【行政法②】<行政上の法律関係_公法と私法>まとめ
国または地方公共団体と私人(国民)との間の法律関係は原則、公法が適用される。(公法とは憲法や行政法である)
私人(しじん)間の法律関係は原則、私法が適用される。
しかし、前者において、例外的に私法が適用される場合があるので、それを押さえておく必要がある。
◆民法177条の関係
不動産の所有権移動については、登記が必要です。これがないと第三者に「そこは私の土地です」と言えない。まぁこの第三者というのが誰を指すかというのはものすごく難しい。とりあえずは、
当事者もしくはその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当の利益を有する者
と簡単に定義を覚えておく。
さて本題は、この「登記が必要だよ!」というのは、私法上(民法)の話なんですが、公人が関わるとその例外が出てくる。それを押さえておく。
というわけで具体例。
①自作農創設特別措置法による農地買収(処分時)
→民法177条の適用なし!
②自作農創設特別措置法による農地買収(処分後)
※国が所有後
→民法177条が適用される!
③租税滞納処分に基づく差し押さえ
→民法177条が適用される!
(国といえども、ちゃんと登記しろよ)
〇解説 自作農創設特別措置法について
この法律は戦後日本がボロボロだった時に、「農業で日本を復興しよう」という目標をもって作られた法律です。
いわゆる大地主から国が農地を強制買収し、小作農に売って農家を増やそうとしたわけです。
ポイントは、大地主から買いとるとき(強制買収の処分時)には、民法177条の適用がないのに対して、国が所有権を持った後は、適用がある!というところ。
要は、小作人に売りさばく段になると、強制買収という特権的な売買でなくて、国も私人として農家と対等の売買をする立ち位置になるということ。(民法177条は、私経済上の取引の安全を保障するために設けられたもの)
◆消滅時効(会計法30条と民法167条)
公法である会計法30条(国の会計に関する法律)と民法167条のどちらが適用されるか、という問題。
重要判例(安全配慮違反による損害賠償請求権)
自衛隊員が駐屯地で車両整備していたところ、同僚の自動車に轢かれて即死した。その親が、国に対して損害賠償請求を行った。結果、民法167条が適用された。
論点①
国と公務員の関係といえども特別な社会的関係に入った当事者間においては、信義則上、双方に安全配慮義務が発生する。
論点②
ここでは私人間における損害賠償請求の関係と目的性質を異にするものでない。そもそも会計法30条は、国の権利義務を早期に決済する必要がある
など主として行政上の便宜を考慮したことに基づくものであり、この場合、その趣旨に合致しない。
重要判例(供託金払戻請求権の消滅時効)
→供託金の払戻請求権も会計法30条でなく、民法166条の適用となる。
民法 第166条
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。
前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。
◆境界付近における建物建設
民法234条(私法)と建築基準法63条(公法)が競合しているがどっちが優先かという問題。
結論は、「防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについて」という条件の下では、民法234条が排される、というもの。
建築基準法>民法 となります。
◆公営住宅の使用について
(公法側)公営住宅法や条例
(私法側)民法や借家法
どういう関係か?という問題。
原則に則っていくが、何も書いてなければ、私法の適用はあるよ、っていうことですかね。
以上、私法と公法の関係についてまとめました。
勉強中に他の例に当たりましたら、アップデートしていきます。
とりあえず今はここまで。
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