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肩関節周囲炎の夜間痛に対する運動療法
肩関節周囲炎で起こりやすい「夜間痛」の改善を目的とした運動療法をご紹介致します。全て動画コンテンツにて、体系的に学ぶことができます。
※ 注意 ※
ご紹介する運動療法は、臨床での汎用性の高いものをピックアップしております。そのため、本内容は全ての症例に当てはまるものではありませんので、対象者の状態に見合ったものをリスクも加味した上で、慎重に応用していただければと思います。
本動画はすべて【note公式アプリ】ではなく、【ブラウザ】でご覧ください。
前提条件の共有
・夜間痛の原因
まずは肩関節周囲炎における夜間痛の原因について共有しておきます。
実は、夜間痛の原因については一定の見解が得られていないのが現状です。
ただそんななかでも多くの報告はあり、いくつかの説が考えられます。
・肩峰下圧の上昇説
・上腕骨内圧の上昇説
・長時間の同一姿勢説
・外部刺激の遮断説
・皮膚温の日内変動説 etc…
これらの説を踏まえた上で、患者の状態を加味して原因を精査していく必要があります。
なかでも個人的には【肩峰下圧の上昇】【上腕骨内圧の上昇】この2つは夜間痛に大きく関係している印象を受けます。
あくまで治療的評価をしてみての改善度からの印象には過ぎませんが、多くの文献でもこれらが取り上げられていることが多いです。
裏付け↓
腱板断裂の術後に夜間痛の消失した患者の術前、術後の肩峰下滑液包の圧を測定した。 術後の圧は術前に比べて有意に減少していた。 肩峰下滑液包の圧増加が夜間痛出現の一要因であるものと推測された。
夜間痛を有する症例では、有意に骨内圧が高い。
そのため、これら2つに対する介入が夜間痛の改善への近道だと考えています。
・肩峰下圧の上昇 その原因は?
肩峰骨頭間距離の短縮
▶肩峰や上腕骨頭の骨棘増殖
▶上腕骨頭の上方変位
第2肩関節に存在する組織の浮腫や癒着
▶肩峰下滑液包炎や腱板炎による浮腫
▶棘上筋の筋攣縮や肩峰下滑液包の癒着
▶関節包の肥厚、線維化
ざっと羅列すると、こんな感じです。
骨棘増殖は器質的な問題であり、リハでの改善は困難ですが、その他の要因からポイントは上方組織にあることが分かります。
炎症による浮腫ならまずは安静を。癒着ならば滑走性・伸張性の改善を。
このあたりが肩峰下圧を減少させるためのポイント、すなわち夜間痛を改善させるためのポイントです。
・上腕骨内圧の上昇 その原因は?
これは骨内へ進入した血液が、そこで留まってしまうことで起こります。
要は動脈ではなく、静脈が圧迫されることが問題となります。
ここに関わりのある血管としては、上腕骨の栄養血管である後上腕回旋動静脈です。
![](https://assets.st-note.com/img/1727169164-B1y9LAi6JTKYqkREN0hMfn2I.png?width=1200)
動脈には血管平滑筋が存在するため静脈に比べて動脈には硬さがあり、圧迫の程度によっては動脈は圧迫されず、静脈が圧迫されるなんてことが起こり得ます。
![](https://assets.st-note.com/img/1727169173-hUI395Okiz1FueRDJT4McASs.png?width=1200)
そんな後上腕回旋動脈の表層には棘下筋や小円筋が位置しており、これらの筋が過緊張状態にあると、骨内圧の上昇が起こることが考えられます。
つまり棘下筋や小円筋の緊張を緩めることが骨内圧を減少させるためのポイント、すなわち夜間痛を改善させるためのポイントです。
・夜間痛患者の特徴
夜間痛患者は非夜間痛患者に比べ、下垂位外旋、結帯動作の制限が強く、GHA(gleno-humeral angle)が大きい。
こういったことが記されています。
ちなみにGHAが大きいということは、すなわち肩甲上腕関節が外転位であるということになりますので、内転制限があると捉えることができます。
下垂位外旋、結帯制限、内転制限の原因を考えてみると、
下垂位外旋はなぜ起こるのか?
→前上方組織の伸張性・滑走性低下
結帯制限はなぜ起こるのか?
→後上方組織の伸張性低下・滑走性低下
内転制限はなぜ起こるのか?
→上方組織の伸張性低下・滑走性低下
このような形となり、これらに対する介入が夜間痛改善に効果的かもしれません。
こういったことを踏まえた上で、夜間痛改善に向けた運動療法をご紹介致します。
少しでも臨床のヒントになっていれば幸いです!!!