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米国駐在員のリアル戦略 第三回 提供価値の見極め

皆さん、こんにちは。

本シリーズ、第三回です。

前回までの思考で大よその戦略が決まったことだろう。

ここでは若干「戦術」寄りになるが、駐在員がどのような価値を提供できるか考えてみたい。
その材料としては、自己分析をおススメしたい。自己分析は、自分の経歴を棚卸しても良いしSWOT(Strength, Weakness, Opportunity, Thread)のようなフレームワークを使って分析しても良い。

あくまで一般的な特徴として、米国組織に対する日本人の強みと弱みは以下のようなものがある。

一般的な日本人の強み/弱み

強み

  • 俯瞰的な視点(スキル観点および本社の情報を掌握している観点より)

  • 長期的な視点(計画を作る能力に長けている)

  • 着実な実行

  • 丁寧な報告(レポート作成含む)

  • 献身的な労働(昔ほどではないが、それでも残業、休日勤務をやる精神は健在)

  • 図解表現(イラストによる図示と表での比較は世界No.1レベル)

弱み

  • コミュニケーション(主に英語スキルによる、文化的ギャップも含む)

  • チームを鼓舞する力

  • 反対する相手を前にしたときの突破力


こうやって見てみると、最大の難所はコミュニケーションだということが分かる。
従って、現場交渉系ではなく、長期戦略系の地位を確立できれば、かなり優位性が示せる。もちろん献身的な現場交渉により信頼を勝ち得るタイプの方は、それも良い。
 

私の事例

私の事例を参考までに紹介する。

私は日本では、建設などの大型プロジェクトマネジメントが強みだった。
一方で、私の英語スキルでは、社内のコミュニケーションはできるものの、建設業者や機器メーカーと交渉するのは簡単なことではなかった。
日本の経験で想像は難くないと思うが、外部業者は専門用語も多く、話すスピードも速く、正直コミュニケーションは困難。
この道で食べていくのは現実的ではないと悟った。

そこから自分の強みを分析。
ビジネススクールで学んだ戦略論と日本で鍛えたロジカル思考。
これらを合わせて、プロジェクトマネジメントの指揮、指導を役割に設定。

その様なポジションがなかったので、初めは疑問をたくさん持たれたが、とにかく動くことでイメージを持ってもらった。

このような思考は、ポジショニング戦略そのものである。

現代の働き方は「与えられる」という感覚が強く、目標達成に向けたアプローチは緻密に考えられるものの、「自分がどのような立場に立つことで価値を提供できるか?」という課題に対する思考は深くない印象がある。

その他の事例

別会社の駐在員から聞いた話は、日系の別会社との関係を強化することで新ビジネスを提案した、という方がいらっしゃった。

その駐在会社は、ビジネス戦略が弱く、アイデアが出ないため、そこにニーズを見出したとのことだった。
また、コミュニケーションのスキル不足は私と同様に感じていたということで、パートナーを日系に絞ってアプローチしたとのことだった。

このアプローチの難所は、恐らく「結果が出るまでの期間の長さ」だろう。このような「新事業提案」の場合、簡単に案件がまとまるかどうかが分からない。

その期間をどのように耐えるか、そんなことも一考すべきだろう。



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