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タイのスイスを目指す旅 2
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昨日下調べした通りに、ピッサヌロークのバスターミナルからペッチャブーン行きのバスに乗って、
カオコーの最寄りのケームソンという町でバスを降りた。
がらんとした幹線道路沿いにぽつんと東屋があるだけのバス停で降りたとて、
そこにタクシーやバイタクはおろかローカルバスが通るわけでもなかった。
近くに取ったホテルまで20分くらい歩く。
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周りには幹線道路とちょっとした山々以外に何があるわけでもない。
標高が上がったからか日差しは強いけど空気が乾いていてわりと涼しい。
昨日の段階で唯一空室のあった幹線道路沿いの安宿は、
スタッフがフレンドリーで、レセプションでは赤ちゃんや犬と触れ合えるアットホームな感じ。
観光地だからか、他は平気で一泊1万円を超えるようなリゾートホテルばっかりで、
安く泊まれる安宿はここくらいだった。
バンコクを出てから5日。
なんとか旅の目的地カオコーに着いた。
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アシがない
ここまで来た一番の目的、ワットプラタートパーソーンケーオを目指す。
タクシーもバスも通ってない。
どうやって行くか。
ホテルの近くをうろうろしてみると、ソンテウ(乗り合いトラック)が止まっていたので運転手に声をかけてみる。
パーソーンケーオに行きたいと言うと、例によって全く意思疎通ができず、翻訳アプリに頼りつつ交渉すると、
「今は無理だけど後でなら500バーツで乗せた行ってやる」とのこと。
なんだかんだ夕方近いし、タイ人の言う「後で」はいつになるかわからない。
それにおじさんがすごいグイグイ来るので面倒くさくなってきたので一旦断っておく。
ホテルに戻ってスタッフのお姉さんに相談。
すると「バイクを呼んであげる」と、どこかに電話してくれた。
電話を切ると、
「今は来れないみたいだから、ここから前の道をまっすぐ1キロ歩いて行ってみて。それとこれが電話番号ね。」とのこと。
なんだこのロールプレイングゲームみたいなノリ。
状況はよくわからないけど、とにかく言われたとおりに大通りをずっとまっすぐ歩いてく。
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さすがにもう1キロは歩いてるはず。
おれが向かっているのは店なのか、人との待ち合わせなのか、手がかりがなさ過ぎる。
埒が明かないので、教えてもらった電話番号に電話してみる。
「今カシコン銀行の先のセブンイレブンを越えたんだけど。」
と、とりあえず居場所を伝えると電話口の女性は、
「それならもう少し先の○○○って看板の店が見える?」と聞いてくるけど、
周りはタイ語の看板の店ばっかりで読めない。
それでも進む他ないので、さらにしばらく歩いていくと道端の屋台のおばさんが手を振っている。
「バイクに乗せてくれるって聞いてきたんだけど」と言うと、
おばさんは、
「Yes どれがいい?」と、道端に止められている何台かのバイクを指さした。
「ああレンタルするってことなのか!免許持ってないけどいい?」と聞くと、「マイペンライ(問題ない)」とのこと。
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丸一日レンタルで400バーツ。(1500円)
デポジットとしておばさんに1000バーツ預けていくシステム。
レンタルバイク屋じゃなくて、ただ個人で貸したりしてるっぽい感じ。
こうして無事カオコーでの足を手に入れた。
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ワット・プラタート・パーソーンケーオ
無事に相棒を手に入れたので、早速5連大仏を見にいく。
大通りから横道に入るといきなり山道。
舗装されていない道を水牛が歩いてたりする感じだ。
山道を15分も登っていくと、ひっそりとしたお寺の入り口のような階段が見えてきた。
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長い階段を登りきって、モザイク寺を抜けると目の前に真っ白い5連大仏が。
