パンストだるま #3
どうも。テニスコートの小出です。
自粛生活に浸りきった身体での社会復帰に不安しかない今日このごろ、皆様いかがお過ごし越しでしょうか?
ここではかつて私が、パンストとだるまに提案した新しい生活様式「パンストだるま」を紹介しています。今回紹介するのは3体目に制作しただるまです。
その前に、前回前々回に紹介しただるまのその後についてお話させてください。イカした雑貨イベント『フィジカルテンポ』の企画で制作した2体のだるまですが、実は1体4,500円で販売もしておりました。だるまが4,500円と聞くと少し高価に感じますが、一点物の作品と考えるとそうでもないと思います。売れなくても引き取るだけなので、期待はしていなかったのですが、驚いたことに2体とも買い手がつきました。知らせを聞いたとき、自分の作品が売れたことへの喜びと、「あんな気味悪いものをよく…」というふたつの感情が沸き上がったのを今でも覚えています。制作中も作業時以外は顔を後ろに向けて置いていたぐらいなので、買ってもらえたこと自体が意外でした。そんな結末ゆえ「パンストだるま」の記憶は、私の中でちょっとした成功体験として残ったのでした。
1体目と2体目のパンストだるま
それから2年ほどが経ったある日、ツイッターのアカウントに一通のDMが届きました。フィジカルテンポの会場で「パンストだるま」をご覧になったという地方で雑貨店を営む方からで、新しく「パンストだるま」を制作してくれないかという依頼でした。
正直戸惑いました。2年間「パンスト」とも「だるま」とも無縁の生活を送っていましたし、買い手こそついたものの「パンストだるま」の制作はそれなりに大変な作業ではあったからです。また作業時間を捻出できるだろうかという不安もありました。
しかしそのとき、心の中には不安と一緒に1体目を作り上げたときの何ともいえない感情もよみがえっていました。まだこの世に存在していない、けれどこの世の誰ひとり必要としてないシロモノを、まあまあ大変な思いをして作り上げてしまったときの、あの充実感と徒労感が入り混じった感情を。
こうして私はふたたび「パンストだるま」を作ることを決心したのです。
前置きが長くなりましたが、今日紹介する3体目のだるまはそのときに制作したものです。
今回は制作過程をお見せしながら紹介していきたいと思います。
まず粘土で素焼きだるまの凹凸を埋め、だるまの特徴をいったん消し去ります。
凹凸を粘土で埋めただるま
次に画像検索などで、いい感じの「いかにもパンスト顔(=いかにもパンストを被っている顔)」を探し、それを見ながらだるまに下描きしていきます。「いかにもパンスト顔」を選ぶ際のポイントは表情の変化が大きい顔を選ぶこと。変化の乏しい顔を選んでしまうと、元もとそういう顔の人に見えてしまう可能性があるので、できるだけ「いかにも」な顔を選ぶことはとても大切です。
下描きをしただるま
下描きを終えたら、絵具で着色していきます。パンストのつくる曲面を感じながら、なるべく全体的に進めていきます。
着色をしただるま①
おおまかな雰囲気をつかむことができたら細部を描いていきます。逆立つまつ毛や唇と歯茎の間にできた空間に気を使うとそれらしさが出てきます。
このあたりで注意が必要なのは、決して我に返らないようにすることです。いったん正気を取り戻してしまうと、ふたたび作業を再開することは非常に困難です。
着色をしただるま②
参考画像を見ながら修正しつつ、さらに描いていきます。もっと前でやめてもいいし、もっと描いてもいいのですが、このときはここで終了としました。
着色をしただるま③
最後にパンストをかぶせます。これで一気にらしさが増します。これほどパンストの力を感じる瞬間は他にはないのではないでしょうか?
パンスト被っただるま
DMをくれた雑貨屋さんにこの画像を送ると、感謝の言葉とともに、へばりつく前髪をつけてほしいとのリクエストを受け、描き加えました。だるま感は薄まったものの、パンスト感は増したのかもしれません。
前髪を足しただるま
こうして3体目を制作し終えた私に、雑貨屋さんからさらなる注文が舞い込むのですが、そのことのは次回以降に紹介させていただきたいと思います。
世界中の人々が、マスクではなく、パンストを被ることができる日が、一日でも早く来ることを願って。