『坂本龍一展(東京都現代美術館)』〜ホログラムで蘇る旋律ーー音と映像が織りなす現代アートの旅
東京都現代美術館で開催されている坂本龍一の展示に行ってきました。まだ展示終了まで2ヶ月もあるのに、20分ほど行列に並んでの入館。さすが『教授』の人気ぶりを感じさせます。
展示内容は、映像と音楽を組み合わせた、いわゆる「現代アート」的なインスタレーションが中心でした。
入場して最初に目にしたのは、大きな3つのスクリーンに映し出された映像作品です。水滴や光の粒子といったエフェクトを使った映像に、『胡蝶の夢』や夏目漱石の『夢十夜』の朗読が重なり、そこに笙などを用いた武満徹やジョン・ケージ風の現代音楽が組み合わせられた内容でした。イメージ映像と音楽、文学が交錯する独特の空間でした。
観客は椅子のないスペースでは、床に直に座りながら映像を鑑賞していました。映像と音響の広がりを味わえる作りになっており、体験型の展示でした。
特に心に残ったのは、最後に登場した坂本龍一のピアノ演奏をホログラムで再現した展示です。誰もいない会場で、亡くなった演奏者の演奏がテクノロジーによって保存され、再生され続ける…そんな場面は、SF作品の物悲しいワンシーンを思わせました。未来的でありながら、どこか切ない余韻を残す演出でした。
展示を堪能して会場を出る頃には、時計はすでに午後3時を過ぎていました。2時間半ほど展示を見ていた計算になります。出口を出ると、さらに長い行列ができており、50分待ちとのこと。坂本龍一という存在の大きさを改めて実感した展示でした。
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/