フリーミアムの成功例と失敗例をそれぞれ3つご紹介
マーケティング戦略の1つとしてフリーミアムがあります。実際にリリースされているアプリでも多く見られますが、本当に効果はあるのか気になったので調べてみました。ここでは成功例と失敗例を3つずつご紹介します。
フリーミアムとは
フリーミアムは基本的なサービスや製品を無料で提供し、より高度な機能については課金をする仕組みのビジネスモデルです。つまり、基本無料の課金アプリですね。みなさんの中でも実際のアプリが死ぬほど思い浮かぶかと思います。
フリーミアムにするメリットとデメリットには以下のようなものがあります。
【メリット】
ユーザーの導入ハードルを下げることができる
顧客基盤を広げることができる
有料ユーザーのLTV(顧客生涯価値)を高めることができる
【デメリット】
有料プランの魅力が低いと収益性が低下する可能性がある
有料プランへ移行したくなるような工夫が必要
ローンチ直ぐの間は黒字化が難しい
仕組み、メリット・デメリットは直感的にも分かりやすいかと思います。ちなみに、有料ユーザーは5%いればビジネスが成立するといった「5%ルール」といったものがあります。※5%は明確な数字ではなく仮の数字として捉えていた方が良いです
フリーミアムの成功例
成功例①YouTube
動画サイトYouTubeはユーザー数が非常に多く、この記事を見ているみなさんも利用しているかと思います。YouTubeは基本無料でありますが、課金することで広告削除やオフライン再生ができるようになります。
YouTubeのアクティブユーザー数は世界で25億1,400万人(2023年10月)であり、プレミア会員は8,000万人(2022年9月)となっています。割合を求めると約3%ですね。前述の5%ルールから考えると満たせていません。ここから分かるとおり、別に5%を満たせていなくても運営はできます。ただ、YouTube Premiumのユーザー数は急増しており、今後も伸びる可能性が高そうです。
例として、全契約が個人のものだとすると年間で約123億円となります。母数の大きさから収益額が他のアプリと比較しても大きいですね。リーチする対象が広いほど母数の影響を考慮する重要性が上がります。
成功例②Dropbox
Dropboxはオンラインストレージサービスであり、ファイルを共有したりクリエイティブ作業をワークフロー化できたりします。Dropboxは「新規ユーザーの紹介でストレージ容量の拡大」といったプロモーションをおこない、そこから気に入ったユーザーが有料版に以降する形で成功しました。
また、創業者のハウストン氏が下記のように面白い提言をしています。
フリーミアムは「母数×有料移行%」なので、母数の大きさが重要になります。有料移行%を高めることももちろん重要なのですが、難易度的に母数を大きくするほうに注力しているものが多く見られます。ここからBtoCのサービスも多いです。
成功例③Abema TV
Abema TVはサイバーエージェントとテレビ朝日が協働で運営しているインターネットメディアです。基本的には無料ですが、期間が過ぎているものは見ることができない、一部有料動画がある、などでフリーミアムの形を取っています。
東洋経済の記事によるとプレミアム登録者数は130万人との推計が出ているため、推計収益額は月額960円×130万人=1億2,480万円です。
ただし、サイバーエージェントの資料より周辺事業の収益のほうがかなり大きくなっています。こちらの資料を見ると上手く分配されており安定性が高そうですね。
ここまでで分かるように、フリーミアムにも一度買い切り型(上記のPPV)や月額課金、広告収益などさまざまな形があります。
フリーミアムの失敗例
フリーミアムの成功例は多く知られていますが、失敗例はあまり着目されていません。フリーミアムは何となく成功しそうなものですが、ここで失敗してしまった事例についても確認しておきましょう。
失敗例①Chargify LLC
Chargify LLCは支払い請求管理ソフトであり、本ソフトをフリーミアム化に挑戦しました。しかし、結果的には失敗し、経営を一時的に傾けてしまっています。
失敗の要因は無料プランで充分すぎたからです。無料プランで充分なのであれば熱狂的なファンでもなければ有料へ移行しませんよね。このようにフリーミアムには無料プランと有料プランのバランスが必須です。
失敗例②PANDORA
PANDORAはアメリカでは人気オンラインパーソナルラジオサービスです。PANDORAでは10時間のストリーミングが無料、それ以上は月額36ドルの課金といったフリーミアムでしたが、結果的に上手くいっていません。
失敗した要因は有料に移行するユーザー数を見誤ったからだと言われています。有料に対する価値を誤ったのですね。フリーミアムは有料に対してどのぐらいの価値があり、どのぐらいの人が移行するのかを徹底的に追求しなければなりません。
ちなみに、PANDORAはフリーミアムには失敗していますが、現在は広告収益の形にしてから成功を収めています。このように提供するサービスによって向き・不向きがあります。
失敗例③New York Times Online
New York Timesはアメリカで発刊されている日刊新聞紙です。質の高さやジャンルの豊富さから人気がある新聞紙ですが、オンラインのフリーミアムには一度失敗しています。
当初は20記事までが無料、21記事意以降が有料でした。しかし、有料ユーザーが増えなかった状況を鑑みて、無料分を10記事までに変更しました。その結果、有料ユーザーが激増する結果となっています。
こちらも事例①と同様に無料プランで充分だったのですね。フリーミアムを成功させようと考えたときには有料プランの価値向上に着目されがちですが、そのサービスの質が高い場合はあえて無料プランの適用幅を狭くすることも有効であると示した事例です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。良ければコメント、フォロー、いいねをお願いします。いつかはアプリリリースをしてみたいと考えているのですが、収益化についてはかなり考慮しなければなりませんね…