投資用マンションの売り時を考える
結論から申し上げますと、投資用マンションの売り時は「各自の状況によって変わる」というのが正直なところです。この答えに戸惑う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはそれぞれの状況が異なるため、一概に「今が売り時だ」と断言するのは難しいのです。今回はその理由や、私が過去に担当したケースを交えながら、投資用マンションの売り時について考えていきたいと思います。
売り時が異なる理由
まず、投資用マンションの売り時が一律でない理由には、以下のような要因があります。
投資家自身の属性:家族構成、資産状況、年収などが異なれば、最適な売り時も異なります。
物件の購入時期・購入条件:購入時期がバブル期なのか、リーマンショック後なのかでも、売却タイミングの適切さは変わります。
不動産市況の変化:不動産価格は、経済状況や金融政策の変動によって上下します。
残債と目標売却金額:例えば、ローンの残債を完済できる価格で売却したいのか、それとも利益を得るための売却を目指しているのかによっても異なります。
こうした要因が複合的に絡み合っているため、投資用マンションの売り時は各個人によって異なるのです。
実際にあったケース
過去の事例を紹介します。あるお客様が「今すぐ投資用マンションを売りたい」と依頼してきたことがありました。話を伺うと、買取業者から「今すぐ手放さないと損をする」とシミュレーションを見せられ解説され勢いに負けて、不安を感じて売却を決意したとのこと。しかし、その買取業者が提示した金額は残債から約500万円の持ち出しが必要なものでした。
そこで私が調査し、複数の業者に見積もりを依頼したところ、一番高く買い取ってくれる業者は、持ち出し金額が約120万円で済むことがわかりました。この時点で約380万円もの差が生まれたことになります。結果として、お客様は「今すぐ売らなければならない」という焦りを取り払うことができ、最終的には「あと2~3年保有して売却する」という選択をしました。
ただしこのような事案の場合は金額を出す会社にも配慮しないといけないため試算中に多分このお客様は売るのに時間をかけるのが良いと判断しながらの他社様へ査定依頼の為にそこそこ関係値の高い場所にしか相談できなかったのでもしかしたら嫌われるの覚悟で出したらもっといい値段が付いたかもしれません。ただ物件は1つしかないので10社に出したら9社にごめんなさいはあまりしたくないのが本音ですので出すときも考えてやらないといけません。
このケースからわかるように、きちんと専門家に相談することで、大きな損失を防ぐことが可能です。焦らず冷静に対応することが、売り時を見極めるうえで非常に重要です。
売却益を目指すには?
次に、ワンルームマンション投資で売却益を狙う場合について考えてみましょう。投資用マンションは短期間での売買益を得ることは難しく、特に新築マンションは、購入後数年間は値下がりするケースが多いです。開発で価格設定を10棟戸位やったことがある私は新築は現在ですと購入した段階で購入金額の13%前後は下がるため短期売買には向いておりません。
中古マンションの場合でも、5年ほど保有してやっと残債以上の価格で売却できるというケースがいくつか見られました。新築の場合、昔は10年ほどで残債を上回る価格で売却できるケースもありましたが、最近ではその期間が15年ほどかかると推測しています。もちろん、物件の場所や管理状況、経済情勢によっても変わってくるため、見極めに注意が必要です。
そのため、最低でも中期的(10年~)な保有を前提とし、手出しの必要がない状況で売却を目指すのが現実的な選択肢と言えるでしょう。
経済情勢の変化と売り時
不動産市況は経済情勢に大きく左右されます。例えば、4年前のオリンピック前後は「オリンピックが終わったら物件価格は下がる」と言われていたのに反して価格が上昇しました。これから先、同様の予測が外れる可能性もあります。
そのため、投資用マンションの売り時を見極める際には、現在の経済状況を参考にするのはもちろんですが、それだけに頼らず、冷静な判断を持つことが大切です。
過去の購入時期と現状の売却可能性
2007年頃(ワンルーム規制前)に投資用マンションを購入された方は、現在でもしっかりと査定を行い、信頼できる業者に売却を依頼すれば、残債を上回る価格で売却できるケースが多いです。ただし、物件の種類や状態、分譲会社の存在などによって条件は異なるため、事前にしっかりとリサーチを行うことが大切です。
最後に
投資用マンションの売却は、決して「一律でこうすれば成功する」というものではありません。プロであっても正確な予測は難しい世界です。しかし、自分の状況や市場の動向をしっかりと理解し、焦らず冷静に対応することで、最適な売り時を見つけることができるでしょう。
売却時には複数の業者に査定を依頼し、価格や条件を比較すること。また、自分だけで決めずに信頼できる専門家に相談することが重要です。これらのポイントを押さえて、後悔のない売却を実現してください。