インド映画『RRR』を観て気付いたところをまとめてみたメモ。(ネタバレあり)
RRRを観て気付いたところをまとめたメモのあつまり。ツイートした小ネタとかもまとめた。以下の2つの記事とかぶるところもあるし、こっちは解説を省いているのでどちらも読んだあとに見てもらうとわかりやすいかもしれない。私はただの通りすがりのインドオタクなので解釈間違ってることもあるとおもうけどそれでもよければどうぞ。
RRR小ネタとか箇条書き。ネタバレ、オチバレあります!読む人はご注意を!!!
DVVのロゴ
いちばんはじめに登場するのはヴェンカテーシュワラ神。神様へのお祈りの歌だ。これをIMAXで観ると気分がブチあがるのでIMAXでみてくれ。
ヴェンカテーシュワラは主にインドの南、テルグ語が話されてる地域で信仰されている神様だ。バラジ様ともよばれ、あまりにも目力が強すぎるので目隠しをしている。アーンドラ・プラデーシュ州のバラジ地区ティルパティにあるヴェンカテーシュワラ寺院の御本尊。とにかくめちゃくちゃご利益がある神様として有名で、インド中から参拝客が訪れる。
ヴェンカテーシュワラは「ヴェンカタの主」という意味で、ヴェンカタという場所の神様だからこう呼ばれているそうな。ヴェンカタ、ヴェンカテーシュワラはこの地方の人物名にもよく使われる。RRRにもいましたね。ラーマのお父さんがヴェンカタ。おじさんはヴェンカテシュワルル。
デリー郊外の暴動で投獄されていた人
10000人の群衆が解放をもとめてが叫んでいたのは「ラーラー・ラージパト・ラーイ(लाला लाजपत राय)」の 名前だった。教えてくれた方、ありがとうございました!いつも見逃してたから…
彼はパンジャーブ地方出身の弁護士で独立運動を支えた有名人。独立に強火で過激な派閥のティラクと一緒に活動してた。(ティラクは1920年に死去)でもラージパト・ラーイーはこの時期は外国にいたんじゃないか?と思って調べたら1920年に帰国してた。
ラーマが群衆の中から捕まえた人
石を投げたのはシク教徒。ターバンでわかる。アムリットサル虐殺事件がおきたのはパンジャーブ州の聖地アムリットサルだ。捕まっていたラーラー・ラージパト・ラーイはパンジャーブ州出身なので、もしかしたら彼とは同じ故郷なのかもしれない。
警察官のラーマが素肌に身につけていたもの
オーム印のペンダントと白い聖紐、どちらもヒンドゥー教徒のもの。
聖紐は基本的に外してはいけない。
ラーマはバガヴァッド・ギーターも暗唱できるのでもしかして高いカーストの設定なのかなあ。村の代表としてお父ちゃんが警察官になってたという設定なのだろうか。ラーマのモデルになった人の経歴じゃなくて映画の設定が知りたいと思った。(モデルになった人はたしかクシャトリヤ階級)
×ビリヤニ→○マンディ??(mandi)大皿の炊き込みご飯
ラーマ、潜入時にムスリムのアクタル(ビーム)と一緒にビリヤニ食べてる。ムスリムのビリヤニだからお肉入ってるのは確定だし卵もはいってるのがみえた。ハイデラバードのほうはムスリムが多くてその流れでビリヤニ食べてるのかな。
…と思ったら、ビリヤニじゃなかった?らしい。アラブのほうの大皿でたべるビリヤニみたいな炊き込みごはんで、マンディというご飯で、鶏肉とかを別に焼いてご飯の上に乗せているらしいです。くわしくはこちらのツイートをどうぞ。
https://twitter.com/LoveRajamouli/status/1599396719019819009?s=20&t=D5FVfUyGscDYnFuilHQLVA
