そもそも

 皆さん、こんにちは。
 点字教材製作ネットワーク代表の大川達也です。
 今回は、私個人のnoteに書いたことを、こちらでも再掲したいと思います。

1. なぜ点字なのか?
 点字が生まれて、もうすぐ200年を迎えようとしています。
 1825年(29年という話もあります)に、工場での事故によって失明したルイ・ブライユ少年が、当時兵士が使っていたという暗号を元にして、点字を作り上げました。
 彼は、初見の楽譜を読み、その曲をうたい上げたというエピソードが残されています(おおざっぱな記憶で書いているので、詳しい方ご一報願います)
 このように、点字は、読み書きに優れ、新しい知識を積み上げるための、活気的な道具に成長しました。 
 現在の日本では、盲学校小・中学部の教科書は、文部科学省が責任をもって編集したものが、無料で子どもたちに渡されています。
2. 教科書以外の本は?
 教科書は、基本的に点字出版所が発行しています。
 では、教科書以外の本はどうなのでしょうか?
 点字出版所でも、多少は点字本が作られ、販売されています。
 ところが、点字出版所が作る本が、利用者のニーズに合わないことも数多くあります。
 外国語の本や、数学、理科関係の本は、本当に少ないなと思います。
 では、誰がそのニーズを担っているのでしょうか?
 それは、点訳ボランティアです。 
 ボランティアの会員の人たちは、会費を払って、善意で点訳をしてくださっているのです。
 そのうちのほんのわずかな人が、英語やドイツ語、韓国語、数学、理科、楽譜といった、専門分野の点訳ができるわけです。 
3. 点訳ボランティアをめぐる課題とは?
 ボランティアということは、基本的に給料ははっせいしません。それどころか、活動をするために、それぞれが会費を払って参加している状況です。
 平日の日中、点訳の活動をできるのは、自然と専業主婦の方が多くなります。若い人たちは、ローンを背負って、必死に共働きしているので、ボランティアの年齢構成が、自然と高くなってしまいます。しかし、若い世代のボランティアが生まれにくいのが、日本の現状です。
4. 私が感じた危機感
  ある日、点訳をお願いしていた本の点訳が終わったという知らせをもらいました。
 かなり分厚い本だったので、1年近くかかるだろうと思い、任せっきりにしていたところでした。
 しかし、連絡をくださった人はいつもとちがう。
 なぜだろうとメールを読み進めると、「代表をしておりました○○は、脳梗塞のため○月○日に亡くなりました」という文面が飛び込んできました。
 自分が知らないうちに、遠くへいってしまったこともショックでしたが、「ああ、また点訳を頼める人がいなくなってしまった…」ということに危機感を感じました。
 「韓国語点訳の手引」という本を書きたくて、自分で韓国留学までして、韓国語の点訳方法を習得された○○さんには、本当に頭が下がりました。
 私とのお付き合いのあるボランティアグループには、御年96歳で代表を務められる方もいらっしゃいます。
 昨年亡くなった私の祖母より、年上なのです。
5. 会社設立の動機
 私は、点訳ボランティアさんの高齢化に対して、若い人材の発掘、それに、全国の点訳ボランティアの横のつながりを作って、日本全国の視覚障碍者の「読みたい」を拾っていけるネットワークの構築が必要だとかんがえました。
 これが、一般社団法人 点字教材製作ネットワークを設立するにあたっての思いです。
 ここまで読んでくださって、ありがとうございました。


#未来のためにできること

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