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泰安洋行 〜ヨーロッパの旅〜 0


アラブの夜明け

ドバイの朝焼け


ドバイメトロを降りると夜が明けていた。

深夜のアブダビ空港からアラブ人でギチギチのバスに乗っかってドバイにきた。


金融街かなんかなんだろうか。
若くて大きなビルが並ぶ整然とした大通り。
どこか嘘っぽい大都市。
香港かシンガポールを思わせる。

落ち着かなくて路地に入る。

煤けた色の団地群のようなものの横をしばらく歩くと、道端にチャイ屋やモスクが現れる。

ハリボテのビル街からちょっと路地に入れば、そこに"生活"があるよなあ。

道端で甘いチャイと煙草をやることがこの都市で深呼吸するためのコツ。

大都市のイメージだけが先歩きした下町。ドバイ。


道端で飲むチャイは、どこも1ディルハム(40円くらい)。
だいたい歩道にテーブルと椅子が出てる。

昔経たインド旅の影響で、気が向いた時にさくっと道端でチャイをやる、というのは
とてもイカした行為だと思ってるおれだ。

ドバイでの一日はチャイで始まってチャイで終える。
こんなのが旅が始まったことを実感させてくれる。

on the バス inアブダビ


おれは今、アブダビのバスに乗っている。

もう一時間は乗ってるだろうか。

アブダビのバスは前半分が女性、後ろ半分が男性と席がしっかり分けられている。

タクシーなんて乗ったらいくらかかるかわからないから、プアなおれはいつだってバス。


おれは今、アブダビのバスに乗っている。

この94番バスはどこまで乗っても2ディルハム。80円くらいだ。

窓の外の景色を眺める。
がらんとした広い通りには、ケバブレストランや、いかにもアラブな服屋が並んでる。


おれは今、アブダビのバスに乗っている。

乗客はどんどん入れ替わる。
たくさんの野菜や調味料が入ったビニール袋が角に置いてある。

さっきから外は雨が降ったり止んだりしてる。
砂漠の真ん中の街にも雨が降るんだなあ。



アザーンと夕暮れ


夕方。賑やかなショッピングエリア。

モスクから祈りの時間を知らせるアザーンが響きわたると、
街から一気に人がいなくなる。

今のところツンデレでイマイチなに考えてんのかわかんないアラブ人だけど、
何かを信じたり、何かに祈りを捧げている。

人間が人間であるってことを感じて、ほっとする。

きっとこのマインドが人を優しくするんだろう。

砂漠の中の都市ドバイは
世界一高いタワーや、どデカいショッピングモールだけのメガシティだと思っていたけど、
埃っぽい下町があって、雑多な食堂街なんかがあって安心した。

気分で行ったルーブル美術館アブダビ支店では、よくわからないけど芸術に命をかけている人がいることが明らかで、少し嬉しくなった。


アブダビの世界最大級のグランドモスクは、
異教徒に開かれていながらも、
あくまでも敬虔なムスリムのためにあるのが明らかで、
それでいてショッピングモールの地下から動く歩道で直結。
そして帰りはシャトルカート、みたいな荘厳でありながら日常であるみたいな、
ムスリムの暮らしと宗教との距離みたいなものを感じられておもしろかった。


おれの旅はこれからだ。

アブダビ、ドバイはスタート地点への経由地。
長い飛行機が苦手なおれだ。

今までアジアを地道に旅してきた。
今回は一世一代のヨーロッパ。

なにがある?しらない。
なんかわかんないけどおもしろそうだから行ってみる、ってスタンスはアジアと同じ。

そしてみんながなにが面白くて、なにを食べて、なにを大切にしてるのか。
そんなことを感じに。

とりあえずまた、ここから飛行機に乗っかってローマを目指す。



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