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アパート日記6
二〇〇八年八月十九日
私が現在住むアパートサンコーポ沼袋にはインターホン&受話装置(?)が設置されています。
今まで住んだアパートには呼び鈴はあっても受話装置まではなかったので、その初使用を心待ちにしていました。そして早速、来訪された新聞勧誘員の方と受話器越しの会話を楽しむことが出来ました。
ただ、受話器から玄関扉の距離が非常に近く、玄関扉が軽く薄い素材で作られているため、来客者の生の声のほうがより大きく聞こえます。
さらに、受話器を通し外の受話装置へと送られた私の声もドアを通り抜け室内まで聞こえてきます。
訪問者も私とほぼ同じ状態に陥ったと思れ、頑なに契約を拒否する私の態度と相まって勧誘員の方は次第に興奮しはじめ、勧誘する声も大きくなりました。錯綜する声と会話に耐え切れず私は受話器を置き、ドア越しに直接話しました。最終的には「また来る」ということで話に決着がつきました。
アメリカ的プラグマティズムが蔓延し合理化する現代社会、文明の利器に溺れ、人間は大事な何かを見失いつつあるのではないか、そう思わずにはいられない出来事でした。
追記 最近、受話器の音量を「大」にできることを発見しました。
※本文にあるアパート名は実際はひどくよく似た違う名称です。
(テキスト:吉田正幸)
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