テニバカ的女子テニスプレイヤー考察(第15回ガルビネ・ムグルサ)


 今回予告もなしにとりあげるのは、正直まさかといっていいガルビネ・ムグルサである。正直にいってムグルサをとりあげるタイミングは2020年ウィンブルドン終了後だと思っていた。それは以前のnoteで少し触れたのだが、ムグルサは2020年シーズンからコーチをコンチタ・マルチネスに変えたことである。


 元々ムグルサは全仏、ウィンブルドンとグランドスラムを2勝しているわけだが、2018年、2019年と正直この2年はトップ30、トップ50レベルといえるパフォーマンスしか出せていなかった。正直はた目からみて当時のコーチであるサム・スミクはムグルサに合っているとは思えなかった。その中で2017年のウィンブルドンだけスミクコーチが急遽休暇をとることになり緊急スポットで当時デビス・フェド杯スペイン代表の兼任監督だったコンチタ・マルチネスにコーチをしてもらい、なんと優勝してしまった。しかしその後またスミクがコーチに戻り結局いつものように低調なパフォーマンスに終始するムグルサであった。



 2019年オフシーズンようやくスミクコーチを解任し、マルチネスをコーチに迎えたからこそ、ムグルサは全盛期並みのパフォーマンスを取り戻すことになったわけだが、自分としては多少時間がかかると読んでいて、ウィンブルドンでムグルサは復活すると予想していた。


 しかしながらこの予想はあっさりと外れ、2020年早々ムグルサに変化をもたらさせている。



 ここでムグルサのコーチをしているマルチネスについて少し説明してみようと思う。コンチタ・マルチネスといえばアランチャ・サンチェス・ビカリオと並ぶスペイン2大女子テニスレジェンドプレイヤーの1人に数えられるわけだが、その実績は1994年のウィンブルドンの決勝戦ナブラチロワを倒しての優勝というその一点に集約されるプレイヤーである。そしてムグルサはご存知のとおりスペイン女子テニス界を代表するプレイヤーである。


 となればこの2人がタッグを組むことになれば、とんでもない化学反応が起きる。


 それはムグルサがマルチネスを心の底から尊敬しているからこそ、テニスの質が何もかも変わることである。マルチネスの指導力がムグルサを変えてるように思うが、実際はムグルサにマルチネスがコーチについたことによって変わっているのではと思う。


 ここからはテニバカの勝手な妄想になるが、ムグルサの気持ちになってマルチネスに対する想いを考えて見る。それはマルチネスというスペイン女子テニス界のレジェンドをコーチに据えることは、マルチネスの顔に泥を塗れない気持ちになるのではと思っている。それこそがムグルサのテニスをすべからく変えることになり、もしムグルサがマルチネスをコーチにしても結果がでないことがあれば、単にテニスプレイヤーとして現役の間戦っているだけの問題ではなく、テニスプレイヤーを引退してからもスペインに住むとなれば一生ついてくる問題になるのではとムグルサは思っているのではないか。となればムグルサのテニスの取り組みが変わることになり、今まで手をぬいていたわけではないにしろ、とことん追い込めるのではないかと思っている。


 こんな妄想になったのは以前カロリーナ・プリスコバを考察したとき、マルチネスが2019年シーズン、プリスコバのコーチをしていたが、プリスコバはツアー優勝とトップ10キープをしただけで特にプリスコバを進化させたようには見られなかったわけである。

 

 となればマルチネスの指導力というよりは、ムグルサのマルチネスへの想いが重要なことなのではと思ったからだ。


 しかしよくよく考えてみればマルチネスが2017年ウィンブルドン限定でムグルサのコーチに就いて、早速ムグルサがウィンブルドンを優勝したときのことを考えればマルチネスの指導力は無視してもよかったのではないかと思う。僅か1カ月にも満たない時間でプレイヤーをそう劇的に変えることなど出来るわけがないのだから。やはりムグルサにマルチネスがコーチについたことによりムグルサ自身が変わっただけというのが、ウィンブルドン優勝の要因なのではと想像する。


 ここまでムグルサとマルチネスの関係はまるでマルチネスがムグルサに魔法をかけたかのような効果をもたらされているが、ここで大村あつしさんにテニバカがくどいように言ってきた(ベンチッチにヒンギスがコーチにつけばムグルサとマルチネスのような効果が期待できる)と新たな強い強い根拠ができたということでムグルサの考察を終わりたいと思う。


 ムグルサにマルチネスがいる限りムグルサの今後は安泰なのは言うまでもないからだ。


#女子テニス #ムグルサ

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