『諏訪敦「眼窩裏の火事」展示』(府中市立美術館)
Facebookで紹介していた方のページを見て、『諏訪敦「眼窩裏の火事」展示』(府中市立美術館)を観て行ってみることに…
展示は以下の3種類のテーマごとに展示されていました。
①祖父や祖母をテーマとしたした作品、
②古典的な構図題材ての静物画
③作家の興味を持って取材しながら描いた人物画
知らない画家かもと思っていたのですが、日本のリアリズム絵画を紹介しているのを、雑誌とかでみたことがある作家さんでした。
以前、リアリズム絵画専門の美術館のホキ美術館に行った時に、この人の作品も観ていたような…
その時は、綺麗な今風の若い女性を描いた作品ばかりだったので、今回は随分と画風が変わってきた感じでした。
以前の絵画よりも、画家の眼差しを感じる作品だと感じました。
そこまで突っ込んだ描写し過ぎず、表現したいものに絞ってタッチやトーン、輪郭線を入れていく…
リアリズム系の作家さんの絵を描くことに関する問いかけのようなものを感じた作品でした。
描写の強弱の付け方で、より画家の視線のあり方を感じさせているのだと感じました。
こうした精緻に組み立てられた絵は、より実際の絵を観ないと、その狙いがわからないものだなあと感じたりしました。
特に印象に残ったのは、印象に残ったのは、以下の2つでした。
1つ目は、90才すぎの舞踏家の100才越えて寝たきりになるまでの姿を描いた作品。
人を描くというよりも、皺と滲みだらけの老人を描くことで、人というよりも人間や死という存在を描いていると感じたりしました。
こうしたリアリズム系の作家さんの場合、細かく描かれていても、形状が弱かったり、質感表現が固かったりすることもあるのですが、この作家さんはそこら辺凄く巧みだなあと感じました。
というか、リアリズム系の作家さんなのに、タッチが凄く柔らかい
なので、若い綺麗な女性描いた作品はとても柔らかく瑞々しい作品となっていました。
そのタッチで描かれた寝たきりにとなった100才の寝姿は、独特の艶やかさと柔らかさを持った不思議な存在感を放っていました。
2つ目は、若くして戦地で亡くなった女性のジャーナリストの生前と死後の肖像画。
説明書きを読んでから観たということもありますが、何か2つの肖像画を見比べると独特の感慨を抱いたりしました。
近年の絵は、東欧の絵画を思わせる死を思わせる乾いた冷たい空気感や、ポスターになっているゲルハルト・リヒターぽい感じの作品とか、一般的に受けるタイプの絵から、よりアートよりの絵画へと画風を変えて行ってるのだと感じたりしました。
昼過ぎに観に行ったの時にはそれ程いなかったのですが、午後になってから、徐々に会場内に人が増えて行っている印象でした。
そういえば会場に、170センチを越えた長身の立ち姿の綺麗な女性が観にきていて、丁寧に絵を観ていたのですが…
マスクをしていたのでよくわからなかったのですが、顔の感じから、もしかして絵のモデルになった人なのかもなあ、と思ったりしました。
たまにこうした展覧会だとモデルになった方を見掛けることもあり、そうしたパターンかもなあとか…
展示数自体は、それほど多くはなかったですが、じっくりと作品を堪能させてもらえました。