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編集力が光る!保護者に伝わる動画編集・撮影|認定こども園新屋幼稚園・ほいくえん

秋田県秋田市にある認定こども園新屋幼稚園・ほいくえん。2023年4月に「てのりの」を導入し、保護者に寄り添った運用で満足度の高い動画を配信しています。思わず見たい!と思うようなシーンの切り取り方をされている同園に、動画撮影や編集のコツを取材しました。お話してくれたのは、法人室長の横田健太郎先生です。

お遊戯会や卒園式で流すオリジナルムービー。もともとあった動画活用の習慣

夕涼み会の練習やジャガイモ収穫、避難訓練の様子など、日々の子どもたちの様子をブログで発信する新屋幼稚園・ほいくえん。
多いときには週4回と高い頻度で投稿されるブログは、「家庭と園との距離を近づけたい」という思いではじめたものです。

お遊戯会などの保護者が集まる機会には、ふだんの保育の様子などを撮りためた動画を編集したオリジナルムービーを制作。子どもたちが行事の準備をしている間、保護者が子どもたちの姿がおさめられた動画を見ながら談笑する姿は、同園にとって恒例となっていました。

「親御さんたちに、園の中身を知ってもらいたい」
そう話すのは、これまで動画を制作してきた法人室長の横山健太郎先生です。
2023年4月からは、ふだんの子どもたちの姿を伝えようと、動画配信アプリ「てのりの」を導入しました。

お話してくれた法人室長の横山先生

保護者の反響も大きい動画配信。月に2回配信からスタート

(横山先生)「保護者の中には、仕事などでなかなか園に来られない方もいます。それに、子どもたちががんばる姿を見て喜んでくださったり、『もっと見たい』という声を聞いたりしていると、『それだけ(配信した動画が)よく見られているんだな』と感じますね」

動画配信をはじめて約4カ月。
園のもとには、保護者からうれしい反響が届いていました。

動画の内容は、行事や日常シーン。
特にお散歩や給食などの日常シーンは、「自分の子どもをもっと見たい」という保護者に喜ばれていると横山先生はふりかえります。

(横山先生)「一人ひとりがしっかり映るように、一人あたり15秒ずつぐらいでカットを変えながら撮影しています。日常シーンは行事よりも一人ひとりにフォーカスした撮り方がしやすい。何気ない日常の姿も、かえって家とは違う子どもの姿が見れると喜ばれています」

行事についても、撮るシーンや撮り方を工夫しているという横山先生。
たとえば、サツマイモの苗植えでは、畝に沿ってゆっくりと横移動しながら子どもたちの表情が映るように撮影し、最近では秋の運動会の練習風景を撮りためているそうです。

(横山先生)「特に年長さんは組体操をやるので。はじめはなかなかうまくいかない姿も、お母さんたちが後から見たら『こうやって成長していったんだな』ということが見られるのかなと思って、今から撮りためています」

とある日の撮影の様子

編集時間を短縮!
撮りたい絵を想像しながら撮影する

これまで動画を撮影・編集する機会も比較的多かったという横山先生。
「てのりの」でアップロードする動画は、撮影から編集までを1台のスマートフォンで行っているといいます。

1本あたりの動画の長さは約3~4分
使用するシーンを意識しながら撮影しているため、5~6分でざっとシーンを並べるところまで編集できてしまうそうです。

◎撮影のポイント

  • 保育者や子どもに負担をかけずに撮影する
    クラスの様子を撮影する際は、保育を止めることなく撮影することを心がける。クラス担任以外が撮影する場合は、普段から保育室に顔を出すようにして、子どもたちも慣れてきた頃に撮影する(新屋幼稚園・ほいくえんの場合は、横山先生が撮影)。

  • 事前に撮るカットを想定しておく
    「ここは子どもたちの表情が映るように」「見返したときに子どもの成長の変化が見られるように」など、撮りたいカットを想定してから撮影に臨むと、その後の編集がスムーズになる。

  • 一人あたり15~20秒間のカットを撮影する
    「我が子をもっと見たい」という保護者の思いに応えるときは、お散歩や給食などの日常シーンがおすすめ。一人あたり15~20秒のカットを並べられるように撮影する。

