春雷
島あるあるのひとつかなと思うのだけど、
やけに○○な、という感じのあるときはちょっとだけ用心するようにしている。
たとえば、『よく晴れて暑い』。それはいいのだけど、『やけに暑い』日というのはそれとはちょっとだけちがう。そして『やけに暑い』日のあとは天気が激変する。
お天気が下り坂、とかお天気が崩れる、のレベルではなく『激変』。そしていまがその時。
去年は私の島暮らしのなかではじめて、デイゴが異常なほど咲く年だった。デイゴの木は幹も枝もどちらかというとグレーで、そこにあざやかすぎる真っ赤な花がつくのだけれど、例年なら満開になっても6割ぐらいしか咲かないの感じのところ、去年は『やけに赤い』と感じた。
咲きすぎるほどに咲いて、散ったその花びらが、言い方はどうかと思うが『血の海のよう』だった。1本2本の話ではなく、島にあるデイゴの木のほとんどがそんな状態だった。
因果関係は定かではないけれど、デイゴの開花と台風には関係があると昔から言われている。去年の台風は体感としてはそんな規模でもないわりに暴風域のまま5日ちかくも居座り、島民みんながヘトヘトになった。
今はどうか。台風の防風林となるイヌマキという木があるのだけど、この木の花粉がいま、すごいことになっています。もちろん毎年 花は咲くわけだし、花粉も見える。だけどここまでではないです。
先に気づいたのは夫で、数日前、北側の窓をぜったいに開けるなと言われました。花粉が舞い散り、恐ろしいことになっていると。そしてその日の午後、私も目の前が見えなくなるほどの状態を目撃したのです。
ドアノブに何かの粉が溜まっている。ポストの上も、手すりも床も、なんか薄ら黄色い。目がおかしくなったのかと思ったけれど指でそっとさわってみたら黄色い粉。ふと顔をあげたところ、もうもうと舞う瞬間を目撃して「!!」となり、あわててひとりでバケツリレーをして水をまきました。こんなことははじめてです。
防風林の役割がある木なので、1本だけポツンと存在しているということはめったになく、かなりの本数が密集して植えられていることが多いのです。そして我が家の北側は隣のおうちが植えたイヌマキの木でびっしり。すなわち花粉もモリモリ。
でも台風の被害がほとんどないのはイヌマキのおかげなのです。ほんとうにありがたい木ではあります。台所にまつる火の神様=ヒヌカンにもお供えするし、島での神行事にもつかわれる。内地でいうところの榊のような存在なのです。
でもこれだけ咲いて、これだけ花粉を飛ばすということは?
イヌマキがもしや、なにかを察知しているのでは?とも思ってしまいます。
マスク生活になってもう二年にもなりますが、あいかわらず肉眼では見えず存在も確認することのできないウイルス。目に見える花粉にゾッとしてとっさに水をまく私。何がなんだか。
突然ものすごい雨が降りだしたかと思うとバリバリと雷の音。乾燥しきった空気に割れ目を入れるかのような響き。
ART in YOUのご主人をはじめ、最近わたしのまわりでは龍にまつわる話が再燃しております。私はふだんは龍を感じるということがありませんが、雷の音をきくと龍のことを思います。なぜかはわからないけれど。