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ロケに会ったよ
「今、そこの、いぬうた公園でロケに会ったよ。たぶんまだいるだろうから、きっと君たちもロケに会えるよ」
と、ある日、いぬうた市の、きゅん君と、ぐーちゃんが、
ママと散歩で、いぬうた公園に向かっている最中に、
知り合いのわんことすれ違った時、
ふとそんなことを言われました。
「へえ、そうなんだあ。ロケね。ロケ。それはいいね」
と、咄嗟に、きゅん君はそう返しましたが、内心、
「ロケって?ロケって誰だっけ?そんな犬、いぬうた市にいたかなあ?」
と思っていました。
しかし、何となく聞けずにいた、きゅん君です。
一方の、ぐーちゃんも、きゅん君とおんなじような感じで、
でもやっぱりロケについて聞けずに適当に答えました。
「ああ、ロケさんね。そうなんだあ。ロケさん、今、いぬうた公園にいらっしゃるのね。お久しぶりに、ぐー、会いたいわあ」
すると、知り合いのわんこが、ぐーちゃんに言います。
「ぐーちゃんは今までにロケに会ったことあるんだあ?それはうらやましいなあ。僕は初めてだったからちょっと緊張しちゃったよ。インタビューされるんじゃないか、と思ってさ」
と言って、スタスタと通り過ぎて行きました。
なので、きゅん君と、ぐーちゃんには謎ばかり残ります。
「ぐー、ぐーはロケっていう犬、知ってるのか?」
「イヤ。全然。でも知らないと思われるのが何か悔しかったから、ぐー、ウソついちゃった」
「僕もだよ。でもどうやらただの犬ではなさそうだな」
「そうよね。何か最後にインタビューさんうんぬんおっしゃっていたけど、あれってどうゆう意味かしら?」
「インタビューをする犬とはそれいかに?そんな犬聞いたことがないなあ。でもあの子、うらやましいと言っていたし、どうやら有名な犬らしいな」
「そうね。だったら、ぐーもお会いしたいけど、その方のルックスさんも分からないわ。だとしたらどうしたら?」
「たぶんインタビューして来る犬が、きっとそうなんだろう。だとしたらそれを待つしかないか」
と、ふたりの中で想像がふくらみます。
ロケという名の犬について。
で、手がかりは3つ。
1、初めて会うと緊張すること。
2、でも会った者は、会わない者からうらやましいと思われる。
3、インタビューしてくるかもしれない。
ここから考える、きゅん君のロケ像といえば、
見た目がめちゃくちゃ印象的。
で馴れ馴れしい。
けど魅力的。
一方の、ぐーちゃんのロケ像は、
何かよく分からないけど、ただただ大きい。
声なんかも非常に大きい。
ということでした。
あっ、そんなこんな言ってたら、ほら、ロケがいましたよ。
正確にはロケとは、ロケーション撮影隊のことだったのです。
映画とかテレビ番組を屋外で撮影する人たちのことですね。
どうやら今回はテレビ番組の撮影隊みたいで、
いぬうた公園を行き交う人たちに、
何やらインタビューしているようです。
でも、おやおや、おふたり、これらがロケなのを、
おくびにも気付かず、その間も、
ロケという本当は存在しないわんこについて、
考え続けています。
ママがインタビューされているのにも気付かずに。