アイバン・サグによる「言語は心的器官」の考察(2)

前回の続き。
"HPSGの理論は「心的器官?」の論争になんらか解明を示すだろう"
と言える根拠について。

書籍からの引用。

本書の文法規則は十分に一般的なので、構成要素の線形順序は別として、普遍文法の自然な候補である。線型順序を別の規則に分離することは困難ではないので、その結果得られる規則を普遍文法の一部として措定することはあり得る。規則によって導き出されるような階層構造をここでは木で表現するが、こうした構造は言語に固有のものではないと論じることができる。例えば、数学的推論のいくつかの側面を表現するのにも適しているように思える。一方、「主辞」、「補語」、「指定部」、「修飾語」などの概念は、規則を定式化するのに必須であるが、言語に特化したもののように思える。・・・

アイバン・サグ 統語論入門

もうちょっとわかりやすく要約:

・HPSG理論は普遍文法の候補。
・単語の並び順(例:英語と日本語では、動詞が前の方だったりいちばん後ろだったり、と違いがある)については普遍文法に含めなくてもよさげ。
・木構造の概念は言語に特化していない。(情報科学などで広く用いられる。)
・「主辞」などは言語に特化した概念である可能性大。

これまで措定してきた素性の大部分は明らかに言語横断的に適用し得る。ここで提示した理論をより完全に詳細化した場合には、素性の総一覧が用意され、全ての言語の素性構造をそこから構築することになるというのはありそうなことである。・・・

アイバン・サグ 統語論入門

要約:

・HPSG理論で導入した素性(そせい)は、言語非依存。

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