これからもそばにいて
いぬうた市では今日大変悲しいことがありました。
きゅん君と、ぐーちゃんも朝から悲しくて仕方がありません。
「悲しくて悲しくてたまらないよ。この気持ちは一体どうすればいいんだろう」
きゅん君はとても悲痛な面持ちでそう言います。
「ぐーもよ。この悲しいさんを伝えたいのに。今頃どこにいらっしゃるのでしょう」
と、ぐーちゃんも全く元気がありません。
そしてこの感情は、きゅん君、
ぐーちゃんだけではなかったのです。
町中が悲しみに暮れていて、
夜になった、いぬうた市のところどころから、
わおーん!と空に響き渡ります。
その中で聞き覚えのある声が聞こえました。
きゅん君と、ぐーちゃんがいち早く、
その声をキャッチしたのです。
「あっ、聞こえたよ!僕には聞こえた!今、どこにいるんだろう?」
と、きゅん君、必死に声の出どころを探ります。
ぐーちゃんも耳をピン!と立てて、神経を研ぎ澄まします。
「お星かしら?それとも虹さんの途中?もしかしてお夢の中?」
しかし、はっきりとは分かりません。
「でもちゃんと感じているわ。だから間違いないのよ。どこかにいらっしゃることは。ぐー、もうちょっと、お耳をそば立てるー」
と、ぐーちゃんは更に耳に神経を集中させるのでした。
きゅん君もしばらく同じようにしていましたが、
ふと、何かを思いついたようで、こう言いました。
「いる場所がはっきりしないということは、これはどこにでも、いつもいるということじゃないかな。だから今、僕の隣にいるんだよ」と。
それを聞いた、ぐーちゃんの顔が少し明るくありました。
「そうなのね。あっ、ぐーも感じたわ!今、ぐーのお隣にいらっしゃるのが!」
きっとそうに違いありません。
これからも、皆さんとずっと一緒なのだと思いますよ。
お願いですからそばにいて下さい。ずっと。ずっと。