彼の話-6

実は彼には彼女がいる。無職の男と付き合う女性っているんだなぁ。彼自身もまだ付き合ってくれている理由はわからない。

彼女とは大学時代の部活動で出会った。
彼から告白した。告白方法がLINEだったので未だに周りから非難される。しかし、彼は面と向かって告白できるほどのメンタリティも無かったしフラれる可能性もあった。まだ部活動で人間関係を維持するならLINEでの告白くらいの方がよいのではないかと考えていた。いや、これは後付けの理由である。彼はビビってLINEで告白したのである。

何故、彼は彼女を好きになったのだろうか。彼女は自分のできないことを人のせいにしない人間だった。彼女はそれを思ったところで現状がよくならないことを知っている。そういう行為を無駄だと思っているのかもしれない。そういうところが好きだ。

彼女は人前では明るく振る舞おうと心がけていた。そこも好きだ。実際は明るい性格ではないが明るく振る舞った方が好かれることを知り、実践している。この努力が好きだ。

彼女はサプライズプレゼントなどの人を喜ばすことが好きだ。彼はいつも彼女のサプライズに毎回上手く反応できないで申し訳ない気持ちになる。でも、本当に尊敬できる点である。人を喜ばすことは人を幸せにすることが好きな人だ。そんな人は良い人だ。だから好きだ。

彼女は頭ごなしに否定しない。彼女は人がそれぞれ違うことを理解している。だからだと思う。好きだ。

他にもいろいろ理由はあると思う。ただ、全ては後付けだ。要は彼は彼女が好きなのである。別れようと彼女が言う日までは彼はできるだけ一緒の時間を過ごしたいだけなのである。