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新時代のパンク・ポップ・プリンセスLilyisthatyouの紹介とライブ・レポート

概要

Lilyisthatyou (リリー・イズ・ザット・ユー)ことLily Daviesは『FMRN』のバイラル・ヒットを経て、2022年にWarner Recordsと契約し、今年2024年にファースト・アルバム『Painful Euphoria』をリリースしました。

今回は、そんな注目の彼女の紹介と、デビュー・アルバムを引っさげたツアーのニューヨーク公演の様子をお届けします。英語版のWikipediaもまだありませんので、まずはインターネット上で得られる情報を集約してLilyisthatyouの紹介をした後にライブ・レポートをお届けします。


Lilyisthatyouについて

Lilyisthatyouは、トロント生まれトロント育ちのシンガー・ソングライターであるLily Daviesの芸名であり、インディー・ロックにヒップ・ホップやダンスの影響を融合させた、力強く毒のある反逆的なスタイルで知られている。

略歴

トロントで育ったDaviesは、2人のミュージシャンの娘としてクリエイティブな家庭に育った。2人は彼女に歌うことを勧め、13歳になる頃には、Avril Lavigne、Britney Spears、Rihannaからインスピレーションを得て、自分で曲を書くようになった。2020年に彼女は『Heaven or Hell』という曲を書き、リリースした。そこから彼女はマネージメント契約を結び、サウンドの開発を続けた。

その過程で生まれた挑発的なアンセム『FMRN』(Fuck Me Right Nowの頭文字)は2020年にバイラル・ヒットとなった。『FMRN』はTikTokで性的に露骨過ぎるとして24時間で削除されたが、それまでに100万再生を記録した。その後、この曲は各種プラット・フォームを合わせて4,000万回以上再生された。

このヒットをきっかけにDaviesはWarner Recordsと契約した。これについて彼女は以下のように語っている。

Warner Recordsについてまず衝撃を受けたのは、このような象徴的なレーベルに私の居場所があることを証明しようとする彼らの熱心さでした。彼らは、私が世界中の偉大なアーティストたちと競い合うことになるとは一度も感じさせませんでした。その代わりに、私をそこに連れて行く方法について話し合いました。

"What immediately struck me about Warner Records was their eagerness to prove there was space for me at such an iconic label. They didn’t once make me feel like I would be competing with some of the biggest artists in the world – instead we talked about how to get me there too."

Warnerからのデビュー・シングルとして『Party 22』をリリースした。これはコロナ禍からの脱却を祝うアンセムとして作られた。2022年、Lilyisthatyouは『FMRN』とシングル『Bad Energy』と『LSD』を含むデビューEP『The Character』をリリースした。2023年にはシングル『Superstar』とEP『Pop Music』をリリースし、2024年には『AURA』を始めとするシングルとデビュー・アルバム『Painful Euphoria』をリリースした。

ディスコグラフィー

シングル

・2021年
『FMRN』
『Party 22』

・2022年
『Purity』
『Moderation』
『ALL ABOUT ME』
『Gorgeous Gorgeous Girl』
『Competition』
『Do I make you nervous?』

・2023年
『Superstar』

・2024年
『INTIMACY ISSUES』
『ANXIETY』
『DIRTY LITTLE FANTASY』
『EASY』
『STARRING ROLE』
『HARD TO LOVE』
『AURA』
『HALO』
『tiny purse, tiny top』
『Another one down』

EP

『The Character』(2022年7月29日)
『Pop Music』(2023年12月7日) 

アルバム

『Painful Euphoria』(2024年10月18日)

参考文献

ライブ・レポート

ライブが行われたのは10/22 (火)、会場はニューヨーク、ブルックリンにあるBaby's All Rightでした。キャパは280人とこじんまりしていますが、設備が整っており、新進気鋭のロック・ミュージシャンやエレクトロニック・ミュージシャンがよくライブを行う所です。また、バーとラテンアメリカ料理のレストランも併設されています。

Baby's All Rightの外観
中はこんな感じ

セットリスト

  1. 不明 

  2. Do I make you nervous?

  3. Anxiety

  4. Aura

  5. FMRN

  6. Relax After Work With a Drink

  7. Love & Desire

  8. Intimacy Issues

  9. Pain from the Rave

  10. For Sky

  11. Sweater Weather (The Neighbourhoodのカバー)

  12. Spiral

  13. How could you?

  14. Hard To Love

  15. Halo

  16. Another One Down

アンコール

17. All About Me

レポート

まだメジャー・レーベルと契約したばかりの若いアーティストですが、華があり、パフォーマンスも上手く、まだまだ上に行く予感がしました。

インディ・ロック・ポップ的な曲調はOlivia Rodrigoを思わせ、高く透き通った声と奔放なイメージは元水曜日のカンパネラのコムアイを連想させます。コムアイもそうですが、サウンドや歌詞が攻撃的でも、ヴォーカルが綺麗だと下品にならずに芸術的に響くのはLilyの魅力だと思います。

オープニング・アクトはAnna SofiaというDJで、シカゴ・ハウス系のトラックやポップスを流していました。客層は若い白人が多く、気持ち女性の方が多かった気がします。

今回のライブはチケットが60枚追加で販売されましたので、フロアに入りきらないほど人が入っていました。フロアにいる人は歌ったり、踊ったりと大いに盛り上がっていました。

主役のLilyはステージ横の扉から登場です。1曲目はタイトルが分かりませんでしたが、続く4曲は『Do I make you nervous?』、『Anxiety』、『Aura』、『FMRN』と今回のアルバム『Painful Euphoria』からではなく、今までの人気曲でした。個人的にはR&B風の『Aura』がお気に入りです。

以下の動画はタイトル不明の一曲目です。一緒に歌っている人もいなかったと思うので、カバー曲か新曲かもしれません。どちらにせよ、ライブの一曲目にそれをセレクトするセンスはパンクな感じがしますが。

彼女の代名詞的な曲でもある『FMRN』はアンコールで演奏すると思っていましたが、初めの方にさらっと歌ったのには少し驚きました。やはりこの曲は人気な様で、歌っている人も動画を撮っている人も多かった印象です。

また、一曲一曲エピソードを交えたりしながら丁寧に曲紹介をしているのが印象的でした。

その後は『Relax After Work With a Drink』と今年リリースのシングルを演奏し、ついに『Painful Euphoria』に収録されている『Love & Desire』が歌われます。

『Love & Desire』は実はLilyがキャリアの初期に書いた歌ですが、収録されているのは最新アルバムとのことです。

その後は『Intimacy Issues』とThe Neighbourhoodのカバーである『Sweater Weather』を除いて『Painful Euphoria』の収録曲が演奏されました。

アンコールは2022年のシングル『All About Me』でした。

エンディング

若手のアーティストですが、実力とスター性を兼ね備え、完成された世界観も持っている注目のアーティストだと思います。来日公演があるとしたらまだまだ先になると思いますが、新時代のパンク・ポップ・プリンセス、Lilyisthatyouに今後も注目です。

ちなみに、デンバー公演のオープニング・アクトをRedditで募集している(していた)ようです 。

https://www.reddit.com/r/denvermusic/comments/1fdvzwf/looking_for_opener/

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