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訥々と、夜が




私の右腕が一本と、彼女の頭がひとつあって、その重さで沈む布団がある。控えめにすーすーいってた呼吸が、ゆっくりと大胆なものに変わる。
安心に音があるなら、こんな感じだろうな、と思う。

彼女が自分の二酸化炭素で溺れないように、少しだけ体を逸らせて、空間を作る。左の首筋と肩甲骨が、複雑に、そして小さく、キシッとする。
幸せに痛みが伴うなら、このくらいがいいな、と思う。

体勢を変えた彼女がいて、それを見ている私がいる。彼女の右足が私の腿に置かれて、彼女の右足一本分、やっぱり布団が沈む。
愛に重さがあるなら、ちょうどこのくらいだろうな、と思う。


不安に底があればいいし、悲しみにも少しの温かさがあればいいな、と思う。

疲れに終わりがあればいいし、あなたには私がいればいい、と、思う。

今日も訥々と、夜が。

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いつか
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