追記:ただ、インドのマンディと本場の中東のマンディはどうやら作り方が違う?らしい。インド人の作るマンディのレシピを検索すると、「マンディビリヤニ」として、大皿のビリヤニの上にマサラ漬けにして揚げた大きなお肉が乗ってる料理がたくさんでてくる・・・「mandi biryani 」で検索してみよう。
レシピには「まずはビリヤニを作りましょう」から始まるので、米の部分はビリヤニと同じ作り方なのかもしれない。だとしたら大皿のビリヤニにスパイス味の唐揚げおにくのっければもしかしたらマンディになる??のかもしれない。かもしれない。(もちろん中には本場のレシピのもあるだろうけどあきらかにヒンディー語のものなどはビリヤニ的な何かが多いかもだ)
あと、何がビリヤニか問題は複雑で、インドでもビリヤニ(ビルヤーニー、ビリヤーニー)には地方によって作り方も味も全然違うし、炊き込ご飯のプラオ(プラーオ)と区別ができないもの、昔はプラオと言ってたけど最近ビリヤニが人気なのでビリヤニに名前が変わったりしたものもあるらしく、このへんは料理が専門外の私にはとんとよくわからない世界だ。
なので、インド人があの料理をみて「マンディだ!」というのであれば、同じ料理がインドのどこかに存在しているということなのだろうから、あの大皿のごちそうはおそらくマンディなのだろうな、と思うことにする。
ただ、現在のインドのレシピをみるかぎり、本場の中東のマンディよりビリヤニのほうが味は近いんだろうなあという気がしないでもない。まあインドだからな…インド味にはなるだろうな…
ちなみに「大皿からみんなで直接食べる」というのはヒンドゥー教徒は普通はやらない。家族でも一人ずつ個別に用意されるし、料理した妻たちは一緒に食べないこともある。お皿は使い捨てのほうがよくて、南インドだとお皿のバナナの葉は使い捨てにする。浄・不浄の考え方がとても厳しいヒンドゥー教あるある。(もちろん慣習は地域差もあるので全てがそうではないが)
これは伝染病などを防ぐための大昔からの衛生への配慮が宗教的な意味も加わってなんかそういう慣習になったのかなあとおもわなくもない。
(だからこそインド映画でときどき出てくるヒンドゥー教徒が自分のご飯を食べさせ合うという行為は、最も親しい人なんだよという意味合いを持たせているのかなあとおもったりもする。)
なのであの映画の中で「大皿からたべる」のはヒンドゥー教徒とは違う、ムスリムだからなんだよ、というのをわかりやすくみせているのかなあと思ったりした。
ナイト爵を受けるインド総督
1919年アムリットサル虐殺事件をうけて、タゴールは「名誉が恥になった」とナイト爵を返還してる。一方派手なパーティーまでしてナイト爵を喜んで受け取っている英国人のインド総督スコット・バクストン、みたいな対比。
つまり総督はもともと貴族ではないってことだ。インドの総督なんて貴族じゃないとなれないとおもうんだけど、よほど業績があったか。お金持ちだったか。
ちなみにこちらの歴史で1920年代にインド総督だったのは1916年に着任した初代チェルムスフォード子爵フレデリック・セシジャーで、彼がいたときに1919年のローラット法とか作られてる。かなり強圧的な政策が多くてインドではめちゃくちゃ嫌われてる。たぶんスコット・バクストン総督のモデルになっていると思われる。
RRRは史実ではなくてラージャマウリ監督のラージャマウリワールドだと思っているので、そのへんの設定が知りたいなーと思った。
ていうかRRRって歴史改変してる??
はい。その通りです。あの世界の歴史は私たちの歴史とは繋がりません。枝分かれしたもう一つの物語だと解釈してます。
RRRはラージャマウリワールドです。
映画の感想のほうにも書いたんだけど、インド総督倒してるのね。
インド総督を!!倒しちゃった??????
