ラオス・タイ イサーンを歩く旅 7
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ついにイサーン旅のゴールが見えてきた。
ここからは鉄道の旅。
最終目的地、ナコーンラーチャシーマーを目指し西に向かう。
シーサケートへ
タイ最東の最果て、ウボンラーチャターニーの鉄道駅は緑に囲まれた長閑な所にあった。
次の町シーサケートまでは13バーツ(50円弱)、タイの国鉄はバスやロットゥー(乗り合いバン)よりもずっと安い。
チケットを買って列車が出る時間まで、
駅前の屋台で買ったパイナップルを食べて待つ。
甘いフルーツにはチリソルトをかけて食べるのがタイのスタイル。
人も少なくとにかく静か。
むんむんとした道の向こうから、
チリンチリンとベルを鳴らしながらアイスクリーム売りのリアカーが来ると、その音を聞いた駅員のおじさんたちがみんな表に走って出てくる。
おじさんは甘党なのは世界共通。
列車内はエアコンはなく小さなファンが回っているだけ。
昼間はとにかく暑い。
窓は全部フルオープンなのでスピードが出ていれば風が入って涼しくなってくるけど、鈍行なのでノロノロ走るし、駅や列車同士のすれ違いなんかでしょっちゅう止まる。
ウボンからシーサケートまではたった1時間。
車窓からの景色を眺めていたらあっという間に着いてしまった。
シーサケートの宿に着くと、
「チェックインは14時からなので待っていてください」とのこと。
珍しくキッチリしたホテルだなあなんて思いながら時計を見ると13時55分。
この5分の待ち時間になんの意味があるんだろう。
シーサケートは田舎すぎず大きくもない普通の町。
イサーンの平均的な町はなんとなく似たようなつくりになっている町が多いのでたまに混乱する。
線路沿いにずらっと続くナイトマーケットはけっこうな規模だった。
町一番のアミューズメントスポット、スンヘンプラザ。
廃れたマルエツのような雰囲気だけど、
学生や若いカップルとかがたくさん来ていた。
小さいながらも入り口にはKFCにデイリークイーン。
スーパーマーケットにアパレル。楽器屋に本屋、ゲームセンター。
最上階には映画館まで入った、東京でいうとPARCO、バンコクでいうとセントラルワールドのような楽しい場所。
調べてみると宿のすぐ近くにミュージックショップがあるみたいなので行ってみる。
梱包資材屋を兼ねたミュージックショップの奥にはたくさんのモーラムなんかのUSBドライブやCDが並んでいた。
最近までのカセットの時代からCDを通り越して、一気にインターネットの時代になってしまったタイでは、
CDよりもUSBドライブで音楽データを売ることが多い。
CDとあまり変わらない値段で、50曲とか100曲とか入ってるのでお得。
大人しそうな店主のおじさんは英語が上手。
淡々としたマシンガントークでモーラムの歴史の説明から始まって、たくさんのおすすめを紹介してくれた。
シーサケートからスリンへ
シーサケートからスリンを目指す。
ネットで調べた時刻表を頼りに駅に向かう。
スリンまで2時間弱の旅。
相変わらずノロノロなローカル線。
鉄道も回数を重ねるごとに気持ちのいい席や、過ごし方のコツがわかってきた。
窓際の席は涼しい。
列車のスピードと同じようにのんびりとした雰囲気の車内では、おばさんたちが車内販売で買った芋虫をつまみながら談笑してる。
いまにも石丸謙二郎のナレーションが入ってきそうな(世界の車窓から)、最高にローカルな雰囲気。
車内には竿に食べ物を吊った物売りのおばさんたちも乗っていて、威勢のいい声を上げながら車内を巡回してる。
賑やかな田舎町 スリン
スリンの宿は賑やかなマーケットが出ている通りから1本入ったソイ(路地)にあった。
中心地にありながら大きなコテージのような感じで静か。
シャンプーや歯ブラシに、食器まで備え付けてある。
部屋も清潔で家具がいちいちおしゃれ。
これで1泊424バーツ(1600円くらい)は当たりだと思う。
"なんちゃらホテル(By Ladygaga)" とかいうレディーガガが経営してますよ的な謎名前。
なんでレディーガガ?
