魅惑的な小道
いぬうた市を空から見下ろすと、
あっ、いました。いました。
きゅん君と、ぐーちゃんが、歩いています。
そのコースは何ですね?
いつもの散歩コースの、
いぬうた公園からの帰り道のようですね。
今日のパートナーはママでありまして、
そのおかげで、きゅん君、ぐーちゃん、
ふたり共、大変と楽しそうに、ニコニコテクテクと、
テンポよく歩いているのでありました。
と、思ったら、あら、きゅん君が、ふと立ち止まりました。
一体どうしたのですか?きゅん君。
「ぐー、この横の道、通ったことある?」
きゅん君が、数歩遅れて歩いていた、
ぐーちゃんに聞きました。
すると、ぐーちゃんも立ち止まって、きゅん君が言った、
その横の道を見てみます。
「こんな道さん、あったかしらね?ぐー、通ったことないわ」
ぐーちゃんは、ハテナ?と首を傾げます。
「そうだよな。僕もないんだ。何で今まで、通ったことないんだろう?」
「最近出来たばかりなんじゃない?ここのところ、ここの通りを通ってなかったから、ぐーたち、今日初めてみたのよ。きっと」
ぐーちゃんの言う通りかも知れません。
きゅん君はそう思いました。
と同時に、見れば見る程通ってみたくなる小道だと思いました。
「何ていい小道が出来たんだだろう!だって見ろよ、ぐー。何て魅惑的な小道なんだろうか。小川は流れ、花が咲きほこり、小鳥はさえずり、まるで、この世のパラダイスが凝縮されたようじゃないか。楽園の全てがここにあるんだ。まさに桃源郷とは、ここのことか」
ぐーちゃんは、きゅん君の言っていることが、
途中から分かりませんでしたが、
まあ褒め称えているんだろう。と考え、
ちょっと言い過ぎじゃないか?と思いました。
「確かにキレイはキレイだけど、そこまでかしら?ぐーには分からないわ」
と、素直に、ぐーちゃんが感想を言うと、
「何故、ここの良さが、ぐーには、分からない?そうか、ぐーは、もう入ってみないと分からないのかもな。ここの良さが。だって、ぐーのセンサーは何しろアレだからな。あははは」
と、ちゃんと悪口と思われることを最後に言わず、
笑ってゴマカす、きゅん君です。
でも、ここで怒っても、しょうがないと思った、
ぐーちゃんは、きゅん君の言う通り、
小道に入ってみようと、ママの持つリードを引っ張って、
無理矢理歩き出そうとしました。
しかし、ママはガンとして動かず、ぐーちゃんを、
頑なに小道に行かせようとしないのでした。
「ママが、ぐーを小道に行かせてくれないわ。きゅんも手伝いなさいよ」
そう、ぐーちゃんに言われて、きゅん君も、
リードを引っ張ろうとしましたが、
そこである看板に気付いた、きゅん君です。
「待った!ぐー。ママが小道に僕らを行かせない理由が分かったぞ。この看板だ!この看板、別の場所でも見たことあるよ。これは犬が入っちゃいけないという看板なんだよ」
その通りでした。
この小道はわんこ侵入禁止の場所だったのです。
「そうゆうことなのね」
ぐーちゃんはちょっとガッカリしました、
「何てこった!」
きゅん君は大きく落胆します。
「きっと、きゅんがここで、オシッコするだろうから、それを見通されたのよ。でも、ぐーにとってのパラダイスはママのいるおウチだから、別にこの小道さんには入れなくていいわ」
と、聞き分けのいい、ぐーちゃんに対し、
「あーあ。やっぱり真の楽園とはただ遠くから眺めるだけのものなのか」
なんて、いつまでも後ろ髪を引かれている、
きゅん君なのでした。
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