【事例紹介】DXを考える┃時には力業も必要?ハンバーガーチェーン向けクーポン運用
この記事の作成担当:株式会社テンタス 代表取締役 小泉智洋
まず初めにこの事例はデジタルの時代に全くふさわしくないアナログかつ力業な解決策を採用したプロジェクトになっているので、あまり参考にはなりそうにないことをお詫びいたします。
折角ですので、いま同じ事を行うのであればこんな簡単な解決方法があるよということも合わせてまとめさせていただきます。
皆さん割引クーポンって使ったことありますよね?
〇〇セットが定価700円のところを560円。
このクーポンは実は結構綿密に考えられていて
1.先週までの販売実績を全国から取り寄せてデータ集計
2.集客商品やアップセル商品などを選定
3.その地域だけ発行する地域戦略商品を設定
などのフローを経て毎週決定されます。
この毎週というのがキモなのですが、仮にクーポン更新日を水曜日だとすると。
月曜日:データ集計
火曜日:クーポン商材を決定
水曜日:クーポン発行
といった非常に短いスパンで更新を行わなければいけません。
実際は火曜日の夕方から夜に決定されたクーポン情報を水曜日の昼すぎに公開する必要がありましたが、普通に作っていたのでは間違いなく間に合いません。
この運用をご依頼いただいた際に我々が選択できる手段は3つありました。
検討した順にご説明します。
1.クーポン決定から発行までを全自動で行うことが出来るようにする
本当に心の底からこれにしたかったのですが、クライアント側の事情により何故か我々に貰える素材は【紙】のクーポンデータでした。
もはやその時点で全く意味が分かりませんが、とにかくデータで貰うことが出来ない以上、全自動化の道は閉ざされてしまいました。
本当に心の底から嫌だったのですが、自動化はあきらめて次の手段を検討しました。
2.時差を利用して深夜に稼働する
日本時間の午後10時はハワイでは午前3時です。日本チームが夜の10時まで行った内容をハワイのチームに引き継いで作業を継続、翌朝の9時に再度日本チームに引き渡すことで短いスパンの更新に耐えられるようにすることが出来るような体制を検討しました。
実際に一緒に行ってくれるハワイの会社さんも確保したのですが、火曜日深夜に発生するクライアント側からの修正依頼を一度日本側で処理する必要があるため、この方法も取ることが出来ませんでした。
もうこうなったらこれしかない!ということで次の案です。
3.24時間働く
最終手段として、日本に3交代制で24時間稼働し続けることが出来るチームを構築しました。
ブラック臭のぷんぷんするチームです。
ただ同じチーム内ですので引き継ぎもスムーズに行えますし、言語も統一されているので資料を二重に作る必要はありません。
労働環境以外はとても素晴らしいチームになりました。
このチームで1年ほどクーポン運用をさせていただきました。
色々なハードルを無理やり飛び越えるのは我々の得意とすることでしたが、このプロジェクトは本当に大変だった記憶しかありません。
それでもやり切れたのはチームメンバーのおかげで不夜城と化したチームのおかげです。
このプロジェクトの話はここで終わりなのですが、ここにDXのヒントがあります。
皆さん思いますよね?
1.クーポン決定から発行までを全自動で行うことが出来るようにする
これにすればいいじゃないかって?
関係者一同が心の底から願っていましたが、当時は色々出来ない事情がありました。
DXは色々な課題をデジタルで解決することだと思われがちですが、実はその事情を正すことが最も重要なポイントです。
今回の事例ですと、紙のクーポンを作っているチームをデジタル化しない限りはデジタルクーポンチームは全自動化することが出来ません。
さらに言えば、クライアント側のツールを変更しない限り全自動化することが出来ません。
クライアント側は、マーケチーム・店舗チーム・プロダクトチームなど複数のチームが関係しており、ツールの統一や変更は容易ではない上に、その管轄システムの管轄はまた別のシステムチームだったりします。
これをDXとして解決するためにはいくつか方法があります。
紙のクーポンを読み込んで自動的にデジタル化するOCR技術でもいいですし、AIを使ったチェックツールを使ってもいいです。
でも本質的にはそこではなく、クライアント側のチームをデジタル化することがDX解決のポイントです。
このように目の前にある課題(クーポン発行)の解決だけを考えるのではなく、そもそもの課題(チームのデジタル化)を考えることがDXです。
このようなDXに関してご検討の方は是非ご相談ください。
ご一緒に根本の課題に対して取り組ませていただきます。
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