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結局は「地域」にしか拠り所はない、のか。

難しい本です。

ベーシックアセットとは所得保障だけでなく、帰属するコミュニティを提供することが大事ということは伝わってきました。そのコミュニティベースのサービスのあり方を考える、ために協同組合やワーカーズコーポによる育児や介護サービスを。という提案だと思いました。一方で、著者は幼保無償化は保育の質低下や富裕層にとってより優遇された政策=マタイ効果と指摘しています。

ワーカーズコーポやコミュニティオーガナイジングは介護や若者の就労支援には効果的でしょう。しかし育児の面で果たして有効なのか。その辺りは疑問符がつきました。ハンデを持っている若者の底上げには有効なのかもしれませんが結局のところ地域格差が生じないのか?とも思いました。

著者があえて指摘しているのは、こうしたリベラルの批判によってこれまでパターナルのようにも思える地域を軸とした制度ができなかったといいいます。

格差社会を救うのは、結局は地域なのか?しかし地域をおいて他に救うものは現実的にこの社会の中でない中、地域をどのように立て直すのか?介護の問題、育児の問題、そして格差などの社会問題を考える時に私たちの拠り所は地域しかない、ということに気がつきます。

生活困窮者自立制度の法案審議の過程から、宮本太郎さんの議論に注目していました。本書は「生活保障」「共生保障」に次いでこの20年の福祉政治の総括も踏まえた読み応えある本です。また自らの政治的態度ということも本書によって明らかにすることもできます。

皆が暮らしやすい社会を、あなたはどのように考えますか?

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