晴着
デパートの「着物カラー診断」でラベンダーや薄いブルーなど、クリアな色を選ぶべしと言われてしまった私。心機一転、新年の手帳選びにも、気合いを入れてオレンジの表紙を棚に戻して、マゼンダピンクを手にとる。
さて、巷は正月である。テレビの正月特番で、アイドルの振袖姿をチラチラと拝見し、その後の成人式、卒業式の袴、呉服屋さんの張り切るシーズンは春の入園入学まで続く。これらは全て、晴着、フォーマルの着物である。
それ故、呉服屋さんの催事で「一生モノですよ」などと、出番のやってこない「訪問着」のコーナーを案内されても、抵抗を感じない。目に馴染みがあるからだ。考えてみれば、晴着と盆踊りの浴衣以外、どんな着物があるか、すらすらと名前を挙げられるひとが日本人の何割いるだろう?
必要ないのに、豪華な晴着にひっぱられてしまう。求めているのは三味線の発表会の衣裳になる着物と、着付けの練習用なのだ。「礼装」「準礼装」「おめかし」「普段着」の四段階の格があるなら、発表会用の「おめかし」と練習用の「普段着」だ。
では「おめかし」にどんなのがあるかというと「染め」と「織り」があるそうで「染め」で思い浮かぶのが友禅染め。色鮮やかな反物を、川の流れに晒していたりするアレだ。
対する「織り」の着物のイメージは機(はた)織りだ。昔話で、鶴が自分の羽を引き抜いて使っていたように、ギッタンバッコン、経糸に横糸を通せばあら、不思議。柄ができている。
女性陣で、舞台に「織り」の着物で出ている方はお見かけしないので、「染め」の着物のうち、手元にある「色無地」は生かすとして「江戸小紋」「小紋」を探すと決めて、練習用に木綿の着物をあつらえた。
ようやく、である。
※参考文献 『きものの不安をスッキリ解決!』高橋和江