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引退して良かったと思う瞬間
7月12日、U15男子HCへ正式に就任した。
そして、それから1ヶ月が経とうとしている。
どうしたらこの子たちがバスケットボールで上達できるか。
どうしたらこの子たちが人として成長できるか。
毎日、毎日考えている。
引退する前は自分の経験を還元させたり”プロ”のレベルがどれほどのものか、
体験させてあげるのが自分の強みだと思っていた。
自主練習の時に1on1をしたり、時には練習に入って一緒にプレーしたり。
そんな想像をしながら胸を躍らせていた。
しかしコーチングを学んでいくうちに”それ”はあまり子どもたちのためにはならないと思えてきた。
なぜなら”自分”という人間は一人しかいないから。
同じプロ選手ですら体格や身長、筋力が違う。
自分には合っているスキルでもその子には合わないかもしれない。
経験談もそう。
これからの人生で自分と同じ経験をするなら、その経験談はタメになるかも知れないけど同じ経験をすることなんてまずあり得ない。
だから大事なのはその子たちに合った指導をすることだと私は思った。
練習でスキルやディフェンスのお手本を実際に体現してイメージさせることはあっても、練習前に子どもたちの前でシューティングをしたり自分から1on1を誘ったりすることは滅多にしない。
もちろん子どもたちから勝負を挑んできた場合はコテンパンにやっつけるのだが。そうじゃなければ、それをするぐらいだったら一人一人の動きを見てあげる方がよっぽどその子たちのためになると私は信じている。
子どもの成長は速い。
学年で1年も違えば体格や身長に大きな差が出るのは当たり前で1年生と3年生なら尚更だ。だから同じ練習メニューでも3年生はできても1年生には難しかったりする場合がある。そして、そこのバランスを取るのが非常に難しいと感じている。
そういうこともあり、私は日々の練習メニューを毎日毎日、何時間もかけて組み立てている。長い時には4時間かけて考え、気付いた時には体育館に行く時間がギリギリになってしまう時もあった。
練習メニューだけではない。
今日は子どもたちに何を語りかけてあげよう。
バスケットボールだけじゃない、人として立派な大人になるために何を伝えていくべきか想いにふける時がある。
そしてそんなことを四六時中考えることが楽しかったりもする。
寝ることすら、食べることすら、そんな時間が勿体ないと、
そう思えてしまうぐらいに今、私は”バスケットボール”に没頭している。
いつぶりだろうか?
時間を忘れてこれほどまでにバスケットボールに打ち込んでいるのは。
いつしか、好きでプレーしていたバスケットボールも
いつの間にか、生きるためにプレーしていたんだなと気付かされた。
そして、ふとそんな自分に気付くのだった。
「あー引退して良かったな」と。
バスケットボールが好きなのは今も変わらないが、
バスケットボールをしたいとはあまり思わない。
自分の放つボールがネットを揺らす喜びよりも
できなかったことができるようになった子どもたちのその笑顔を見るほうが
今の私にとっては幸せな時間である。