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選ばれた言葉の注意

職場で注意された。
気が抜けていて、十分に業務をこなしておらず、お客さんに対して誠実さが欠けているのではないか、と。


私は子ども向けの施設でアルバイトをしている。ワーホリ前に退職して、帰国後に復職した。通算で2年と数か月、歴で数えても長いほうになってきた。施設自体がオープンして2か月ほどで働き始めたので、職場のカルチャーや歴史は知っている方だと思う。
仕事内容に関しても、基本的な知識は入っているし、スタッフ間でのコミュニケーションにも不安はない。誰に相談するべきか、頼るべきかは判断できる。

私のこの1か月ほどは非常に充実していて、無事に就職活動が終わり、誕生日を楽しみ、読書に勤しみ、学期末を潜り抜け、同僚とご飯を食べていた。公私ともに充実していて、不安や緊張はかなり薄れている状態だった。

そんな状態で迎えた施設のイベント当日、たくさんのお客さんが来館し、大賑わいだった。
私も5連勤目(復帰後初!)でだいぶ疲れていた。そのあとに飲み会の約束もしていた。

なんとか、という気持ちで仕事を終え、うきうきで退勤しようとしたときに、先輩に声をかけれらる。この先輩は働き始めたころから一緒に働く人で、長くともに仕事をし、すごく頼りになる。一緒にご飯へ行ったことも何度もあるし、すごく面倒を見てもらっている。
ほかの人の目につかないタイミングを狙って「ちょっといい?ここ最近なんだけどさ」と切り出されて、最近の私の勤務態度と業務の不十分さについて注意してくれた。すごく元気な人だけど、真剣な話のときには声色を変えて、それでいて重くなりすぎないように配慮してくれた。注意の根底には、「あんたがもっと仕事できるのは知ってるよ!いいやつなのは知ってるよ!だからこそ、もったいないし、惜しいじゃん!」という気持ちがあったように感じた。そういった言葉もくれたし、そういう言葉選びと話し方だった。
最後には、「この後飲み会なんでしょ? 楽しんできなよ」と放ってくれた。

飲み会メンバーと合流してからは、普通を装いたかったし、この飲み会をぶち壊すことを先輩も望んでいるわけではない。けど、情けない思いが頭に過って、背中が汗ばんだ。会の中盤くらいから同期のお陰で、会に集中して楽しむことができた。初めての面子だったけれど、本当に楽しい飲み会だった。


帰りの電車、私だけJRだった。
改札からのエスカレーターから、誰もいないホームの端へ歩いた。気持ちよくアルコールが全身に巡って、ベンチに座って、みっつ深呼吸をした。
必ず感謝をしなくてはならないと、改めて正気になってLINEを送った。