営業担当が逃げてしまう理由と対策
不動産業界において、営業担当者が突然退職してしまうケースは珍しくありません。これは特に中小企業でよく見られる現象ですが、実は大手企業でも発生しています。その理由はさまざまですが、共通しているのは厳しい労働環境や不安定な給与体系、そして過度なプレッシャーです。ここでは、その背景や原因、そして具体的な解決策について探ります。
離職率の高さと業界の実態
まず、不動産業界の離職率に関するデータを確認してみましょう。厚生労働省が発表した「令和2年雇用動向調査結果の概要」によれば、不動産業界の離職率は14.8%です。これは他の業界と比べても決して低い数値ではなく、全体の中で5番目に高い数値です。
さらに、不動産業界における離職率は、令和元年には15.1%、平成30年には13.7%と例年高水準を維持しています。このことから、不動産業界は依然として離職率が高い業界であることがわかります。しかし、これらのデータは主に大手や上場企業に基づくものであり、中小企業や零細企業における実態はさらに厳しいものと考えられます。
私が籍を置いていた会社は3年で離職率は9割位だった気がします。
そもそも入社と退社が多すぎて1か月位はいないと名前すら覚えられない位で売れてる人とは接点がありますが売れない人と会話することはほぼ無かったです。そのなか私はすぐ売れる人ばかりではなかったため何かタイミングを見つけては良く声をかけてましたが実らずがほとんどでした。
離職の原因
不動産業界で営業担当が逃げてしまう理由は、以下の5つに集約されます。
1. 激務である
営業職は特に厳しいノルマが課せられ、飛び込み営業やテレアポ、ポスティングなど、体力的にも精神的にも負担が大きい業務が続きます。また、不動産業界は実力主義であり、営業成績が直接給与に反映されるため、常にプレッシャーを感じる環境です。この激務が、営業担当者の離職理由の一つです。
2. 休日が不安定である
多くの不動産会社は土日を営業日としているため、営業担当者は平日に代休を取ることになります。しかし、顧客の都合に合わせることが多いため、実際には休日が不安定で、計画的な休暇が取りづらい状況です。また、休日返上での対応も日常茶飯事です。
3. IT化の遅れ
不動産業界は他の業界と比べてIT化が進んでおらず、依然としてFAXや書類作成に多くの時間を費やしています。これは、営業担当者が効率よく仕事を進められない一因となり、長時間労働の原因にもなっています。
4. 企業数が多く、競争が激しい
不動産業界には多くの企業が存在しており、常に激しい競争が繰り広げられています。中小企業では人材不足が深刻で、限られた人数で多くの業務をこなすことが求められます。これが、営業担当者にさらなる負担をかけ、結果的に離職を促進しています。
5. 固定給が低い
不動産業界は、歩合制が主流であり、固定給が低いことが一般的です。営業成績が良ければ高収入を得られる一方で、安定した給与が見込めないため、特に若い世代には不安要素となっています。
売れなければ時間の無駄ですし売れれば天国と緩急がストレスと人格を狂わせてしまう人も多く見れました。
離職率を下げるための対策
不動産業界の離職率を下げるためには、以下のような対策が必要です。
1. 労働環境の改善
まず、労働環境の改善が不可欠です。営業担当者が過度なプレッシャーを感じないよう、業務の分散化や労働時間の短縮、そして適切な休暇の確保を実現する必要があります。例えば、従業員が心身ともにリフレッシュできるような福利厚生を整えることが重要です。
2. IT化と業務の効率化
ITツールの導入により、書類作成やデータ管理などの業務を効率化することが可能です。これにより、営業担当者が顧客対応や営業活動に集中できる時間を増やすことができ、業務負担が軽減されます。具体的には、顧客管理システム(CRM)や物件管理システムを導入することが効果的です。
3. 給与体系の見直し
給与体系の見直しも重要です。不動産業界では、歩合制が主流ですが、固定給をアップすることで、営業担当者の不安を軽減できます。さらに、成果を適切に評価し、インセンティブを付与することで、モチベーションの向上も期待できます。
個人的な体験談:小規模企業での苦労
私自身、10人規模の不動産会社で働いていた経験があります。求人会社と連携し、約300人の営業候補者と面接しましたが、結果的に長く残ったのはわずか1人でした。激務の中で、人材が次々と辞めていく様子を目の当たりにしました。営業担当者が去った後、顧客のフォローができず、引継ぎもままならないまま問題が発生することも少なくありませんでした。
当時はインターネットの発展も今ほどではなく、飛び込み営業や電話営業が主流でした。朝7時にスターバックスで勉強し、夜遅くまで働く毎日は、体力的にも精神的にも限界がありました。しかし、このような環境で多くのスキルを身につけることができたのは、唯一のメリットだったかもしれません。
営業担当が辞めるとききちんと引継ぎが出来ると良いですが突然いなくなるとかも頻繁にありうまくできないことが多く引き継いだとしましてもサポートが当時の担当よりは劣るように見えてしまうことが多く顧客の不満が出ることも度々ありました。(かなり担当は気を使っていたのがわかります)
退職後まできちんとフォローしてくれる担当はもはやボランティアです。
感謝すべきだと私は思ってしまいます。
結論
営業担当者が逃げてしまう原因は、多くの場合、過度なプレッシャーや不安定な給与、そして過酷な労働環境にあります。不動産業界全体での改善が必要ですが、個々の企業が取り組むべきことは労働環境の改善、IT化、そして給与体系の見直しです。これにより、離職率の低下を図り、社員が長く働ける環境を整えることができます。
私はこのように分析しますがこれを実行できなかったですし会社にもそこまで体力が無いため上記が課題とわかっても出来れば売れるわけでも無いため現実とのバランスは辛いです。
ただ仕掛けと仕組みは大事だと思っておりますので時代の流れにも対応し今の打開策を探し前向きに進むのみです。