チェックアウトの時にでもレセプションのお姉さんに聞いてみよう。
そう思って町を散歩しているとすぐに謎が解けた。
ホテルのすぐ近くにレディーガガというドレス屋があった。
ここが経営してるホテルだから家具も凝ってたのか。
スリンの町の中心にはマーケットがたくさんあった。
シーサケートと同じような規模感の町だけど、人も多く活気がある。
スリンにはパブストリートがあるらしい。
久しぶりにそんなのもいいかと行ってみることに。
しばらく歩くとバーのネオンが増えてきた。
パブやバーがちょこちょこあるんだけど人通りが少なく閑散としている。
なんとなくちょうどいい飲み屋がなく、音がする方に歩いていってみると、そこにはタワンデーン。1杯飲みに入る。
タワンデーンはウドンターニーで通ったイサーンディスコだ。
スリンのタワンデーンはレストランとクラブを兼ねたような雰囲気。
ウドンターニーのようなローカル感がなく都会的で、飲んでる人もバンコクにいそうな洒落た格好の若者ばかり。
席に案内されると、すぐに日本食のメニューを見せられた。
表に赤提灯の屋台があったからそこから持ってくるんだろう。
エビフライを頼みビールを飲んだ。
歌謡曲をやるにもバンドがメインのウドンターニーのタワンデーンとは違い、
ダンスグループやアイドル歌手が多かった。
それでもみんなバックバンドの生演奏だ。
隣ではモデルのようにスタイルのいいレディボーイ(多分)がラムを飲んでるし、
ゴリゴリに着飾ったいかにもパーティーピーポーな若者グループが多く、
ウドンターニーのように気さくに一緒に飲もうなんて声をかけてくるような人はいなかった。
同じタワンデーンでも店舗によってここまでコンセプトが違うのか。
さくっと1本のビールを飲み干して歩いて宿に帰った。
最後の寄り道 ブリーラムへ
いつものように調べた列車の時間に合わせて駅に行く。
チケットを買おうと窓口に行くと、なぜか午後の列車は無いと言われる。
仕方なく列車は諦めてバスターミナルへ。
せっかく今度の宿は鉄道駅から激近のホテルだったので楽できると思ったのに。
ブリーラムまで行くバスが80バーツ(300円)。
思いがけず久しぶりにバス移動。
ブリーラムのバスターミナルにはたった1時間で着いた。
ちょうど日本で今やっているフジロックのライブ配信を聴きたいので、
あえてバイタクには乗らず、UAのライブをBGMにしながらバスターミナルから30分近く歩いてホテルまで。
ホテルに荷物を下ろすとまずは鉄道駅へ。
駅までは歩いて1分。
今日の失敗を生かして、駅で明日の列車のタイムスケジュールを教えてもらう。
駅員さんが丁寧に時間と値段を書いてくれた。
左に✔︎が入ってるのが鈍行列車だと思う。
さっきスリンの駅でも言われた通り、やっぱり午後は列車はないらしい。
大体いつも12時台くらいのバスや列車で移動するので、明日はちょっと早起きになりそう。
ご飯を食べに、近くの日本食レストランまで。
久しぶりの日本料理のラインナップにテンションが上がった結果、カツカレーに海老の天ぷら、味噌汁、コーラという訳のわからない食べ合わせで爆食。
目がチカチカするくらいお腹いっぱいになった。
腹ごなしに少し遠回りして帰る。
夕方、近所のナイトマーケットに行ってみるつもりだったけど、少し前に降りだしたスコールが小雨に変わってグズグズと長引いてしまい、しばらく部屋で待機。
しばらくして雨も止みそうもないので、弱まったタイミングで屋根の下を伝ってナイトマーケットまで行ってみたけど、やっぱり閑散としていて早くもお開きムード。
仕方なくトボトボ引き返して歩いていると、
通りがかったパブからおれの大好きなジョーンジェット姉さんの歌声が聴こえてきて、吸い寄せられるように入店。
何人かの在住ファラン(欧米人)がビールを飲んでいた。
外国人を見かけるのはかなり久しぶり。
これはタイの飲み屋あるあるだと思ってるんだけど、イーグルスのホテルカリフォルニアが流れると(ほぼ100%流れる)、サビで絶対にファランの大合唱が起こる。
ここでも例に漏れずホテルカリフォルニアが流れると、フィルコリンズを大きくしたようなおっさんが、立ち上がり大声で熱唱してた。
やっぱり欧米で育ってきたあの世代のおっさんは、全員これを歌わずにはいられないみたい。
これが、もうちょっと年齢層の低い店だと、RHCPのカリフォルニケーションかバイザウェイ、オアシスのあの曲とかでもれなくみんな歌う。
結局雨は一晩中しとしと降り続いていた。
こんなにちゃんと雨の日はこの1ヶ月で初めてだ。
雨のおかげで最後の寄り道、ブリーラムでは長い時間を湿ったホテルで過ごしていた。
イサーン旅の最終目的地 ナコーンラーチャシーマーを目指す
朝9時に起きれた。
おれの中ではちょっと早起きだ。
雨はいつの間にかすっかり止んでいる。
鉄道でイサーンの最終目的地、ナコーンラーチャシーマーを目指す。
駅がめちゃくちゃ近いので楽だ。
まだバンコクへの移動も残っているけど、
イサーンのきびきびとしたペースで移動する旅がついに終わる。
ラオスからイサーン奥地に入り、半月以上かけてここまできた。
そしてイサーンの玄関口、ナコーンラーチャシーマーはどんな町なのか。
無事9時台の列車に乗り込んだ。
車窓は相変わらず、ひたすらに広原に田んぼだ。
そういえばイサーンにはアップダウンがないな。
バスでもラオスみたいに峠を越えたりしたことはなかった。
とにかく広大な平野って感じ。
大都市ナコーンラーチャシーマーが近づいてきても
景色は相変わらず原っぱ。
列車での過ごし方も慣れたもので、
窓際をしっかり確保。
車内空いていて、向かいの席に足を投げ出せて快適。
草木の匂いのする風が車内に入りまくってとにかく気持ちいい。
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