これはありえないわけですよ史実としては。それなのにエンディングでは史実の英雄たちがこぞって登場してるのはフィクションだけど史実の英雄にリスペクトしてますというのを表しているのかあなと。
なので、ラーマとビームの戦いは続くけど、その先の未来はどうなるかわからないのです。もしかしたらもっとすごい素晴らしい未来があるのかもね!とおもってます。なのでインドの独立が過酷だったことを知った上でこの映画を見ると、ウワー!ってなるのです。
真珠とダイヤモンド
英国側の奥様や女性たちは真珠やダイヤモンドをたくさんつけてる。
ダイヤモンドと真珠=インドの富。英国人が身につけているのは搾取の象徴。ドラマのポロスにもあったね、あれはダイヤモンドだったけど。
インドは古代から真珠とダイヤモンドの産地。特にダイヤモンドはアフリカに鉱山がみつかるまでインドにしかなかったのでめちゃ高価だったらしい。
ニザーム藩王国(誘拐した少女を返せと言いに来た人の国。テルグ語圏。現在のハイデラバードあたり)は最高級のダイヤモンドの産地。
ニザームのダイヤは透明度が高くてとにかくすごかった。ダイヤと真珠はインドの富の象徴でもある。でも有名な宝石は独立前に英国にほとんど持ち出されてしまったという経緯もある。英国に対して「コ・イ・ヌールを返せ」とインド人が熱くなってるのもそういう理由がある。
現在は鉱山は枯渇しててダイヤモンドは産出してないんだけど、ハイデラバードは真珠やダイヤモンドの商人が集まる街としてとても有名。
こちらはダリア・イ・ヌール。ニザームのゴールコンダの鉱山から産出したもの。この透明度すごい。
映画の中の季節
二人が出会ったのがクリシュナ様の誕生祭。というのはネタバレなし記事のほうにも書いてた件。調べてみたら、1920年は9月5〜6日らしい。(このときのインドの暦が今の暦と同じ計算の仕方だったらの話だけども)
その後、パーティーが2/14日ということだ。デリーはまだ涼しいかなあ。
その後捕まったビームが逃げ出すまでどのくらいたったのだろう。まだお屋敷の修理中なのでそんなに経ってなくてその5ヶ月後、二人が再会したとすると、1921年の7月の中頃か。ビームたちがいた場所は暑そうだったね。
潜入したビームのムスリム仕草
・シュクリヤ(ありがとう)、バイヤ(兄貴)、挨拶の時に顔の前に手を出すのはムスリム仕草。
・身分がバレたあとはバイヤ→アンナ(テルグ語で兄貴)に変化してるのが細かいし、ラーマがビームを捕まえるときアクタル呼び→ビーム、になるのがしんどい。しんどい。
・匿ってくれたムスリムのパッパとはやっぱりヒンディー語かウルドゥー語で話してるかも。どちらも発音はほぼ同じだけどウルドゥー語はウルドゥー文字(ペルシャ文字系)表記で単語とか微妙に違う。
ビームが目に塗ったアイラインみたいなの
ビームがムスリムの格好をするときに目に塗ったアイラインについて質問があった件。あれはsurmaといってムスリムがまぶたに塗るもので、宗教的な意味があるそうです。つまりビームがあれを目に塗ったのはムスリム仕草です。
目の周りを黒くするのは中東や南アジアにある風習で、様々な理由があります。女性の化粧だけではなく子供や男性も使います。
元々は邪視避けや太陽の眩しさを避けるためのものです。
インドの場合はヒンディー語だとカージャル(kajal) काजल 、ウルドゥー語だとsurma。
ムスリムが使うのはsurmaのほうでkajalとは区別されていてます。
surmaは鉱物を粉状にしたものをまぶたや目の周りに塗ります。
kajalもアイラインに使いますが材料はギーやヒマシ油などの煤を使うので違いがあるそうです。ちなみにkajalの処方はアーユルヴェーダにもあって、こちらは目薬としても使われます。
ムスリムが使う方もkajalと同じ材料だと思っていたので、調べたら違うことがわかりとても勉強になりました。
でもsurmaという名前で売ってる商品は、材料がkajalと同じ作り方のものもあるようでした。鉛が入ってて中毒になるとかそういう問題があったみたいで、もしかしたら材料が変わったものもあるのかなあと思ったり。
