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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

「ぬいぐるみとしゃべるひとはやさしい。話を聞いてくれる相手がいるだけでいいこともある。それだけで少し人生が楽になる。」

92年生まれ・大前粟生はとても切実な言葉を書いてくれる。これもジェンダー小説に分類されてしまうのかもしれないけれど、全く違う。
松岡正剛の『フラジャイル』を思わずにいられのいのですが、今の時代においてマジョリティや強さに回収されず、弱さを軟弱、脆さ、危うさを抱えている人こそ自分に嘘をつかない誠実さを持ちうる人と思わずにはいられません。
組織や強さや確かさばかりを善として自分を犠牲にしてきた私たちにとって、とても染みる一冊です。
おろすことを肯定してくれる、そんな本です。

子どもが「すみっコぐらし」を見ている横で読んでいたのですが、妻が表紙を見て「すごい本読んでいるね」と。ある意味バリキャリ志向の強かった(過去形・いまだに強さを善としていて側から見ていて生きるのが辛そう・夫婦だけど別人格であることを尊重することでしか共生できないのであえてこのように書く)妻にそう言わしめたことが、色んな意味で装幀もとてもいい仕事をしています。

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