幸福論
流した涙の分だけ幸せに
あなたは近付いているのでしょうか
正義を装い欺くリアリスト
最大多数の選択に責任転嫁
いつものテレビのニュースが
灰色の映像に変わっても
私に出来たのはただ、怒ること
死を嘆き 生を謳い
与えられた一部の平生を幸せと呼ぶ
重ねた罪の十字架を
押し付けあって自由を得
悔いを殺した笑みを
液晶越しに差し出した
払った犠牲の数だけ幸せは
必要な誰かに届いていますか
善意の仮面を被ったエゴイスト
幸せの為に切り捨てる命を選ぶ
狂ったはずの日常
それすら当たり前に溶けても
私にできたのはただ、願うこと
争いあっては消えてゆく
儚い命が涙に濡れても
きっとあなたは見ないふり
力のないまま朽ちてゆく
寂しい命の産声に
耳を貸すことも無く
命の重さを測るのか
血を流し 血を奪い
そして得る一時の平穏を幸せと呼ぶ
欠けたピースを数えては
無垢な悪役を贄にして
罪を隠した笑みを
四方八方振りまいた
死を嘆き 生を謳い
与えられた一部の平生を幸せと呼ぶ
重ねた罪の十字架を
押し付けあって自由を得
悔いを殺した笑みを
液晶越しに差し出した
ただ己の無力を噛み締めて
私は幸せです それすら苦しくて
私は幸せです だって今日も生きている