市販の商品だと、目の周りに塗る黒い粉=surma、ペンシルタイプや塊のもの=kajal という区別をしているようでした。
このあたりは詳しくないのでだれか識者の方に聞きたいところ。
言語の違い
・舞台のデリーはヒンディー語圏、ラーマとビームはテルグ語話者。デリーで出会った二人がすぐにうちとけたのは、同郷の言葉を話せる相手だから。つまりラーマがビームの捜索を担当になったのも同じ言葉がわかるからということにも繋がるかもしれない。そう思ってこのDostiなソングを聞くととてもアレだ。すごくこう、しんどいし情緒がしんどい。
・ラーマが潜入した集会ではヒンディー語が話されているし、ラーマの言葉をヒンディー語に翻訳してる人がいる。字幕が違うので気を付けてみよう。
・あの集会でわざとラーマはテルグ語で「殺せばいい」みたいなことを言って目立ったのは、おなじテルグ語圏のビームたちがひっかかる罠をつくった。まんまと乗ったラッチュ。
・なにげにテルグ語を通訳してる人、たくさん登場してる。
・ニザーム藩王国からきた人もテルグ語。みんな通訳を通して話をしてる(でも途中で通訳つかってなくてもわかってるかんじのシーンもあった)
・ビームの歌の前、テルグ語のラーマの言葉をヒンディー語に通訳してるひとがいる。つまりあそこに集まった群衆の多くはヒンディー語話者。ビームのテルグ語は通じてないはずなのに民がウワー!ってなってるということ。言葉を超えたビームの歌と拷問シーン。
・ビームとシータがデリーで出会ってすぐ親しくなったのはお互いの言葉が同じだから。同郷だね!ってのがすぐわかる。
そのへんの草が薬草な理由
インドは毒蛇が多くコブラとかカジュアルにそのへんにたくさんいるので、大昔から毒蛇避けや蛇毒の解毒に使われる薬草をそのへんにたくさん植えている。なので、街の中でもどこでもそのへんの草が薬草なことが多い。
日本でもよもぎとか薬草が生えてるのと一緒。もちろん毒があるものもあるから見分けることは必要だけど。
インドではどこにでもあるニームは街路樹や庭木だけど、蛇避け、蛇毒の解毒、虫避け、薬効が高く何にでも効くといわれてて万能らしい。蛇毒がまわっているかたしかめるにはニームと黒胡椒の葉を混ぜたものを患者にほどこすよいとされる。
そんなかんじで毒消しには薬効のある草木の葉や根を煎じて煮出して飲ませるとよいとか民間療法的なものはたくさんある。
あとカダンバやアンマロクやバンヤンジュ、インドボダイジュなどインドの有名な聖なる木とされている植物はだいたいお薬になるし、蛇毒の解毒に使われる効能があるとされるものが多い。そういう木には蛇神様(ナーガ)をお祀りして毒から守ってもらおうとお祈りすることもある。
ただ、映画の中みたいに一瞬で解毒できるとか足の傷が治るとかではないから、そこはやっぱり神様にお祈りしたパワーとかも効いてるんじゃないかなあ。神様へのお祈りは大事。とくにシヴァ神は病気治癒と解毒と厄除の神様なのでとても大事。
ラーマ王子はラグ家
ラーマ王子の系譜はラグ家の歌詞。
ラグ家はクシャトリヤ(王族・戦士階級)の太陽種族だ。
古代インドの劇作家カーリダーサが書いた『ラグ・ヴァンシャ(ラグ家の系譜)』というラーマーヤナを元にしてかかれた物語がある。
インド、神話から派生した二次創作が多すぎて全部追えない問題。
ラーマ王子とビーマ王子の家系と太陽と月
ラーマ王子がラグ家、の続き。
・クシャトリヤ(王族・戦士階級)の祖はスーリヤヴァンシャ(太陽種族)とチャンドラヴァンシャ(月種族)にわけられる。
・太陽神の子孫=スーリヤヴァンシャ=ラーマ王子(ラグ家)
・月神の子孫=チャンドラヴァンシャ=ビーマ王子
つまりラーマ=太陽、ビーム=月、の象徴とも言える。
あえて「ラーマ王子がラグ家」という歌詞を出したならビーマ王子は月だよなああ!ラーマとビームは太陽と月!!
監督が大好き、みんなも大好き「太陽と月」ここでも来たよ!!!!
