QC手法の注意
品質管理でQC七つ道具なるものがあります。新タイプもあります。
品質管理手法では特性要因図やら、統計的手法やらあります。
Copilotさんに特性要因図を描いてもらったら、何かとんでもない絵を描いてくれました。しかし、使い方、目的を理解しないで、イメージで使っていけばこんなCopilotさんのようなことになりかねません。
目的は何か?
品質管理手法を使って業務の問題点を見つけたり、改善をすることを手助けしてもらいます。Copilotさんに絵を描くことを手伝ってもらっている私のようなものです。
お偉いさんがどこかで聞いてきた、なぜなぜ分析ってのを使って原因を見つけるように!と指示します。名前から想像するに、簡単で誰でも使えそうです。
目的は合っているけど
さっそくなぜなぜ分析を導入します。記録もなぜなぜ分析の結果を記録する書式にしました。
製作した機械の脚長さが短かった、という問題を解決しようとします。
何回か「なぜ?」を繰り返して真の原因を見つけようとします。
長さを間違えた。
なぜ? → 確認が漏れた。
なぜ? → 見落とした。
なぜ? → うっかりした。
対策 チェック項目に追加する。
と、こんななぜなぜ分析を見たことがあります。
原因を何にするか?
例では何回か「なぜ?」をしたところで効果がありません。対策も意味が無いでしょう。なぜなぜ分析でも、特性要因図でも、それをどう使うかは人の問題です。ツールが上手いこと原因を見つけてくれることはありません。きっかけになる程度なのです。
まず原因を見つける理由は何でしょうか? これは、原因を排除するためです。原因を排除すれば問題は解決する、という流れです。
例はメチャクチャに見えますが実際に同様の分析は多いです。原因を「人」にするものです。失敗したんだから失敗した人が悪い。上手く出来る人もいるんだから。そういう発想です。本人に失敗を認めさせて、反省している様子を観察して、監督者も十分注意した、という構図に満足しています。
原因と対策
原因を取り除いて問題を無くす流れです。例の対策はチェック項目を追加する、です。作業工程で間違いがあっても最後にチェックして見つけよう、という考えです。原因は「うっかりした」でした。ここで正しい対策は「うっかり」を取り除くことです。しかし対策はうっかりを認めて失敗を確認しようとしています。これは何か失敗が起こるたびに「うっかりした」を原因にして確認項目を増やします。その結果は失敗はするけど発見しては直したり廃棄することになります。歩留まりは悪いけど、良好な製品は出来る状態になります。この状況を望んだのでしょうか?
原因を「人」にしない
なぜなぜ分析でも、特性要因図でも、なんでも良いのですが、うっかりした、気が付かなかった、見落とした、という、ときどき人がやりそうなことを「原因」にすると対策は出来ません。担当者を変えました、というのもありますが、では次に入る担当者は、うっかりしない、見落とさない、必ず気が付く、見落とさない人でしょうか? よほど担当者が悪意に満ちていない限り「人」を原因にすべきではありません。「人」を原因にするとしたら、力量が足りないとか、法的な資格が無い、のようなことです。それでもその人が悪いわけじゃなくて、力量評価のシステムや、資格確認の手順に問題があります。
それでも人を責めるのは手っ取り早いです。あいつがちゃんとやらないから、失敗したから、と言って責め立てれば、その人を原因にして責めやすいのです。しかし製品品質は今後も改善しません。原因調査を行う場合は、「人以外に原因を求める」姿勢でやってみましょう。