全てがこんがらがる
その事件が起こったのは、きゅん君と、
ぐーちゃんの日課である、いぬうた市の、
散歩の途中のことでありました。
普段、きゅん君と、ぐーちゃんは、保護わんこの出身のため、
散歩の際、保護団体から、脱走防止に効果的な、
ダブルリードを推奨されていて、
なので、この日も飼い主は、きゅん君、ぐーちゃん、
それぞれに、首輪とハーネスに、
リードをしていて、その数、計4本を携えて、
散歩をしていたのでありました。
それなので、ただでさえリード4本持っていると、
絡みやすいのに、きゅん君も、ぐーちゃんも、
散歩中は、いろいろ匂いをかぎたいので、
左右に行ったり来たりして、落ち着かず、
結果、リードが、ごっちゃになりました。
更に輪をかけて、飼い主は、要領が悪く、不器用で、頼りなく、
きゅん君と、ぐーちゃんの行動も、全くコントロールできず、
ふたりの、とことん、するがまま、なすがままになっていて、
4本のリードは、こんがりに、こんがりまくり、
気がつけば、きゅん君と、ぐーちゃんは、
身動きも難しい状態に陥ってしまったのでありました。
突然起きた、この出来事に、きゅん君と、
ぐーちゃんはとてもパニクってしまいました。
「一体、何が起きたというの?ぐー、急に動けなくなってしまったわ!」
と、ジタバタし、それでも無理矢理動こうとして、
余計リードが、こんがらがってしまって、
「ぐー、動くんじゃないよ!これじゃ絡まるばかりじゃないか!」
と、言いながら、きゅん君も、
何とかこの状態から脱出しようとして、
やっぱり動いてしまって、
よりより、こんがらがってしまって、
そんな時、飼い主はおろおろするばかりで、
ちっとも役に立たないし、
「もー!何なのよ!この、こんがらったら!」
と、ぐーちゃんは絶叫し、暴れれば、暴れる程、
リードに縛られていって、ぐるぐる絡まって、
ぐるぐる巻きにされちゃったりして、
その姿は、さしずめ江戸時代の捕えられた下手人のようで、
「助けてえ!こんな、こんがらはイヤだよお!全く、何て、こんがらだあ!」
なんて、きゅん君は、叫びまくって、
「ぎゃあ、お戯れをー!ぐーは、これだと、くるくるぐーで、きゅんと、きゅるきゅるきゅるきゅる、ぎゅうぎゅうになって、このまま、ふたりは、ころころ転がり、すっとことんすっとんとんっと、ころころ転がり、気がつけば、こんがらがっちゃん!で、となり町!」
と、言葉まで、どんどんどんどん、こんがらがる、
きゅん君と、ぐーちゃんなのでありました。