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「絵本『あんぱんまん』~はじまりのアンパンマン~」展(印刷博物館)

たまたま江戸川橋駅の方まで行くことがあり、印刷博物館でやっている「絵本『あんぱんまん』展」に行ってきました。
アニメで有名になったアンパンマンの原作にあたる絵本に関するもの展示でした。

展示内容は、複製原画や、絵本の印刷の校正指示などを展示していました。
元の絵本は、アニメ化した時のような親しみやすさはなく、アンパンマン自体は頭身がせいもあり、アンパンマンが普通のおじさんぽい…
ということは、自らの頭を他人に食べさせているということが、カニバリズム(人肉食)を思わせるということを改めて感じました。
どこまで本当かはわからないですが、外国に「アンパンマン」を持って行くと、カニバリズムを感じてしまい、拒否感がるのだとかといった話も聞きますし…
このアンパンマンの絵本を読むと、個人的にはパンはキリストの肉といったキリスト教の存在が頭をよぎります。
そうした意味では、「ウルトラマン」が観音信仰をベースにしているといった話を合わせて考えてみると興味深いと感じたりしました。
アンパンマンの絵本の絵を見ていて、よりそうしたある種の宗教性のようなものを感じたりしました。
日本において正義を行う人は、ある種の宗教家的な色彩を帯びてくるのかもしれないなあと思ったりしました。
アメリカのヒーローである、バットマンやスパイダーマン、アイアンマンといったヒーローたちは、自警団的な色彩を帯びていますし…
それぞれの民族性や国民性といったものが多分に反映されているんでしょうね。
ここら辺のことを深堀りしていくと、無限に考えが深まっていくようなテーマのような気がします。

私自体がこの原作絵本(1作目)を目にしたのは、まだアニメ放送前の習い事の控室で、小学校の中学年くらいの頃だったのですが…
その当時の感想としては、絵が拙く、話が子供じみているなあと…
あと、頭食べさせるということになんだかなあという気持ちと、食べさせた後、顔がなくなったアンパンマンのシュールな…というか雑な設定がどうなんだろうなあと思ったことを思い出しました。
基本的には、当時とは感想はそう変わらないのですが、実感としてはかなり違ってきているとも感じました。
人助けすることは、自分の身を削ることだということがより切実に感じられたり…
子供のころ読んだ時は、自分の身を削るっていうことを、実際に自分の顔を食べさせるというキャラクターにするなんて、ひねりがなさすぎて詰まらないと思っていたのですが…
幼い子供には、そのくらい直接的な表現の方がわかりやすいのだろうなあということと、母乳をイメージさせてわかりやすいのではないかとも感じたりもしました。

今どきの絵本は、もっと絵柄も内容も詰めた完成度の高いものが多いので、かなり粗削りだとも感じましたが…
その粗っぽさが、小さな子供にはダイレクトに響くのかもしれないとも感じたりしました。少年ジャンプの新人漫画家の粗削りな漫画の持つ荒々しい魅力とか…

アンパンマンの敵であるバイキンマンは、子供向きのアンパンマンの劇でいまいち盛り上がらいので、敵を作ろうとしたことから出来たのだとか…
今だったら、キャラクターを作る上での方法論みたいなものの基礎の基礎みたいなもので、当たり前のことのようなことなのだとは思ったりもしますが…
それを子供たちと向き合うことで、つかみ取って来たんだあと…
アンパンマンのコンテンツとしての強さは、そうした沢山の子供たち向き合った時間があってのものなのだということも感じられたりしました。

展示の狙いとしては、夏休みの子供向けのものといった感じでしたが、普段じっくり考えることのない色々なことを感じたり、考えたり出来た展示でした。

https://www.toppan.co.jp/news/2023/07/newsrelease220707_1.html

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