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夢の環境映像

いぬうた市の、ぐーちゃんの今晩の気分といえば、
夢も見ずに、ぐっすりと眠りたい気分だったので、
実際眠っても、いつものように夢の国には訪れませんでした。
なので、「あれ?予定と違いますぞ。ぐーちゃんがいつまで待っても来てくれない」
と心配になった、ぐーちゃんの夢の国の支配人が、
逆に、ぐーちゃんの元に来たのでありました。
「なんだ。ぐーちゃん、いらっしゃるではありませんか。でしたらどうしてワタクシのところに来てくれないのですか?」
支配人が、ぐーちゃんと会うなり、
いきなり今晩来ない理由を聞くと、
ぐっすり眠っていた、ぐーちゃんが不機嫌そうに答えます。
「だって、お今晩の、ぐーはそうゆう気分さんじゃなかったから、でもそんなの、ぐーのお勝手じゃない」
「しかし、しかしですよ。もう予定は決まっているのですから、そんなこと言われてもワタクシにも準備がありますし困りますよ」
と、支配人も反発します。
ですが、一回ヘソを曲げた、ぐーちゃんには、
何を言っても通用しません。
「ぐーだって、お夢を見たくない日だってあるわ!それを何で分かって下さらないの!」
こうなっては支配人はお手上げです。
ましてや、ぐーちゃんに嫌われることを1番恐れている、
支配人は今度は、ぐーちゃんを何とかなだめようと、
苦心し始めました。
「そうですか。ではこのような案はいかがでしょう。普段のストーリーのある夢ではなくて、映像だけの夢というのは?いわゆる環境映像というものですね。青空に雲がゆっくり流れて行く様子ですとか、マイナスイオンたっぷりの滝の風景ですとか、これですと心も落ち着いて、よりぐっすりと眠れますよ。すぐに映像もご用意できますし」
と、支配人は、ぐーちゃんにこんな提案をしたのです。
「それはいいわね!支配人さん!早速、ぐーに見せてちょうだい!」
ぐっすりというワードに惹かれた、ぐーちゃん、
この支配人のアイデアに飛びつきます。
「では、ぐーちゃん、具体的にどんな映像がよろしいでしょうか?」
ちょっとホッとした支配人は、ぐーちゃんにそう聞くと、
「そうねえ。ぐー、さっき支配人さんがおっしゃった青空さんも滝さんもいいし、川さんとか海さんもいいわね。あっ、森さんも捨てがたいし、ぐー迷うわあー」
と、ぐーちゃん、あれやこれやと欲が出てきたようで、
なかなかひとつに絞れません。
「ぐー、どうしてもひとつに絞れないわあ」
と、結局選び切れない、ぐーちゃんに、
仕方なく支配人は助け船を出します。
「別に、ぐーちゃん、ひとつだけでなくてもいいですよ」
そう支配人に言われて、ぐーちゃんの目がキラッと光ります。
「そのお言葉を待っていたのよ。ぐーは。ではお言葉に甘えて」
と、ぐーちゃん言ったもの、
「えー、じゃあ青空さんと滝さんと川さんと海さんと森さんと、あと、そうそうお山ももちろんね。あっ、あとあと湖さんー!も欠かせないし、あとあとあとー!えっー!」
っと希望場所が出るわ!出るわ!
で全然キリがなくて、そんなことをしているうちに朝になり、
結局その晩は、ぐっすりと眠れなかった、
ぐーちゃんなのでありました。

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