  • なるべく中腰で、脇を締める
    動きのあるシーンを表現するのに適している「動画」。中腰の姿勢を維持したり、脇を締めたりすると、手ぶれを軽減できる。

  • 難しい場合は、潔く諦めるくらいの気持ちで臨む
    撮りたいシーンが撮れない可能性も大いにある。撮影がうまくいかない場合は潔く諦めるぐらいのつもりで、無理はしないこと。その場合、あとで動画(やブログ)に組み込めるように写真を撮影しておく。

じゃがいも掘りでの一コマ

基本はカット編集のみ。
3~4分の動画をコンスタントに配信

こうした撮影のポイントを意識しながら、同園では配信目標は月2回と無理のない頻度で動画を配信しています。
横山先生によると、配信をはじめた当初は、無料の動画編集アプリを利用していたそうですが、アプリ提供元のロゴが動画の隅に表示されることから、最近は有料の動画編集アプリを購入したそうです。

◎編集のポイント

  • 動画の長さは3~4分
    保護者がお昼休みや仕事の合間にサッと見れる長さであり、動画編集の負担も少ない長さで制作。

  • 基本はカット編集。字幕は本当に必要なときのみ
    基本は撮影した動画素材を並べて、不要な部分をカットするだけ。字幕ばかりになってしまうと、かえって保護者の想像を妨げてしまうこともある。字幕を入れる場合は場面説明のみで、過度にならないようにする。

  • ボリュームはなるべく下げて、BGMをつける
    動画の音声には、子どもの泣き声や叫び声が入ってしまうことがある。不用意に保護者に心配をかけてしまわないように、音量を調整したりBGMをつけたりする。

  • 足りない素材は写真を動画に組み込んでカバーする
    思うように撮影できなかったものの必要な素材は、写真を動画に組み込む。動画だけでなく、写真で残しておく習慣も変わらず大切に。

完成した動画は、12時に配信。
これは、同園のブログのアクセス数が多い時間帯なのだそうです。ブログやホームページのアクセス数が多い時間帯に動画を配信するという考え方も、保護者に寄り添った運用でぜひとも見習いたいポイントでした。

スマホ1台で撮影・編集・配信

保護者とのコミュニケーションツールに。
これから配信したい動画は?

定期的に動画を配信するようになり、新屋幼稚園・ほいくえんでは保護者とのコミュニケーションに変化が生まれてきました。

(横山先生)「送り迎えのときなど、今まで以上にお母さんたちに話しかけられるようになりました。共有しているものがあると、それが会話のきっかけになる。まさに、てのりのはコミュニケーションツールになっていると思います」

今後は、夏休みや冬休みなどの長期休みに、自宅で動画を見ながら遊べるような読み聞かせ動画やお遊戯で踊るダンスの練習動画の配信を検討中だそうです。

(横山先生)「いわゆるオンライン保育のようなイメージです。あとは、施設コードを新たにつくり、未就園児の家庭向けの動画をつくることも考えていきたいですね」

さらに、園内からは普段の様子を動画で撮影することが習慣になることで、「保育者も子どもの成長をより深く記録できるようになっていくんじゃないか」という声があがっているそう。

(横山先生)「そのとき、子どもは何に関心を示していたのか。本来、動画は保育にもっと役立てられるもののはず。『てのりの』は簡単なつくりでありながら、使いやすい。動画配信にハードルを感じている皆さんにこそ使ってほしいです」

園の日常をどのように切り取るか。
届ける宛先を意識して切り取る編集力があれば、過度なアニメーションのないシンプルな構成でも保護者に喜ばれる動画を配信でき、さらには保育者の気づきを深め、保育に還元することができる。横山先生の創意工夫の数々に、私たちも発見の多い取材でした。

ーー横山先生、取材にご協力いただきありがとうございました!

◎認定こども園新屋幼稚園・ほいくえん
秋田県秋田市にある認可こども園。0歳児から小学校就学までの子どもの教育・保育を行う。「心豊かで たくましい子どもの育成」を教育保育方針に掲げ、サツマイモ苗植えや組体操、英語など、子どもたちに日々さまざまな体験を提供している。
http://araya-k.com/