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風の通り道
登場人物
都立高校、3年1組の教室、朝
相田優子が1人、座っている。
首を左に向けて、窓の外を見ている。
間
亜美が入ってくる。優子を一回見る。自席に荷物を置いて、同じドアから出ていく。
少しして、圭一郎と智幸が、会話しながら入ってくる。真ん中あたりの椅子に圭一郎が座り、智幸はその右隣の椅子に座る。圭一郎は智幸の方を向いている。智幸は前を向いて、首だけを圭一郎に向ける。
すぐ後を先生が入ってくる。
先生「おはよう〜、相田ちょっと前ごめんな。」
先生が事務的な動作で、窓を開ける。
先生「換気だよ、換気。」
窓を開けながら優子に言う。優子は先生の背中を見て、すぐに窓のほうに向き直す。
先生が入ったドアとは別のドアから出ていく。
智幸、教科書を読み始める。
圭一郎、自分の席に座る。膝の上にノートを広げ、何かを書き始める。
ペンの音が微かに聞こえているような、それを皆が聞こうとするような、間、静けさ。
葵が入ってくる。
葵「おはよー」
圭一郎「おはよう」
智幸「おはよう。現代文の宿題やった?」
葵「見せないよ」
葵、優子の右どなりの椅子に座る。
葵「おはよう。」
優子、少しだけ葵を見る。また窓に顔を向ける。
葵、智幸の方を向く。
葵「亜美知らない?」
智幸、葵の方を見る。圭一郎手を止める。
圭一郎「荷物はあるけどね。」
葵、圭一郎を一瞥する。入ってきたのと別のドアから出ていく。
圭一郎、何かを読む。智幸も何かを読む。
間
亜美と葵が話しながら入ってくる。智幸に近づいて
亜美「5組のなつき、学校来てた。」
少し離れた自席から
圭一郎「まあさすがに、今日は来るでしょ。」
亜美と葵、出ていく。