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ちゃんと正しい栄養になる

友達と暴食に勤しんだ。
鍋パ&徹夜でのハリーポッター鑑賞会。
お品書きは豚骨にんにく鍋(〆はラーメン)、
ホールケーキ、ポテチ2袋にその他色々お菓子。
こんなバカみたいなわんぱく食欲で、意気投合できる友達がいるというのは、間違いなく幸せなこと
だと思う。
午前3時にハリーポッターを観ながら食べるポテチはおいしかった。

お日様が登った後も、お昼近くまで友達の家で
テレビを見て過ごした。
家にテレビがないので、地上波放送を見られることが少し新鮮で楽しい。
ワイドショーも、コメンテーターたちの話す内容は分からなかったけれども、それでも楽しかった。
ようやくテレビにも飽き、友人と外に出たのはもうお昼近くのことだった。少しふらふらする頭と、
徹夜後特有の高揚感を抱えた体にはお日様の光はいつもよりもちょっと眩しかった。
昨晩はいささか食べ過ぎた気もするな、と感じた。

隣を歩いていた友達が、近所に美味しい珈琲屋さんがあるから飲みながら歩こうと提案してくれた。
麻とジャズの雰囲気のする珈琲屋さんに入り、はちみつの香りのするベトナムの珈琲を注文する。
「ここは私がごちそうするよ」と友達が申し出る。
「急にどうしたの」
「なんとなく、気まぐれよ」
ちらりとこちらを見て、さり気なく言ってくれる口調から、私に今収入がないから気を遣ってくれて
いるのかな、と思った。
この子が何か悩んでいたら、私もおいしい珈琲を
ご馳走してあげたい。

食べ過ぎたとはいえ、それ位の事で一日三食を
欠かす私たちではない。
駅前の商店街で、落ち着いた雰囲気の定食屋を
見つけ、迷うことなく店内へ進む。
「いらっしゃいませ」と、ほっぺがふっくらリンゴ色につやつやとした店主に笑顔で迎えてもらい、
ここは当たりだ、と確信した。
絶対においしいものを食べさせてくれる人の
笑顔は、みんなどこか似ている気がする。
そしてその予感は基本的に間違えたことはない。

友達は角煮丼定食、私は鶏そぼろ丼定食を注文した。食べ過ぎたと思っている癖に丼を頼むのだ。
本心には抗えない。
羽釜で炊いたふっくら白米の上に敷かれた、
ふわふわで丁度良い甘辛さの鶏そぼろ。
そして真ん中には白くてとろりとした温泉卵。
昆布とカツオのお出汁が中心の、控えめな味付けの赤味噌汁。
自家製のぬか漬け、セロリの小鉢。

暴飲暴食後は、定食が身に沁みる。
その一口一口に感動しながら、やっぱり人の作ってくれるごはんはおいしいなと思った。
丁寧に、おいしく作ってくれた食事は全部体に
ちゃんと収まる感じがして、昨日のわんぱくご飯でさえも、全部きちんとした栄養に変えてくれるような気がした。
その定食屋は、料理人さんの手元が見えるスタイルになっていて、料理をしている様子をぼんやり見ながら、私もまた人にご飯を作ってあげたいと思える日が来るんだろうかなんてことをふと考えた。

定食屋を出て、陽だまりの中を歩きながら駅に
向かう。お日様は本当に偉大で、浴びていると
気持ちいい。
「昨日、包丁で鍋の具材切ってくれたじゃん?」
友達がちょっと眠そうな口調で私に話しかける。
「うん、そうね」
「家の中で包丁とまな板の音聞くとなんか、安心
した」
「わかるなぁ」
胸の中が、沢山お洗濯をしてとろりとした麻のような気持ちでいっぱいになり、今幸せだなーと確信
した。




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