「SNSを見るのがつらい」 友人が何気なく呟いた一言でした。聞くと、TwitterやFacebookで様々な「凄い人」が活躍ぶりをアップしている。それに比べて自分は…と思ってしまい、不安や焦りが湧き出てくるようです。 たしかに、最近では「何者かになりたい」という言葉もあちこちで聞くようになりました。前向きな自己実現願望なら素晴らしいのですが、正体が「他人のキラキラした人生」への競争心ならば考えものです。それだと「何者かに思われたい」の間違いじゃないかと思うのですが…。
あなたはメンタルが強い人ですか? 現代はたいへんストレスの多い社会です。日本では、実に5人に1人の割合で、生涯を通じてこころの病気にかかるとも言われています。 しかし、ケガや風邪などと違って、メンタルの不調はなかなか気付きにくいもの。ましてやメンタルを強くするなど、いったいどうやったらできるのでしょうか。 元プロサッカー選手・内田篤人さんのエッセイ集『ウチダメンタル 心の幹を太くする術』では、そもそもメンタルは「強弱」ではなく、「上下の振れ幅」と指摘します。 サッカー
体重が大きいほど、時間はゆっくり進む。 アインシュタインが相対性理論で明らかにした事実です。 これを授業で習った時、「アインシュタインの頭の中は一体どうなっているんだろうか…」と衝撃を受けた覚えがあります。 事実、時間は体重の1/4乗に比例することが分かっています。 体重が16倍であれば、時間は2倍に長くなります。 160kgのお相撲さんは3kgの赤ちゃんよりも、160÷3の1/4乗、つまり約2.7倍ほど時間がゆっくり流れています。 「ゾウの時間 ネズミの時間-サ
宇宙の始まりはビッグバンと呼ばれる大爆発だったと言われています。大爆発の瞬間、どんな音がしていたか想像できますか。 答えは、「無音」です。 音というのは物質の振動が周囲に伝わっていく現象です。具体的には、空気中の窒素や酸素分子が振動することで空気中の分子の密度に濃淡が生まれ、音が伝わっていくのです。したがって、空気のない宇宙空間では音は伝わりません。 では、光はどうでしょうか。 20世紀は「物理の世紀」と呼ばれるように、身の回りの現象が次々と解明される時代でした。その
話し合えば、わかりあえる。 会話をはじめ、コミュニケーションの目的は「他者とわかりあう」ことだとされています。実際に、利害が対立した時、争いに至る前に交渉や対話で解決した例は枚挙にいとまがありません。 ただ、僕はそうした解決に至った理由が「わかりあえたから」ではないと思っています。 ほとんどのコミュニケーションの正体は「もうこれ以上話し合っても一致することはない」という均衡点に達した末での譲り合いが正体ではないでしょうか。 凪良ゆうさんの書いた『滅びの前のシャングリラ
一般的に僕たち日本人のコミュニケーションはただ言葉を交わしているのではなく、互いの立場や状況といった背景を忖度するなど、言外に含まれた意図を推察することで成り立っています。いわゆる「空気を読む」と呼ばれる作法であり、言葉の額面だけでない多層的な意味の探り合いが要求されます。 一方で西洋社会のコミュニケーションはずいぶん様相が異なります。メッセージはシンプルかつ明瞭であり、言ったことがそのまま意図として受け取られる傾向にあります。なので、彼らからすると「日本人はハッキリと意見
高校生の頃、「生物とは何か?」という、ずいぶん哲学的な問いを投げかける先生がいました。当てられた僕はしばらく考え、「呼吸をするもの」と答えた覚えがあります。 先生からは「呼吸というのは酸素を取り込んで、二酸化炭素を出すということ。焼却炉も同じことをしている。焼却炉は生物かい?」と反証され、僕はぐぬぬ…と引き下がりました。 「生命がある!」 「君が生命を持っているって、どうやって証明するの?」 「うーん…じゃあ、年老いていく!」 「学校というコンクリートの塊だって老朽化する
明日までの仕事、1年後の目標、10年後の生活…僕たちの想像は、いつも未来に対してのものです。一方で、昨日あった嫌なこと、1年前の誕生日のお祝い、10年前のクラスメートとの遊び…僕たちの記憶は、過去に過ごしてきた経験に基づきます。 過去から現在を経て、まだ見ぬ未来へと流れていく。誰が初めに流し始めたかは定かではありませんが、どうやら世界は「時間」という川の流れの中にあり、僕たちを一人残らず同じ速さで、同じ方向へ運んでいるようです。 ところで僕は以前、僕たちに「意思」はあるの
