニューヨークで行われるライブから、アーティストをいくつかをピックアップして紹介していきます。
大きな会場だけでなく、小さい会場のライブも取り上げていきたいと思います。
毎週、日曜日に配信予定ですので、その翌日、月曜日からの7日間のライブ予定を中心にお話していきます。
お聞きの通り、オープニング曲はニューヨークにちなんでJAY-Z feat. Alicia Keysが2009年にリリースした『Empire State of Mind』です。
それでは早速、明日9/23 (月)から9/29 (日)の一週間、どのようなアーティストがニューヨークでショーを行うのか見ていきましょう。
Madison Square Garden
まずは、キャパ2万人を誇る言わずと知れた、全ミュージシャンの憧れ、Madison Square Gardenで行われるショーから紹介したいと思います。
Charli XCX & Troye Sivan
23日 (月)はCharli XCX (エックス・シー・エックス)とTroye Sivan (トロイ・スィヴァン)がそれぞれの最新アルバム『Brat』と『Something to Give Each Other』を引っさげたツアー、Sweatでやってきます。
Charli XCXは1992年イギリス生まれで、2011年にワーナーからデビューしたシンガーソングライターです。2012年にスウェーデンのエレクトロ・デュオ、Icona Popと共作でリリースした『I Love It』の世界的なヒットをきっかけにスターダムへと上り詰めました。2019年にリリースしたサード・アルバム『Charli』はVariety誌がその年のベスト・アルバムに選んでいます。
一方のTroye Sivanは1995年、南アフリカのヨハネスブルク生まれで、育ちはオーストラリアのパースのミュージシャン兼俳優です。2014年にファーストシングル、『Happy Little Pill』をリリース。続けてリリースされた5曲入りのEP盤、『TRXYE (ティー・アール・エックス・ワイ・イー)』が世界的なヒットとなりました。
2018年にはCharliとTroyeのコラボで『1999』がシングルとしてリリースされています。これは先ほど紹介したCharli XCXのサード・アルバム『Charli』に収録されています。
それでは、そのアルバム『Charli』から『1999』とTroye Sivonの最新アルバム『Something to Give Each Other』から『Got Me Started』を聞いてみましょう。
Meghan Trainor
そして、25日 (水)はMeghan Trainorが今年リリースされたアルバム『Timeless』を冠したTimeless TourでMadison Square Gardenを訪れます。
Meghan Trainorは1993年アメリカ、マサチューセッツ州生まれ。2014年にEPICからリリースされたファーストシングル『All About That Bass』がヒットします。
邦題は「オール・アバウト・ザット・ベース〜わたしのぽちゃティブ宣言!」でしたが、自信に満ち溢れたぽっちゃり体型の女の子、おそらく彼女自身についての歌でした。
叔父と叔母がトリニダード・トバゴのソウルとカリプソを混ぜた音楽、ソカの歌手だったとのことで、そこから影響を受けたそうですが、『All About That Bass』にもそれが伺えます。リズムもコーラスのメロディもラテン調になっています。
他にも、『Lips Are Movin』や『Dear Future Husband』などのヒット曲があり、2016年にはグラミーの最優秀新人賞も獲得しています。
それでは、Meghanのデビュー曲『All About That Bass』と最新アルバム『Timeless』から『Whoops』を聞いてみましょう。
どちらもドゥーワップ、ラテン調で50sの香りがしますね。
Jelly Roll、Mt. Joy
そして、週末のMadison Square Gardenは27日(金)にテネシー州出身のラッパー/シンガー、Jelly Rollの、最新アルバム『Beautifully Broken』を冠したBeautifully Broken Tour、28(土)はロサンゼルを拠点に活動するインディー・ロック・バンドMt. Joyのライブ、そして、29(日)には今をときめく歌姫Sabrina CarpenterのShort 'n Sweet Tourが予定されています。
Sabrina Carpenter
Sabrina Carpenterは、最初の目立った活動はディズニーチャンネルでの女優としての出演でした。そのため、2021年までの音楽キャリアはDisneyが所有するHollywood Recordsから行なっていました。その頃にはJonas Blueがプロデュースした『Alien』、『Almost Love』、『Sue Me』がヒットしています。
そして2021年にUniversal傘下のIsland Recordsに移籍して、2022年に移籍後ファースト・アルバムとしてリリースした『Emails I Can't Send』はBillboardで最高23位でした。
昨年2023年にはTaylor Swiftのワールドツアーに同行してオープニング・アクトを務めています。
これでさらに知名度を上げて、2024年には『Espresso』『Please Please Please』が共にBillboardのグローバルチャートで1位を獲得する大ヒットとなります。
その後、アルバム『Short 'n Sweet』、サード・シングル『Taste』も大ヒットしています。
それでは、Sabrina CarpenterのHollywood時代のヒット曲『Sue Me』とアルバム『Short 'n Sweet』から『Espresso』です。
Radio City Music Hall
続いて、キャパ6000人、『The Showplace of the Nation』の異名を取る、マンハッタンのRadio City Music Hallでは2組のアーティストのライブが予定されています。
Vance Joy
9/25 (水)はみなさんご存知のRingo Starr、そして9/26 (木)と27 (金)はVance Joyがやってきます。
Vance Joyは1987年、オーストラリアのメルボルンで生まれたシンガーソングライターです。2013年にAtlanticと契約して、シングル『From Afar』でデビュー、その後、セカンド・シングルの『Riptide』が大ヒットとなります。アメリカではGo Proのコマーシャル・ソングに採用されました。
