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駐在員のリアル戦略 第五回 現地で評判を得る

皆さん、こんにちは。リアル戦略の第五回です。

前回まで、戦略や組織構造など、最初に手をつけて、心を決めるべき点について記載しました。

第五回では、コミュニケーションや心理的な部分について触れます。

好き嫌いの文化

個人の経験に基づくが、アメリカはものすごく「好き嫌い」で語られることが多い。

武士道を学んだ日本人からすると公正(フェア)じゃない気がしてしまうが、それが文化なので仕方ない。彼らに言わせれば、正直に言わ方がフェアではないとのこと。

好き=評価している、と捉え直せばそこまで違和感はなくなるはず。
「好き」にも色々な次元があって、
①人間的に大好き(仕事、プライベート全て含む)
②デキる奴
③いい奴
みたいな感じ。

せっかくなら最低でも「いい奴」と思われたいが、ここに罠がある。

合コンで「いい人」と思われてもモテないように、いい人はずっといい人のまま。「“どうでも”いい人」にも簡単に格下げされる。
そこは表現こそ違えどグローバルスタンダード。

いい奴→信頼できる奴→不可欠な奴、というような階段の駆け上がりは、そんなに簡単ではない。

むしろ、面倒な奴→出来る奴→実はいい奴→不可欠な奴、という階段の方がメインロードなのでは?と思ってしまう。

悲しいかなこれが現実。自由の国アメリカ。
実力主義アメリカですが、評判が全てです。ある意味では日本よりよっぽどウエットに感じます。紳士淑女を演じましょう。

アメリカ人は空気読みまくるし、目立とうとしないし、礼儀を気にするし(全然気にしない部分ももちろんありますが)、ステレオタイプに思っているほど単純ではない。無論、誰とでも肩組んでハグしているわけでもない。陽気に挨拶して会話を途切れさせないのが礼儀だからやっているわけであって、それが(必ずしも)好きなわけではない。
普通に面倒な文化です。
 
少し脱線しましたが、とにかく好かれることは必須要件。
もともと他人に好かれることが大好きな日本人は、この目標はあまり間違えない。でもだいたい「いい奴」になっておしまい。

面倒なことを押し付けられる役になります。
なお、彼らが明確に「押し付けよう」と思ってやっているわけではなく、「自分には時間がない、彼はやってくれる、だからお願いしよう」というだけ。 
 
やはり、ある意味で実力主義なアメリカ。実力というより、礼儀主義ではなく、メリット主義と言うべきか。

メリットを提供し、アピールしなくてはならない。
お願いされたときも笑顔で「OK!」ではなく、「本当はそれをやる時間ないんだけど、xxxさんのお願いだから特別に時間作るわ。今日は無理だけど今週中でも良い?」ぐらいの露骨なアピールを挟んでも良い。
露骨なアピールだが、面倒さをアピールしてはいけない。ネガティブワードは嫌われる要因の第一位。

ここで必要なのは返報性の原理。
上のセリフでも挟んだが「あなたに(仕事上の)好意を持っている」ことをアピールすべき。異性の場合は表現にくれぐれも注意!

アメリカ人は肯定されることが心底好き(人類誰でも好きだが)。
とにかく特別感の演出が鍵。
そして、付録も一つ。こんなのも付けといたよ!とオマケをつける。
更に数日後「アレどうだった?」と聞く。
99.99%の確率で「良かったよ。サンキュー」と言われるはずで、彼らの印象に「サンキュー」を残す。(詳細は名著「影響力の武器」をご参照下さい)
ここまでやってようやく案件終了です。お疲れさまでした。

「ここまでしたたかにやりたくないよ!」という声もあるが、
やらなくて済む人はやらなくて結構。それは幸せなことです。

ただ、マイノリティで権限もなく、何とか現状を打開しなくてはならない場合、四の五の言ってる暇はない。やるしかない。
そのぐらいの気概を見せねばマイノリティからの下剋上はあり得ない。

ネイティブからの感想

参考までにネイティブに聞いた過去の日本人の良かったこと・悪かったことをここに列挙(一般的なWeb情報とそれほど変わりません)。

良かったこと

  • 仕事の質が高い。資料が整然としていて素晴らしい。真似できない。

  • 期日を必ず守る。頼み甲斐がある。

  • 意図を汲み取ってくれる。

  • 英語の文章は間違いが少ない(皆、謙遜するが、なんならアメリカ人より正しい。本当か?笑)。

  • 提出後のフォローが素晴らしい。

  • 周囲に情報を共有してくれる。

  •  

悪かったこと

  • 会議ではYesと言ったが、真逆の行動をする。
    (単純に間違い?適当にYesと返事?)

  • 日本人だけで決定することがある。

  • 情報を隠しがち。

  • ポジティブなフィードバックが少ない。欠点ばかりを指摘してくる。

  • 細かすぎる。何回もやり直し。

  • 情熱を感じない。

  • 思ったより無礼(恐らく文化と言語の事情)。

結局、好かれる人

 
これらの文化や感想から見えてくる人物像は、
以下のような極めて標準的な日本人のサラリーマンである。

  • ポジティブで隠しごとがない。

  • 良い点を見つけて、言葉にして伝える。

  • 丁寧な仕事を維持し、期待に応える。

これを愚直にやり続ける。時にはオーバーなぐらいにやり続けることが重要。
ちなみに筆者の同僚にお土産をプレゼントする人がいたが、それは「嬉しいけど、なぜこんなにくれるのか分からない」と不思議がられていた。
 
筆者は赴任直後に仲間が一人もいないことを悟り、必死にポジティブなことを伝え続けた。

その人がやっている素晴らしい仕事を探して、
「スゴイね!」「大きな意味がある!」「私も一緒にやってみたい!」など(誇張はあるかもしれないが核は本心である)。

こんなことを伝え続けた結果、現地トップから「今までで一番好かれている日本人」というフィードバックを貰った(なお、これもポジティブフィードバックであり100%受け取らない方がよい模様)。

好かれることを戦略的に行うことに嫌悪感がある人も多いと思う。
ここでは戦略的視点でまとめたため、そのような印象を与えてしまったかもしれない。

しかし、結局みんなに好かれて、同じ目標に向かって仕事をする状態が最も幸せだし、生き残る戦略としても適切だと信じている。

では、Have a good day!!

次回をお楽しみに!!

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