日々の生活を送る中で、様々な場において選択の機会が訪れます。そして、多くの選択は決断するのが難しいものです。 たとえば二択が提示された時、どちらも確かさ(不確かさ)が同程度であれば、気分や当てずっぽうで選べば良いでしょう。難しいのは、ほとんどの場合において二択が非対称だということです。 一方が確定的に予見できる事象、他方が不確定で先が見通せない事象であった場合、選択は簡単ではありません。世の中には、とてもシビアな局面で選択が迫られる場合があります。その最たる例が日本がかつ
夏も終わりに差し掛かり、朝晩は涼しくなってきました。街中を歩くと、ショーウィンドウには秋冬の服が陳列されています。季節の変わり目になると、ついつい新しい服が欲しくなってしまいますね。 今季はどんなものが流行っているのかなとショップを覗いてみると、そこにはプルオーバーのパーカー、スウェットなどベーシックなアイテムがズラリ。さらに色味はカーキ、ブラウン、ワインレッドの単色ばかりで、ほとんど特徴のない、言ってしまえば「地味」なデザインがフロアを占拠していました。 なんだか、ユニ
社会には「できる人」と表現される人が一定数存在します。物事に対する理解が深く、必要な努力を継続でき、上達の極めて早い人。スポーツでも、勉強でも、お仕事でも、「できる人」はすぐに頭角を表し、優れた成果や発想を生み出していきます。 誰もが「できる人」を目指しながら、なかなか同じようにはなれません。「できる人」は一体どこが違うのでしょうか? 思えば、僕たちは学校での教育でどうやったら「できる人」になれるか、教えられませんでした。学校では、物事に取り組むにあたり「努力は身を結ぶ」
夏休み、お盆シーズン。行楽地はどこも人がいっぱいで、人混みに気が滅入ってしまいますね。 今こそ日常から離れて、芸術に触れてみませんか。 オシャレして美術館に出掛けるのも良いですし、のんびりと芸術祭を散歩するのも素敵ですね(あいちトリエンナーレは物議を醸してますが…)。いやいや、展示に限らずとも、まちには芸術を味わえる建築や公園があったりするんですよ。 芸術って何だかよく分からない…という方、大丈夫です。頻繁に美術館を覗く僕も分かっていませんし、そもそも分かる必要もありま
夏本番を迎え、どこへ出かけるにも暑いですね。家から出るのすら億劫になります。そんな時にはショッピングモールが便利!家から車に乗ってショッピングモールに入れば、外の照り付ける暑さとは無縁の快適な買い物や食事、時間つぶしが楽しめます。 ところが、この便利で快適なショッピングモール、実はこれまでの都市計画の文脈の中ではあまり良い扱いはされておらず、むしろ悪者扱いされてきました。 社会の授業で、スプロールやドーナツ化という言葉を聞いた覚えはありませんか。スプロールは中心地の密度が
今から150年前、イギリスのアマチュア天文家、ノーマン・ロッキャーがある雑誌を刊行しました。内容は最新の科学技術に関わる様々な論文を掲載する学術雑誌。刊行以来、人類の科学技術の歩みを捉え続け、X線の発見、核分裂反応、ブラックホールの蒸発、ヒトゲノムの解読と、世界を揺るがすトピックスを今日まで僕たちに届けてくれています。 科学雑誌ネイチャーは、1869年の刊行以来、「人類共通の財産」として科学技術発展の記録を紡いできました。 そして、それは日本の歩みも同様です。1869年と
こちらの動画をご覧ください。Excelで作成した、画像を認識する人工知能( AI )です。 左上の 6 × 6 のセルに模様を描くと、その形が数字の 1 ~ 3 のどれに近いかを識別する極めて簡単な AI です。ドーナツ円グラフはアルゴリズムによる類似度の判定(橙が1、青が2、黄が3)、左下のキャラクターは気にしないで下さい。会社の先輩の似顔絵です。スペースを埋めるために挿し込んだだけで、AI とは関係ありません。(ちなみに BGM も自作です。良い曲ですね。うんうん。)
連日、吉本興業の問題がメディアを賑わせていますね。当初は反社勢力との関係が論点でしたが、今では吉本興業の企業体質の問題にすり替わった感があります。松本人志さんや加藤浩次さんが自らの進退を賭して世間に訴えたように、所属芸人さんは不当な圧力で会社に拘束されているようです。 ただ、労働者の地位向上を求めるならば、労働組合を結成して会社に団体交渉を申し入れるのが筋ですよね。しかし、どういうわけか「会社を辞める辞めない」という争点のみで、会社の何をどう改善したいのかが見えてきません。