ピアノ教室の本当の価値-自分の育ちの悪さを思い知らされた件。
年中からピアノ教室に通わせたいと思い、本格的に探しはじめた。
私はピアノ経験がなく(小1で習いはじめてすぐに挫折)、判断するものさしが何もなかったので、とりあえず個人教室かヤマハとかカワイのうち家からの距離が1駅以内ということと、月謝が1万円未満ということを基準に探した。
しかしネットで少しさがすだけで10件ほどがヒット。どれも似たり寄ったりだし、地域柄か講師のキャリアが立派すぎるので(音大卒業後ヨーロッパの複数の音楽学校に留学経験あり、CDリリースありとか。これって普通?)、どこへ入れてもらってもそれなりに上達するであろう。春休みに2〜3件体験レッスンを申し込んでみようと考えていた。
そんな矢先、たまたま社宅の同じ棟に住む顔見知りの奥さんと話す機会があった。このお宅から毎日6時頃になると聞こえてくるピアノがとても上手なんだったと思い出し、それとなく聞いてみた。
お子さんにピアノ習わせていらっしゃいますか?
最初は騒音の文句かとぎょっとされたようにも見えたが、うちも習わせたいと言うととても丁寧に教えてくれた。
月謝は9000円ほど、場所は歩いて15分くらい。先生は女性で厳しすぎず、生徒のペースに合わせてくれる。本物ピアノ購入推奨派。。などなど。
そしてご親切にも、発表会のDVDを貸してくださった。
これは助かる!思い切って聞いてみてよかった。
さっそくこの週末に家族3人揃ったところで鑑賞してみた。
結果、格調高くてびっくり。
まずドレスコード。幼稚園から小学生まで、ほとんどのお子さんがスタジオアリスの記念写真ばりにガチの正装をしていた。
そして、4歳〜5歳くらいの子の選曲は片手演奏でかわいらしいもんだけど、これが6歳以上になるといっぱしのピアノ曲みたいのを両手でがんがん弾いてくる。
いつも近所で無邪気に遊んでいる社宅の顔見知りの子ども達が立派に素敵な演奏をやってのけていてめっちゃ賢く見えた。
ここまででもすでに気後れゲージがMAXにきていたのだが、一番ショッキングだったのは、親子連弾という演目があること。
ママと子どもが一緒に並んでゆっくりとピアノを弾くそのさまといったら、いかにも裕福そうで、優しく温かく、幸せな家庭の象徴そのものだ。
トドメを刺されてしまった。これは見せつけられたな・・・。
一緒に見ていた夫は4歳から小学校卒業までピアノ経験があるのだが、終始無言。
「(お前は知らないかもしれないが)ごくごく一般的なピアノの発表会だから。」
と言いながらも不機嫌さを隠さない。
一体何が気に入らないのか?
たかだかピアノの発表会で素晴らしいスバラシイと褒めそやす私が貧乏くさくて情けなかったのか?
それとも当然にピアノが弾けるお嬢さん育ちの奥様がたの上品さが眩しくて、目の前にいる田舎くさい妻に辟易したのか?
もしも〜ピアノが〜弾けたなら・・・♪
卑屈になるのはやめよう。夫はイラついた調子でさらに続けた。
「ピアノ教室っていうものはな、親がこういう上流社会に加わりたいがための機会というのが主目的で、発表会がないピアノ教室っていうのは価値が半減するんだよ。」
これには驚いた。にわかには信用し難い発言だが、一理あるのかもしれないと思った。
そのくらい、ピアノの発表会は私にとっては現実離れした世界だったし、都会にいくほど育ちのよさを最上とする価値観が濃くなっていくという実感があるんだよな。
いや、素直じゃない夫は(私なんかが張り切って娘にピアノ習わせていいんだろうか)って引き気味になっていた私に、わかりやすい言葉で諭してくれたのだろう。
まあ、色々カルチャーショックではあったけれど、社宅のみんなが通っていて安心だし、先生は優雅で優しそうで素敵だったし、勉強のつもりで申し込んでみようと思う。ついていけますように。