オーストラリアには独自のARIAというチャートがあるんですが、2015年、この曲は、ARIAのTOP 100に107週に渡って残り、当時の最長記録を更新したそうです。もう記録は破られていますが、最終的には208週TOP 100に居座りました。
2015年のARIA Music Awardでは男性部門の最優秀賞、Best Male Artistを獲得しています。
『Riptide』は2014年のスタジオアルバム『Dream Your Life Away』にも収録されていますが、その後、アルバムとしては2018年に『Nation of Two』、2022年に『In Our Own Sweet Time』をリリースしています。
それでは、その『Riptide』と最新アルバム『In Our Own Sweet Time』から『Missing Pieces』をお聞きください。
Alec Benjamin
9/28(土)には1994年アリゾナ州フェニックス生まれのシンガーソングライター、Alec Benjaminのライブが予定されています。この人は2018年に『Let Me Down Slowly』という曲がヒットし人気者となりました。去年にはJohn Mayerのオープニング・アクトも務めています。
それでは、彼の出世作『Let Me Down Slowly』を聞いてみましょう。
Brooklyn Steel
続いては、Rolling Stone誌が選ぶ、全米のライブ会場ベスト10にも入ったBrooklyn Steelを見ていきましょう。キャパは1800人ですね。
9/24 (火)にはDabeull Live Band (ダブール・ライブ・バンド)、9/25(水)と9/26 (木)はRoyel Otis、9/28(土)は Hayden James (ヘイデン・ジェイムス)、9/29(日)はBasementといった面々がライブを予定しています。
Royel Otis
この中からオーストラリア、シドニーのギターポップデュオ、Royel Otisを紹介したいと思います。バンド名はメンバーの名前、Royel MaddellとOtis Pavlovicを組み合わせたものです。
結成は2019年ですが、2023年にサードEP『Sofa Kings』がオーストラリアのARIAチャートで43位のヒットとなりました。
そして、今年2024年8月、アイルランドのロックバンドThe Cranberriesの『Linger』のカヴァーがビルボードホット100にランクインした。
それでは、『Sofa Kings』と『Linger』をお聞きください。
Elsewhere
そして、次はブルックリンのブッシュウィックにあるライブハウスElsewhereで、これは5つの会場を持つ複合施設です。こないだ一番大きなThe Hallという会場でNight Tempoがライブをやっていて私もいきましたが、スタンディングでキャパ500人とのことで、非常にいい距離感で楽しめます。
9/23 (月)にはThe Babies、Jeffrey Lewisが出演します。
The Babiesは地元ブルックリンのロックバンドです。
Jeffrey Lewis
Jeffrey Lewisは1975年生まれのコミック・ブック・アーティスト兼シンガーソングライターで、地元はニューヨークのLower East Sideですので、橋を渡ればブルックリンという土地ですね。
彼の音楽はアンチ・フォークというジャンルだとされています。
このジャンルは、フォーク・ミュージックが商業化されたことへの反動として、1980年代にニューヨークで生まれたそうです。特徴としては、DIYの精神、型破りな曲作り、ユーモアや風刺の効いた歌詞で、メインストリーム・ミュージックのシリアスさに嘲笑的で巧妙な歌詞で抗議することを目的としていたということです。
それでは、Jeffrey Lewisで『Cult Boyfriend』。
Central Parl
最後に、9/28(日)にはセントラル・パークでGLOBAL CITIZEN FESTIVALというイベントがあります。「貧困をなくす」、「地球の環境を守る」、「平等を実現する」というのがテーマのイベントですが、これにはPost Malone、Doja Cat、LISA、Rauw Alejandro、Jelly Roll、Benson Boone、RAYE、Hugh Jackman、Chris Martin、Dr. Jane Goodallが出演します。
Post Malone
Post Maloneはニューヨーク州シラキュー、いわゆるアップ・ステイト・ニューヨークの生まれで、テキサス州グレープバインという場所で育ったラッパーです。プロデューサーもやっていますね。
デビューのきっかけは『White Iverson』という曲でしたが、これはSoundCloudに公開されたものでした。
ラッパーのイメージが強いかと思いますが、バックグラウンドにはエモ、ヘヴィ・メタル、ロック、ヒップホップなど色々あるそうで、最新のアルバム『F-1 Trillion (Long Bed)』はなんとカントリーのアルバムです。
以前に「30歳になったらカントリー/フォーク・シンガーになってるだろう」とツイートしているらしいですが、予定より少し早く29歳でカントリー・シンガーになったということですね。
ヒット曲はたくさんありますが、代表的なのは、まず、2017年にイギリス系アメリカ人のラッパー21 Savageとのコラボでリリースされた『rockstar』。これは2018年のビルボード・ミュージック・アワードでトップ・ラップ・ソングに選ばれました。
そして、Swae Lee (スウェイ・リー)とコラボし、スパイダーマンの映画の主題歌でもあった『Sunflower』(2018)。私2018年から2019年はアメリカに住んでいたんですが、どこに行ってもこの曲がかかっていたのを覚えています。
そして、最新アルバムからMogan Wallenとのコラボで『I Had Some Help』(2024)。これもApple Musicのカントリー・ラジオでよくかかっていましたね。
それでは、『rockstar』『Sunflower』『I Had Some Help』、続けてお聞きください。
エンディング
エンディングのお時間です。エンディングでもニューヨークにちなんだ曲を流します。お聞きの歌は、Madison Square Gardenの最多公演記録を持つBilly Joelの1976年の名曲『New York State of Mind』です。それでは、また来週。