「打ち合わせしない」:Thrill Me 木村前田ペア

スリルミーというお芝居について考えるときに、この舞台が二人芝居(+ピアノ)であること、同時に3ペアで公演するということ、物語の解釈に演者の意向が入ることなどから、『俳優がこの舞台に対してどういう思いで向き合っているのか』という方向に思考が行くようになりました。
なので、このnoteは、舞台「スリルミー」の考察ではなく、「スリルミー」演者が私および彼を演じたことに関する考察になります。

追記(2023.11.13)

木村さんのラジオ(?)(前田さんゲスト)を聴きました。想像通りのところもあったし、想像とは違うところもあったけど、お芝居の裏側を少しでも知れて良かったです。「ギャルサーの中に飛び込んでしまった前田公輝さん」って、その書き方だと木村さんはギャルってことになるんだけどそれは問題ないの? まあラジオ聞いてたらギャルでも違和感なかったのでいいか。(長くなりそうなので、ページを分けて後日感想を書きたいです)


「打ち合わせしないペア」


木村私のほうから「打ち合わせしない」というコメントが有ったとのことだが、「打ち合わせ」とはどのレベルを差すのか。
さすがに稽古は一緒にやっただろう。セリフのタイミングもあるし、なにより歌がある。ハモリもユニゾンも、音自体はピアノの伴奏で獲得できるとはいえ、配信を見るに歌いだしのタイミングは演者に合わせてピアノを弾いていたし、前田彼が柱を蹴るときの音はピアノの板のところを叩いていた。小刀で指を切るときも鍵盤の音だった。
とすれば、登場人物の解釈部分か?

スリルミーの脚本を実際に読んだわけではないので推測だが、セリフは翻訳であることもあって、どこか噛み合わない語り口に感じた。感情をどのように乗せることも可能に思えた。ということは、お互いの解釈がずれていたら会話のやり取りが半分以上ある劇で、だんだん収拾がつかなくなるのでは。

前田彼がどういう演技プランを持つ人なのか、ネットに乗ってる情報ではいまいちわからないんだけど、どちらかというと準備して本番に臨むタイプなのでは、という印象を受けた。わー苦労してそう。
スリルミーは私が主役で彼が準主役なのかな。
私が物語を始め、私が物語を終わらせる。なので、私がこの劇を支配し、彼はその補佐なのだと思う。
ということは、私の感情に合わせて彼は動かないといけない。私に修正の余地は残されているが、彼は私の感情に合わせて演技を返していかないと、彼の芝居が失敗したと思われる。

わたし(筆者)が彼役をやるとしたら、木村私みたいに「打ち合わせしない」っていう役者は面倒くさい相手だし、常に木村私に気を配っていないとならないから疲れる。
木村私と舞台上の演技がずれてきたときのリカバリポイントが欲しい。このタイミングで「私」はどう考えているか、という答え合わせが欲しい。木村私みたいな演者は自分勝手に動きそうだから怖い。

前田彼はほどほどにお節介焼きというか、お世話するのが好きなタイプみたいだから、木村私に「好きに動いていいよ。ついていくから」って笑顔で言ってそう。もし木村私の性格が読めないと内心思っていても、「達成くん、ちょっと飯いかない?」とか言ってご飯誘って会話して、木村私のキャラを掴んでそこから演技パターンを攻略してそう。うわーめんどくさ…。
でも世話焼きの人は世話焼きたいから世話焼くわけで(早口言葉かな)、『俺はこうしたいからこうする』人と『君がどうしたいかなんて俺にはすぐにわかる(し、フォローできる)』人の組み合わせなら、上手くいくんだろうな。

木村私の「打ち合わせをしない」の意図が、打ち合わせをすることにより相手の行動が読めてしまい、新鮮味がなくなって自然な演技が出来なくなる…ということだったら、気持ちは分からなくもない。練習しすぎると飽きちゃって本番で雑になるって人?
そういう人って深みの足りない人か、逆に感覚が敏感で感情の些細な凸凹に気を取られて自分を見失う人だと思う。
あまり詳しく書きたくないけど木村私は前田彼の名前の呼び方(ごうさん)で繊細さを感じるので、人とは違う変なとこでナイーブなんだろうなと思った。知らんけど。 ラジオで「公輝さん」って呼んでたのでナイーブでもなんでもないわ。失礼しました。
声の出し方ひとつをとってもそうだけど、本来真っ直ぐな光線にちらちらプリズムが混ざる感じがする。

前田彼は、ミュージカルはまだキャリアが浅いらしい? 戦国鍋で歌い踊ってたのはミュージカルではない……か、それはそうね。
ロミオとジュリエットでベンヴォーリオ役を演じて以来の今回の彼役とのこと、いきなり大きい役ですね。
インタビュー動画をいくつか(スリルミー以外でも)見た上での感想だと、やってることがマネージャっていうか司会者みたいで常にフォローにまわっているし、自分のインタでもPRを入れて卒なくこなしていた。でも出しゃばる感じでは無くて、誰かと発言が被りそうになったら、さっと引いてた。めちゃくちゃ気配り屋だった。まわりの会話をよく聞いてる人だな…頭はいいんだろうけど、抜け目がなくて、損な性格してると思った。
森林とか土とかどんぐりのイメージを持ってます。あるいは子猫に顔をはたかれる大型犬のイメージ?

なんかいきなり思い出したけどスリルミーの最後で99年を歌いながら掃けて行ったあと、木村私が54歳に戻って釈放される間に一所懸命に衣装やヘアスタイルをピシッと整えて最上段に立つのって、時間的に余裕だったのかな? それとも必死にスリルミーしてた? メイク直しもしてそうだったし(肌がピチピチになってたし)…大変だよね~二人舞台。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?