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素晴らしく独特な世界観。
タイのお寺は散々見てきたけど、
これは今までのそれとは何もかもが違ってみえる。
真っ白の大仏も新鮮なのに、その上サイズの違う5体の大仏が等間隔に連なっている。
マトリョーシカみたい。
見晴らしの良い高台にあって、
周りは山と大きな空、それに真っ白い大仏のコントラストはタイらしさとは違う、浮世離れしたような空間だ。
夢で見る「死後の世界の楽園」みたい。
大仏自体は2006年に完成したものらしく、
真新しい真っ白な大仏には、歴史ある大仏とはまた違う風格がある。
日本の仏閣なんかはだいたい大昔のものっていうのがほとんどだろうけど、
タイでは、2021年に完成してバンコクの新名所、ワットパクナムの大仏とか、
自分より歳下の大仏とかがちょくちょく見られる。
それだけは仏教はタイ人にとって今でも身近ってことか。
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小高い丘のような場所。夕方のやさしい風が涼しい。
町中のお寺とはまた違った時間が流れている。
交通手段のないこの町の観光はやっぱりパッケージツアーなんかが一般的みたいで、
たくさんのタイ人のツアー客が観光バスでここまで来ていた。
キャッキャしながらセルフィーを撮りまくったりしたかと思えば、みんな真剣にお祈りをしている。
日本の観光地のお寺よりも荘厳さがなくて、
なんとなく代々木公園とかに来ているみたいなノリ。
みんな地べたに座り込んでだらっとしたりしてる。
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周りは山々の緑と空の青。
この澄んだ空気。
年中蒸し暑いタイの人からしたら、たしかにこれはスイスみたいなのかもしれない。
おれ自身はスイスどころかヨーロッパにも行ったこともないけど、
おれのばーちゃんはスイス狂いで、
ついこの間まで毎年のようにスイスの名峰マッターホルンをトレッキングしていた人なので、
散々写真や動画を見せられてきたからスイスはもっともっとガチなのはわかってるつもり。
ただここはタイとは思えない、すっと乾いた匂いがする。
ただ緑の隙間から仏塔の先が見えたりするので、わからないけどチベットかブータン的な仏教国の秘境みたいでもある。
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湖にふたをする雲海
カオコーでもうひとつ見たいもの。
それが現地で「タレーモック」と言われている。
日本語にすると「雲海」だ。
雲海ってあんまりピンとこなかった。
カオコーでは湖の上を雲が覆って一面が雲の海、という絶景が見られるらしい。
自然現象だからやっぱり、運がよければということらしいけど。
日の出直後のちょっとの時間。
乾季(11月〜2月くらい)がベストシーズンだってことで、
たまたま時期が良いしこれは見とけってことか。
どこから見えるのかって情報がいろいろとっ散らかってるので、
バイクもゲットしたことだし、ツーリングがてら陽が落ちる前に下見に行ってみることに。
道端で蛇が轢かれて潰れてるような田舎道をバイクでしばらく走っていく。
湖の近くまでは峠道で、軽く20キロ以上の距離がある。
地図で見ていたら近く感じていたけど、なんだかんだ小一時間くらいかかった。
いくつか湖が見渡せるスポットを見つけた。
帰る頃にはすっかり夜になっちゃって、帰り道は真っ暗闇のジェットコースターだった。
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夕暮れ時も素晴らしい景色
次の日、朝5時過ぎになんとか起きた。
普段夜型のおれには、「まだ起きてる」ような時間だ。
窓の外はまだ薄暗く、どこかから民謡のような音楽と野良犬の遠吠えが聞こえてくる。
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とりあえず煙草を吸おうと、バルコニーに出るとひやっと寒かった。
間違いなく今までタイで過ごした中での最低気温だ。
たぶん15℃切ってると思う。
15℃って言ったらバンコクだと「数十年降りの大寒波」とか騒ぐくらいで、どういう訳か凍死者が出るレベルだ。
ちなみにバンコクの場合、気温が20℃を下回ると"災害認定"されるらしい。
家から成田空港まで羽織ったきりしまい込んだままの上着を引っ張り出して、半分寝ぼけたままバイクのエンジンをかけた。
