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【行政法⑦】<公務員について>

今回は「公務員」についてまとめる。


◆公務員の種類

まず、国家公務員地方公務員がいる。
それぞれ国家公務員法地方公務員法の適用を受ける。

そして、それぞれに特別職一般職というわけもある。
一般職は普通の職員。特別職は以下。

〇特別職(国家公務委員)

・選挙で選ばれたもの(国会議員など)
・議会の同意が必要なもの(人事院の人事官など)
・政治的に任命されたもの(各大臣など)
・立法府、司法府で仕事をするもの(裁判官、裁判所職員など)

〇特別職(地方公務員)

・選挙で選ばれたもの(知事、市長、市議会委員など)
・議会の同意が必要なもの(副市長など)
・法令又は条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程により設けられた委員及び委員会(審議会その他これに準ずるものを含む。)の構成員の職で臨時又は非常勤のもの(教育委員会の非常勤職員など)

そして、重要なのが、特別職の公務員は、一般的な公務員法が適用されないということ。例えば、政治的行為の禁止は一般の公務員にしか適用されない。

ちなみに、国家公務員法は第一条が過去問出題アリ。

第1条 この法律は、国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準(職員の福祉及び利益を保護するための適切な措置を含む。)を確立し、職員がその職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導さるべきことを定め、以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。

国家公務員法

【補足】行政独立法人の職員は一般的には公務員ではないが、行政執行法人の職員には、国家公務員の身分が与えられている。


◆公務員の身分(処分)

公務員には、2種類の処分がある。分限処分懲戒処分である。
これらは、行政処分となっており、審査請求の対象となる。ただし、公務員の任命については、行政処分とする説と雇用契約とする説の2説があり、明文規定はない。

分限処分

職責を十分に果たせない場合に行われる処分。例えば、心身の故障など。

①免職・・・身分を失わせる。
②降任・・・下位の職務にあてる。
③休職・・・職務につかせない。
④降給・・・給与を減額する。

懲戒処分

義務違反として課される制裁の処分。義務違反や非行など。

①免職・・・身分を失わせる。(これだけ分限処分と同一呼称)
②停職・・・職務につかせない。
③減給・・・給与を減額する。
④戒告・・・行為を戒め、反省を促す。

〇補足

刑事裁判所に係属中であっても、人事院の承認を経て任命権者は、懲戒の手続きを進めることができる。(国家公務員法第85条)

※懲戒には、「降任」という概念はない。


◆公務員の人事行政

公務員の人事は、国の場合は、人事院が、地方公共団体の場合は、人事委員会または公平委員会がつかさどる。

〇目的
職員の勤務条件に関する措置の要求及び職員に対する不利益処分を審査し、並びにこれについて必要な措置を講ずることを職務とする行政委員会である。

〇設置根拠

人口15万人以上の市(政令指定都市は除く。)及び特別区には、人事委員会又は公平委員会が置かれる。(地公法第7条第2項)
人口15万人未満の市町村及び地方公共団体の組合には公平委員会が置かれる。(地公法第7条第3項)

都道府県や政令指定都市は、人事委員会が置かれるもののようです。任命権者からは、独立した専門機関であることも押さえておきたいところ。


◆公務員の給与や勤務条件

国家公務員の場合、給与は国家公務員法63条によって定められている。しかし、勤務条件に関し必要な事項は、人事院規則で定めることができるとされている(国家公務員法106条)。

一方、地方公務員の給与と勤務条件は、条例で定めるものとされている(地方公務員法24条)。



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