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行政法は存在しない

アウトプットで知識の定着をしていこうシリーズです。
今日は、行政法という概念について書いていきます。
今回の記事について、要約すると
①行政法という明文化された法律は存在せず、多様な法律から成り立っている。
②多様な法律とは、成文法や不文法の全てを指す。
という内容になります。

それでは、書いていきます。

日本の大学の法律の授業については、例えば、憲法や民法、刑法という様に、各法律について行われるのが一般的です。その授業の中に、「行政法」という授業があります。これを聞くと「ああ、行政法という法律があって、それについて勉強する授業なのか」と思われるかと思います。しかし、実は「行政法」という法律は存在しません。

行政法とは、民法や刑法と言った明文化された法律は存在せず、多様な法律から成り立っているものになります。

では、行政法の根拠となる「多様な法律」とは、どんなものを指すのでしょうか。
答えは、成文法と不文法の全てのものを指します。

成文法とは文字通り、文章によって表現されたものを指します。
成文法としてあげられるのは、憲法、法律、条約(批准され公布施行によって国内法としての効力を持つとき)、命令(行政機関によって制定される法律。政令や省令、規則のこと)、条例などです。
不文法とは文字通り、文章によって表現されていないが、慣習や判例として、法律と同等程度の効果があるとされるものになります。
具体的にあげられるのは、慣習法、判例法、条理などです。聞きなれない言葉かと思いますので、それぞれについて解説していきます。

慣習法というのは、「人々の間で行われる慣習規範で、法的効力を有するもの」とされます。
慣習法については、刑法上、罪刑法定主義から、これが刑を根拠づけたり、加重するために用いることは許されていません。
慣習法が最も活躍するのは民法の領域、つまり私法の領域です。
「法の適用に関する通則法」という法律があり、その3条が「公の秩序又は善良の風俗に反しない慣習は、法令の規定により認められたもの又は法令に規定されていない事項に関するものに限り、法律と同一の効力を有する。」と規定しています。

判例法というのは、裁判所での同一内容の判決が繰り返され、その内容が法として承認されるに至ったものをいいます。

条理とは、「社会通念」ともいわれるものです。
つまり、法令上明示されてはいませんが、一般に正義にかなう普遍的原理と認められるような原則をいいます。
具体的には、信義誠実の原則や禁反言の原則が挙げられます。
禁反言の原則とは、ざっくりいうと、「矛盾してる内容、主張は聞く必要がない。」というものです。
「常識的に考えてダメだろ」という様なものも、行政法の根拠となりうるということです。

以上です。今回は、
①行政法という明文化された法律は存在せず、多様な法律から成り立っている。
②多様な法律とは、成文法(文字で作られた法律)や不文法(文字にはなっていないけど、法律と同等程度の効果があるもの)の全てを指す。
ということについて書きました。

うーん、なんで「行政法」を作らないんですかね。そういうものだと考えてきましたが、書いているうちにふと疑問に思いました。作った方が整理ができて、実務の助けにもなりそうな気はします。

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