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朝早くから雲海を見にきた人で賑わっている
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おれの撮影技術の限界。
写真ではあまり伝わらないかもだけど、とにかくひたすらに広がる雲から山が突き出ている。
壮大でこの世のものとは思えない、どこかの星の景色みたい。
湖にフタをするような雲。
自然が作り出す光景には計り知れない神秘みたいなものを感じる。
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湖の周りをドライブ。
走っているとちらほら唐突に雲海が現れる。
綺麗な雲海が見られるのはこの季節の日の出後、6時過ぎくらいからたった1時間ちょっとの間だけ。
今回は運がよく雲海を満喫することができた。
昨日からずっとタイにいる感が無く、一体何処を旅しているのかって感じだ。
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今回の旅の目的地、タイのスイスを存分に味わってまた旅再開。
ひとまずバイクを返しに行く。
「お寺もすごくよかったし、雲海も綺麗に見れました。ありがとう。」と伝えると、
お店のおばさんは「また来てね」と微笑んでくれた。
「ところでピッサヌローク行きのバスはこのあたりから乗れる?」と尋ねると、
「その先のセブンイレブンの前に昼過ぎに来るよ。」とのことだった。
国道沿いのセブンイレブンは、ガソリンスタンドやカフェやちょっとした屋台が一体になっているサービスエリアのような感じ。
タイの田舎でよく見かけるスタイルだ。
やっぱりバス停の目印もなにもないので念の為、
セブンイレブンの横の物産品屋のおばさんに、
「ピッサヌローク行きのバスはここに来る?」と尋ねると、
どうやらここじゃなくて、バス停は他にあるみたい。
おばさんも細かい場所がわからないので、
隣の雑貨屋のおばさんを呼んできてみたり、通りがかりのお兄さんまで一緒になって教えてくれようとする。
こういう田舎っぽい連帯感、素晴らしい。
Googleマップを見せながら細かい場所を聞き出そうとするも誰もよくわからず、
結局、「この道をまっすぐ15〜20分くらい歩いたあたり」
というアバウトな結論。
出た、またそのパターン。
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言われた通りにまっすぐ歩いてみる。
重い荷物を背負って汗だくになりながら。
遠くまで見渡せるこの道を歩いてるのはもちろんおれひとり。
しばらく歩いて行くとぽつんと屋根のあるベンチ。
スーツを着た真面目そうなおじさんが一人座ってるので、
「ピッサヌローク行くバスはここから乗れる?」と聞くと黙って頷いた。
周りになにもないベンチでだらーっと通りを眺めて待つこと1時間ちょっと。
ついにピッサヌローク行きのバスが通りかかった。
おじさんが先に荷物を持って立ち上がり、「乗るぞ」とおれに合図をした。
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日本語の情報が少なく、ほとんどの人が車で訪れるカオコー。
行き当たりばったりで来てみたら、公共交通機関でも来ることができた。
シーズンもあるのかもしれないけどリゾート地だけど人は多くなくて、町中での交通手段が皆無。
外国人も皆無なので情報も少ない。
パーソーンケーオや雲海を見に行くにはバイクを借りるのが必須としても、
借りる前、返した後の移動手段がないからいちいち平気で20〜30分とか歩くことになる。
個人でカオコーに来るなら、
ピッサヌロークやペッチャブーンの町中で車やバイクを借りて、ここまで自分で運転してくるか、
リゾートホテルを予約して送迎をお願いするがベターっぽい。
っていう感じで海外からの一人旅としてはちょっと難しい場所だけど、
神秘的なパーソーンケーオの大仏は、わざわざこれだけのためにバンコクから来た甲斐があったと思うし、
連なる山々や雲海、タイに居てタイじゃないみたいなきっとここにしかない空気が味わえる。
ここからまた地道にバンコクに帰ろう。
今回の旅の目的を終えてしまったけど、なんとなく流れなので帰り道もだらだらと書いてみる。
誰が読みたいわけでもないだろうけど、
おれのための旅の日記みたいなものなので。
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