厳密にはビーマ王子はクルの血を引いてるのでスーリヤの血筋も入ってはいるし、映画の主人公たちはクシャトリヤではないとおもうんだけど、もっとこう、古代や神話になるような昔のインドに起源やルーツを置いててるところというか、そういうかんじのイメージを与えたかったのかもしれない。と思った。
ビーマ王子と森の神との関係
・『マハーバーラタ』のビーマ王子の妻ヒディンバーは森に住む種族(人間ではなくラークシャサという魔物)だった。美人だったらしい。
・二人の間の息子ガトートカチャ(とっても力持ち)は、カルナによってインドラの槍で倒される。
・ビームは明らかに「ビーマの子孫」みたいなことを言ってたと思うので、この映画の森の種族の設定では『マハーバーラタ』のビーマ王子が祖先なんだよ、ということになっているのかもしれないね、そうだと面白いな、と思った。
ビームが持ってた槍
木の根元にたくさん刺さってたので、はじめは森の神に捧げられたものじゃないかなと思ってた。木には何かをお祀りしたようなあとがあったみたいだし。
神話だと槍で有名なのはマハーバーラタのインドラ神の槍か、ムルガン神の武器。(ムルガン=戦いの神でシヴァの息子)
ビームの槍ってなんだろうなーとぼんやり考えてて思い出したのは、槍は戦士とか軍神の象徴ってところなのかもしれないとおもった。
となるとやはり、シヴァの息子の軍神スカンダ(カールティケーヤ、ムルガン)の槍だろうか。
そりゃあ戦いの神は槍もってるならビームも持つよね、的なところからなのかなあと思ったりした。
ただここでは森の神の象徴なのかなー。
映画の設定のゴーンド族の風習とか全然しらないのでわからんですが。
森の神と大地の神の対比
・森=ビーム、大地=ラーマ
・大地の女神(の娘)=シーターに祝福を受けたのがラーマ。
・森の女神を信仰しているビーマ、みたいな。
炎の象徴
インド神話での「炎」(アグニ神)は空では太陽に、空中では稲妻に、地上では炎、人体では思想や怒りの炎になる。天の炎=太陽である。
地上の炎は罪を浄化する。
水の象徴
インド神話での「水」は万物の根元であり世界の源である。
ヴィシュヌ神が浮かぶ大海でもあり、最も聖なるもの。水は罪を浄化する。ガンジス川など聖なる川の水は特に浄化の効果が高い。
炎と水が手を取り合って浄化すべきだったのは英国に支配された国。と考えるといろいろたぎる。
ハヌマーンとビームの関係
ビームは、ビーマ王子(5人兄弟の2番目)、ハヌマーン(ラーマ様を慕う)、ラーマの弟ラクシュマナ(お兄ちゃん大好き)の複合体。
お兄ちゃん大好き弟要素盛り盛りな設定。
シヴァとハヌマーンの関係
ハヌマーンはシヴァの化身であるともいわれる。
シヴァの化身だからこそ、シヴァの住処であるカイラーサ山を持ってくることができたのだという。(薬草が生えていた山)
ちなみにラーマ=ヴィシュヌ神の化身である。つまりだ。
もしビーム=ハヌマーン=シヴァのイメージだとしたら。
ラーマ=ヴィシュヌの化身、ビーム=シヴァの化身
つまりヒンドゥー教2大神の最強コンビである。
獣たちの王であるシヴァ
シヴァは別名「パシュパティ」(獣たちの王)という名前がある。
獣たちを扱ったビームはシヴァとも関連づけられているのかもしれないなあと思ったら、さいごの歌詞に「シヴァの破壊のダンスを踊る」とあったのでアー、やっぱりビームはシヴァと重ねてるのかーと思った。
そう思うと、登場シーンの頭に血をかけるやつ、あれはこう、シヴァリンガへの灌頂にも似ているなあと思った。
シヴァ寺院で毒消しの薬を作り、身分がバレて、獣たちと一緒に破壊行為、というながれがとてもアレだ。
シヴァのダンス
シヴァのダンス「ターンダヴァ」は世界を破壊し再生する。インド古典舞踊やってるお友達のアンジャリさんが、「もしかしたらナートゥもシヴァのターンダヴァをイメージしてるんじゃない?片足で躍るし??」と言ってて、なるほどそういうのもあるのかなー!って眼から鱗だった。
こちらはホイサラ朝のシヴァ。象の魔物の皮を剥いでかぶって躍る荒ぶる神としてのシヴァ。ガジャースラサンハーラと呼ばれる図像。
ラーマの矢が尽きない
ラーマ王子は神から神の武器である「矢が尽きない矢筒」をもらっていた。たぶん警察官のラーマが神になったとき足の治癒力と一緒に神様からもらったんだと思う。
シータとシーター姫
シーター姫は大地女神の娘。映画ではシータがラーマを大地の土で祝福する。祝福を与える女神。
シータが身につけているイヤリング
あれはジュムカですね、インド人女性がつけるベル型のやつ。
jhumka jhumki で検索だ。
ハスティナープラ
ハスティナープラは『マハーバーラタ』で登場するクル族の都。
アルジュナ
マハーバーラタの主人公の一人。ビーマ王子の弟。
クリシュナから『バガバッド・ギーター』を受ける。
弓の名手でもある。たぶんラーマはラーマ王子でもありアルジュナでもあるのだろうなあ。と思った。ラーマはギーターを呟いてたし。
本当は同胞と戦いたくないが、ラーマには使命があった。
使命のためには、自分の役割のためにはなんでもする。その決意は、まさに戦いを決めたアルジュナなのではないだろうか、とも思った。
ビームが蛇の毒消しの薬を手に入れたのはシヴァ寺院。
・シヴァ・リンガと牛さん(ナンディン)があるのでシヴァ寺院。
・ハヌマーンが薬を手に入れたのはシヴァの住処であるカイラーサ山
・シヴァは蛇の主人でもあるし毒を中和して世界を救った神話もある。
ラーマがビームの正体に気付いたのもシヴァ寺院
ラーマが毒で倒れたところ、ビームはシヴァにお祈りを捧げる。
つまりビームはムスリムではない、身分を偽っているというのがラーマにバレた瞬間。
ラーマ寺院
シータがビームにラーマの話をする場所はラーマ寺院。
ラーマとシーターとハヌマーンの白い像がある。
神像を背景に手を重ねて「ラーマを取り戻す」と誓うビーム、マジでハヌマーン。
川は聖なるもの
ラーマが「絶対に武器持って帰るからなー!」って誓ったゴーダーヴァリー川はインド中部にある大きな川。インドではガンジス川をはじめとする大河は神そのものとして崇められている。河に誓うっていうのはそりゃあもう神様への誓いと同じ。めちゃ重い。
牙や爪のペンダント
ビームがつけてるたぶん牙?のペンダントはお守り。特に虎の牙や爪はすごいつよつよパワーがあるので昔からお守りに使われる。
鹿さん
総督の狩りで狩られまくってた鹿さんたちかわいそうだった。でも復讐はできたのかなあ。えぐかったけど。
ちなみに鹿はヒンドゥー教では優しさや臆病さや謙虚さの象徴。南インドのシヴァ神は鹿を手に持っている。
虎さん
ティプーの虎かっこよかった。英国人は首元を噛んで頃せ的な…
虎はインドではすごいつよつよで、「〜〜の虎」というのは最高の褒め言葉になる。戦いの女神ドゥルガーの乗り物でもある。つよつよ。
なんとかの雄牛
インド古典で最高の褒め言葉の一つ。「〜〜の雄牛」って使う。エンディングの人を雄牛っていってるのはとにかくすごくほめてるってこと。
「〜の虎」「〜の獅子」もおなじようなかんじ。
ビームがもってた白い旗に書いてある文字
Jal Jangal Zameen ( जल जंगल ज़मीन)
ヒンディー語で「水 、森、大地」
ビームのモデルとなった人物が掲げたスローガン。
あとはエンディングの偉人たちの名前とどんな人たちだったかとか、このあとも追加していく予定。